お金のコラム
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年収1000万円世帯には出費の誘惑が多い? 肝心なのは積立の習慣化

2016/11/2

高収入なのに「貯蓄」ができない?!

都内に住むKさんは30代のサラリーマンで既婚、年収1000万円を超えるいわゆる「高額所得者」です。最近になって奥さんの妊娠が分かり、来年は家族が増えることになりました。これまで人並みに貯蓄はしてきたのですが、気が付いたら家賃や車のローンなどに追われて、保有する「金融資産(貯蓄)」は思ったより少ないと感じています。今後の出産や育児、マイホーム取得といったイベントを考えると猛烈に「貯蓄しなくては!」と思いますが、なかなかうまくいきません。

年収1000万円と言えば、誰もがうらやむ高収入の象徴、成功者の“ベンチマーク”です。実際に、現在の平均給与は415万円(国税庁調べ)ですから、平均の2倍以上の収入になります。
しかしながら、高収入でも貯蓄ができない世帯が存在するのです。たとえば年収1000万~1200万円の世帯でも「貯蓄(金融資産)ゼロ」の世帯は10.8%も存在するという結果が出て、話題になったことがあります。

年収1000万円の高額所得者であっても、10世帯に1世帯以上が貯蓄ゼロ。年収1000万円超もあれば、もっと貯蓄ができるのでは? と感じるのは自然な発想です。しかも、Kさんのようにこれまで夫婦2人だった世帯であれば、なおさらです。

(平成26年金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」より)

貯蓄ゼロの意外な理由は「見栄っ張り?」

なぜ、Kさんは貯蓄できないのでしょうか。
貯蓄ができない理由はそれぞれですが、「貯蓄する意思がない」「収入よりも支出のほうが多い」「貯蓄する習慣がない」といったことが考えられます。ここで注目しておきたいのは「収入より支出が多い」ことです。

そもそも収入が増えればそれだけ税金や社会保険料の負担も大きくなります。所得税や住民税、そして健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険料が引かれます。つまり、収入で重要なのは年収ではなく“手取り収入”、いわゆる「可処分所得」なのです。

たとえば、平均的な家計の姿を示すと言われる「家計調査(総務省)」を参考に、年収1000万円超の家計の姿を見てみましょう。「第Ⅴ階級(平均年収913万円以上)」と呼ばれる富裕層の家計をサンプルに見ると……。

  • ●実収入……月額84万1046円、年1009万円(ボーナス含む)
  • ●可処分所得……月額65万8177円、年790万円(ボーナス含む)
  • ●消費支出……月額43万9510円、年527万円(諸々の生活費)
  • ●非消費支出……月額18万2869円、年219万円(税金や社会保険料など)

(総務省「家計調査」より、2015年版、2人以上の世帯のうち勤労者世帯)

「可処分所得」から「消費支出」を差し引いた金額は、月額で21万8667円の黒字。これだけ見るとかなり貯蓄ができそうです。実際に、同調査では黒字分のうち18万3982円が預貯金や有価証券、保険に回っており、預貯金だけを見れば14万7132円となっています。

本来、Kさんは年間で170万円以上の預貯金ができても当たり前、と言ってよいのかもしれません。とすれば、1割以上の世帯で貯蓄ができない理由はどこにあるのでしょう。

その可能性として考えられるのが「見栄消費」と呼ばれるものです。年収1000万円ともなれば、それ相応のお付き合いが必要となり、見栄による消費過剰が原因で貯蓄する余裕がなくなってしまう現象です。たとえば、身分不相応な住宅や車のローン返済に追われて貯蓄ができないのも過剰消費の一種かもしれません。セレブが好む超高額なブランド品を揃えるのも、典型的な見栄消費と言って良いでしょう。年収1000万円には誘惑が多く、気が付くと消費に追われて貯蓄ができない事態に……。

以前なら“とりあえず積立預金”、今は?

では、どうすれば貯蓄を習慣化できるのでしょうか。ここでポイントになるのが「貯蓄を始めるきっかけ」です。昔から貯蓄は給与から天引きで「自動積立」されるのがベストと言われてきました。節約や倹約だけではなく、可処分所得の一部を半強制的に積立てに回してしまう。貯蓄が習慣化されていないビギナーにとっては、自分の口座から自動的に貯蓄ができる「自動積立」がおすすめというわけです。

あとは、どんな金融商品を積み立てて行けばいいのか。以前なら“とりあえず積立預金”が主流でしたが、現在のように、マイナス金利政策が行われていたり、超低金利の時には、自分が取れるリスクを把握したうえで、価額変動のある金融商品を選ぶことも選択肢の1つです。たとえば、資産運用のプロが運用を行う「投資信託」を積み立てる「投信自動積立」、あるいは現在のところ日本よりも金利の高い「外貨」を積み立てて行く「外貨自動積立」が挙げられます。

「投資信託」や「外貨」の特徴は、日々価格が動く「価格変動リスク」があることですが、長期間積立てることで、この価格変動リスクを最小限に抑えることができます。価格が高い時には少なく購入し、安い時には多く購入できるため、購入価格を平準化でき、高い価格での購入を避ける効果が期待できるからです。資産運用のビギナーが金融商品による資産形成を始めるには1つの方法といえるでしょう。

「投信自動積立」と「外貨自動積立」については、それぞれ下記ページでくわしくご紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

  • 投資信託や外貨預金には、価額変動や為替変動による元本割れのリスクがあること、取引にともなう手数料がかかること、等の特徴もよく知っておく必要があります。それぞれの商品の留意点については必ず下記ページでご確認ください。

記事提供:株式会社メンバーズ