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特集:経営者さまのライフスタイル講座【vol.4】

野球やサッカーのようなスポーツは、中学・高校で体験する。しかし、ダイビングやサーフィンのようなマリンスポーツは、学校で習うことは少ない。親しい友人にしつこく勧められないと、なかなか始められないものだ。
今回はサーフィンを取り上げた。その魅力を語るのは、デジタルクリエイターとして多数の著作を持つ大重美幸さんだ。サーフィンを始めたのは30代半ば。最初は「この歳では無理」と思っていたが、すっかりはまってしまった。湘南の海の見える海岸にマンションを求め、執筆、講演、開発の合間はサーフィン。いやサーフィンの合間を縫って仕事をしているのかもしれない。
ゴルフでも同じことだが、何歳で始めても喜びは味わえる。しかし始めるのが遅かった人間は「もう少し早く始めていたら、もっとうまくなっていた」と悔しがる。サーフィンもそうだ。早く経験して、たくさん遊ぼう。仕事や家庭のストレスは波が洗い流してくれる。

海に浮かんだボードに座って、水中で足をぶらぶらさせて待っていると、遠く沖の方から3つ4つと、うねりの帯が水平線を高く持ち上げて迫ってくる。海が大きく深呼吸して体がふわりと上下する。
狙うなら2つ目か3つ目の波。手綱を強く引いて馬の向きを変えるように、体重を後ろに倒して沖に向いたボードの先端を上げて、くるりと岸に向け、そのままうつ伏せになる。胸を反り、肩越しに波を見て速度を合わせるようにパドルをゆっくり開始する。背後に迫る波を感じたとき、ふっと腰を突き上げられて前に傾きつんのめりそうになる。このタイミングを逃さずボードに両手を突いて立ち上がり、波の坂をすべり下りていく。
「波に乗る」と言うと、波頭の一番高いところに立つ絵をイメージしてしまう人がいると思うが、それは違う。波の形をCの字だとすると乗る位置はCの頂上ではなく中にできる空間だ。
崩れ落ちる波の前に立って、次々と足元に作られていく坂を下っていくのがサーフィンなのだ。

もちろんサーフィンの楽しみは波に乗ることだが、波待ちをすること、波に揉まれること、パドルすること、それらを含めてすべてサーフィンだ。波に揉まれると洗濯物の気持ちになるし、何十分パドルしても岸に押し戻される日もある。
2本、3本と波に揉まれると息が上がって泣きたくなり、「自分のようなへなちょこサーファーが今日のような日に海に入ったのが間違いでした」と反省でいっぱいになってしまう日もたくさんあった。
遠く海上で吹き荒れた風が波を起こし、岸に向けて進んでくる。同じ周波数の波が重なり合い、しだいにまとまってうねりとなる。夏、赤道海上で発生した台風が沖縄の沖合で進路を北に向けると、黒潮に乗ったうねりが湘南の海岸にヒットし始める。
海岸のぎりぎりまで到達したうねりは急に浅くなる岸辺で大きく盛り上がり、こらえきれずに時間をも巻き込むように崩れていく。「波がブレイクしている」とはこれを言う。
ブレイクポイントでの波のパワーは想像以上だ。高さがヒザ〜腰サイズなら余裕だが、胸〜肩サイズの波になると緊張が走る。頭オーバーでは勝ち目が薄く逃れることを考える。
ブレイクポイントを逃れるには、意を決して迫る波に向かって渾身でパドルし、波が崩れ出す前にうねりの裏側に回り込んでしまうことだ。
波はセットで入るから、1本目を逃れても次の2本目が襲ってくる。大きなうねりほど深い場所からブレイクするので、さらにアウト(沖)を目指してパドルしなければならない。
崖を登るようにブレイク寸前のうねりをギリギリで越えると、秘密の呪文が解けたかのように音を立てて一気に山が崩れる。
波が崩れる様子を、波のすぐ裏側から見たことがあるだろうか。サイダーの泡がはじけるようにふくれあがり、風に煽られた飛沫が音を立てて降ってくる。何度見ても興奮してしまう瞬間だ。

人が思うほどかっこよくなく、人が言うほど悪くないサーフィン。サーフィンをやり始めたのは平塚に越してからだから34歳の頃。
海まで自転車で20分ぐらいのところに住んでいて、これならなんとかなりそうだと流行り始めのボディボードを始めたのが最初。自分でも不思議なくらい波に揉まれる楽しさの虜になって、夕方になるとガマンできずに自転車で海に通う毎日。
すると、ほどなく同じ場所でサーフィンしているロングボーダーばかりのグループに誘われ、「ボードに立たなきゃつまんないでしょ」とサーフィン転向を勧められた。「この歳からじゃ無理」と言うとメンバーの中には自分より年配のサーファーがいて、彼が言うには「自分が始めたのはもっと遅いから大丈夫」とメンバーの中古ボードを買うことになってしまった。
それからというもの、彼らに合わせて日曜日の早朝6時には海に集合という生活。ちょうど世間では「ネットサーフィン」という言葉が登場し、仕事でも遊びでもサーファーとしての人生がうねり始めた。
記載された情報は一般的な情報であり、実際にご活用される場合には、別途会計士 等の専門家とお打合せください。