排出権とは?

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近年、地球温暖化が社会活動に様々な影響を与えはじめています。
主な原因は、二酸化炭素を代表とした温室効果ガスの増加が原因と考えられています。

温暖化のメカニズム

(出典)全国地球温暖化防止活動推進センター資料より

1. 京都議定書とは

1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、温室効果ガスの排出削減に関する数値目標と基本ルールを盛り込んだ法的文書「京都議定書」が採択されました。

京都議定書における数値目標は、先進国全体で2008年から2012年の5年間(=第1約束期間)の平均の温室効果ガス総排出量を1990年レベルから少なくとも5%削減するとしています。

各国の削減目標は、日本:6%削減、EU全体:8%削減(ドイツ:21%削減、英国:12.5%削減、イタリア:6.5%削減、フランス:0%削減、スペイン:15%増加等)となっています。

2009年度の速報値の実績では、日本の排出量は基準年比4.1%減少の状況です。
但し、4.1%減少という数値は、森林吸収源対策や京都メカニズムからのクレジットを含むものではないため、この数値と、日本の6%削減目標とを直接対比することはできません。
国や企業は、6%の削減目標達成のためエネルギー転換、省エネ等の自助努力、排出権の購入により着実に歩を進めているといえます。

二酸化炭素の国別排出量

(出典) エネルギー・経済統計要覧より

日本の温室効果ガス排出量(速報値)(2010年度)

(出典)環境省資料より

2. 京都メカニズムとは

京都議定書では、自国のみの対策では目標達成が困難な場合、他国での削減分を自国の削減として認める3つの仕組み(京都メカニズム)が用意されています。

  1. 1クリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)
  2. 2共同実施(JI:Joint Implementation)
  3. 3排出権取引(ET:Emission Trading)

そのなかの①クリーン開発メカニズム(CDM)とは、先進国が投資国となり、途上国において温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、その削減分を第三者機関による認証を受けた後(認証後の削減量がCER:Certified Emission Reduction)、当該先進国の排出枠として移転することが可能となる制度です。

CDMの概要

また、②共同実施(JI)という先進国同士が共同で排出削減や吸収のプロジェクトを実施し、投資国が自国の数値目標の達成のために、その削減分を排出枠として獲得できる仕組み③排出権取引(ET)という先進国の温室効果ガス排出削減量が京都議定書の定める削減目標値を達成し、更に削減できた場合に、その余剰分を金銭を対価として他国へ売却(もしくは購入)できる仕組みもありますが、現状、多くはクリーン開発メカニズム(CDM)から排出権は発生しています。

おことわり 『排出権』

一般には、排出権、排出量、排出枠、クレジット等の呼称がありますが、ここでは、京都議定書に定められた排出枠・認証された削減量等を総称して「排出権」と記載しております。なお、本邦法律上は、「算定割当量」と定義されています。