企業の社会的責任(CSR)


エクエーター原則採択の背景

大規模な開発プロジェクトは環境・社会に多大な影響を与える可能性がありますが、プロジェクトを資金面で支援する金融機関もその融資実行に際し、環境・社会への影響を十分検討することが国際社会から求められています。特に発展途上国でのプロジェクトでは、金融機関は複雑かつ困難な環境・社会問題に取り組まなければならないことがしばしばあります。

三井住友銀行は、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の一員として、環境問題を重要な経営課題と認識しています。活動の基本方針として、SMFGは「グループ環境方針」を定めており、その基本理念において、「持続可能な社会」の実現を重要課題の一つであると認識し、地球環境保全と企業調和のため、継続的な取り組みを行い、社会・経済に貢献する旨を定めています。

本環境方針に則し、当行が関与するプロジェクトにおいて環境・社会への配慮がなされ、当行の企業としての社会的責任(CSR)を果たすとともに、より高品質の国際金融サービスを提供していくことを目的として、2005年12月に「エクエーター原則」を採択、2006年1月には国際部門内に「国際環境室」を設置しました。

当行はエクエーター原則の採択と遵守が、当行自身、借入人、地域コミュニティなど様々なステークホルダーに大きな恩恵をもたらすものと考えています。

エクエーター原則とは

EQUATOR PRINCIPLES

エクエーター原則とは、大規模なプロジェクト向け融資における環境・社会への配慮基準です。プロジェクトファイナンス ご留意点1と特定プロジェクト向けのコーポレート与信、および将来的にこれらに借り換えられる予定のつなぎ融資が対象であり、プロジェクト所在国や業種を問わず適用されます。エクエーター原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいています。この基準・ガイドラインは、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。

エクエーター原則を採択した金融機関は、同原則にもとづいた独自の基準や手続を制定することを要請され、その基準・手続に基づいて環境・社会のリスク評価を実施することになります。

当行はエクエーター原則を採択した金融機関で構成される各種Working Groupのうち、以下のものに参加しています。

  • 新興国等へのエクエーター原則の普及活動を行う Outreach Working Group
  • 外部機関との関係構築を行う External Relationship Working Group
  • エクエーター原則の一貫性のある適用方法を検討する Consistency Working Group
  • 気候変動リスクに対するグッドプラクティスを共有する Climate Change Working Group

他の金融機関と協力して、エクエーター原則の内容改善への取り組みおよび新興国、特にアジア向けに原則の理解促進に努めます。さらにはエクエーター原則の長期的な戦略を検討する議論に参加する等、エクエーター原則のさらなる向上に向けた取り組みにも注力しています。

2016年5月末現在、世界の83金融機関がエクエーター原則を採択しています。詳細はエクエーター原則の公式ウェブサイト(英文)新しいウィンドウで開きます。 http://www.equator-principles.comをご覧ください。

ご留意点1
通常の企業向けの融資と異なり、企業の信用力や担保価値にではなく、プロジェクトのキャッシュフロー、事業性を評価して資金を提供する手法

当行の取り組み

行内ルールの策定

2006年1月に国際環境室を設置して、行内の環境社会リスク評価体制の整備に努めると共に、「環境社会リスク評価手続」(以下「手続」)を作成しました。この手続は、エクエーター原則に基づいた環境・社会への配慮方針ならびに行内における環境社会リスク評価方法を規定したもので、2006年6月より運用を開始しました。エクエーター原則の第三次改訂(EP Ⅲ)に伴い、2013年10月に本手続も改訂を行い、対象範囲の拡大と評価基準の引き上げを行いました。

体制およびリスク評価プロセス

国際環境室は、当行が融資を検討する全世界の大規模開発プロジェクトの環境・社会のリスク評価を行っています。評価プロセスは、以下の通りです。

1.環境スクリーニング
大規模なプロジェクト向け融資の営業を担当する部署は、案件を採り上げる前に「環境スクリーニングフォーム」を国際環境室に提出します。環境スクリーニングフォームは、対象プロジェクトが環境・社会に与える影響度合いを把握するためのチェックリストで、国際環境室は環境スクリーニングフォームや関連情報に基づいて、対象プロジェクトを以下のいずれかのカテゴリーに分類します。

カテゴリー
定義
カテゴリーA

環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。
カテゴリーB 環境・社会に対して限定的な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立場に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。
カテゴリーC 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。

2.環境レビュー
国際環境室は、対象プロジェクトが、カテゴリーに応じて求められるエクエーター原則の要求事項を満たしているかの確認を行い、必要に応じて現地調査を実施します。また、途上国で実施されるカテゴリーAまたはBに分類されたプロジェクトでは、独自の業種別チェックリストに基づいた評価を行い、環境レビューシートを作成します。評価結果を反映した環境スクリーニングフォームおよび環境レビューシートは、営業担当部署から審査部に送られ、案件採り上げ判断の重要な一要素となります。

3.環境モニタリング
環境スクリーニングおよび環境レビューの結果に基づいて、環境社会配慮に関する誓約事項を、借入人が遵守するべき事項として融資契約書に盛り込むことになります。国際環境室は、営業担当部署と協力して借入人の遵守状況を定期的に確認し、プロジェクトの環境・社会への配慮を継続的に確保するよう努めています。

当行の環境社会リスク評価フローチャート

研修および周知徹底

国際環境室は、環境社会リスク評価プロセスを行内に浸透させるために、海外拠点での集合研修、オンライン講座、外部専門家によるセミナーなど、様々な行内研修を実施しています。これまでに、行内の経営層、営業担当者、審査、監査、CSR担当者など総勢1,600名以上が研修に参加しました。さらに、日常的に環境・社会ヘの取り組みを徹底するために、ニュースレターを毎月発行し、業種別チェックリストや最新の環境・社会リスク情報の提供を通して、環境・社会配慮ヘの意識向上に努めています。


エクエーター原則適用実績

2015年1月1日から2015年12月31日の間にエクエーター原則(第三版)を適用した案件数は以下の通りです。

  • プロジェクトファイナンス:カテゴリー別件数
  • プロジェクト紐付きコーポレートローン:カテゴリー別件数
  • プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務:総件数

1.プロジェクトファイナンス
2015年1月1日から2015年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクトファイナンスは56件でした。内訳は下表のとおりです。

 
カテゴリー別件数
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
2
46
8
カテゴリー別件数の内訳
セクター
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
鉱業
0
0
0
インフラ
2
7
6
石油・ガス
0
15
0
電力
0
23
0
その他
0
1
2
地域
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
米州
1
27
2
欧州中東アフリカ
0
11
3
アジア太平洋
1
8
3
指定国
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
指定国
2
32
7
指定国以外の国
0
14
1
独立したレビュー
カテゴリーA
カテゴリーB
 
実施
2
43
未実施
0
3

2.プロジェクト紐付きコーポレートローン
2015年1月1日から2015年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクト紐付きコーポレートローンは8件でした。内訳は下表のとおりです。

 
カテゴリー別件数
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
3
4
1
カテゴリー別件数の内訳
セクター
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
鉱業
0
0
0
インフラ
1
0
1
石油・ガス
0
2
0
電力
1
1
0
その他
1
1
0
地域
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
米州
2
0
0
欧州中東アフリカ
0
2
0
アジア太平洋
1
2
1
指定国
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
指定国
0
0
0
指定国以外の国
3
4
1
独立したレビュー
カテゴリーA
カテゴリーB
 
実施
3
0
未実施
0
4

3.プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務
2015年1月1日から2015年12月31日の間にマンデートを取得したプロジェクトファイナンスアドバイザリー業務は18件でした。内訳は下表のとおりです。

 
総件数
18
総件数の内訳
セクター
鉱業
1
インフラ
3
石油・ガス
7
電力
7
その他
0
地域
米州
4
欧州中東アフリカ
6
アジア太平洋
8

これまでの活動実績

活動内容
これまでの実績
環境社会リスク評価体制の確立
  •  環境社会リスク評価手続の策定
  •  エクエーター原則改定内容の手続への反映
環境社会リスク評価の実施
  •  経営層へ評価結果を報告
  •  環境レビュー・モニタリングの過程における現地調査の実施
行内研修および周知徹底
  •  エクエーター原則関連部署への研修実施
  •  国内外で受講可能な、手続に関するオンライン講座の実施
  •  ニュースレターを通じた最新環境社会情報の提供
  •  環境社会影響評価に関する国際会議への参加
エクエーター原則にかかる行外の理解促進
  •  CSRや環境関連のグローバルセミナーやカンファレンス等での講演
  •  エクエーター原則とそれに基づく当行の活動を国内外の金融機関へ紹介
  •  環境リスク管理の専門家を招いての顧客向けセミナーの開催

今後の取り組み

  •  国際的なベストプラクティスを踏まえた環境社会リスク評価手法の高度化に努めます。
  •  行内研修を継続して行い、環境社会配慮への意識向上に努めます。
  •  エクエーター原則を採択した他の金融機関と協力して、エクエーター原則の普及および原則の内容改善への取り組みに積極的に参加することで、金融機関や借入人などプロジェクトに関わるステークホルダーの環境社会配慮の意識向上に努めます。

三井住友銀行は、当行が関与するプロジェクトへの環境社会配慮を通して、「持続可能な社会」の実現に貢献してまいります。

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