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話題の環境本

私のおすすめ Eco Book

食と建築土木 たべものをつくる建築土木(しかけ)◎ 食と建築土木 たべものをつくる建築土木(しかけ)

後藤 治 二村 悟 著 小野 吉彦 写真 LIXIL出版

 たとえば、カラー写真で紹介される兵庫県三田市のウド栽培の小屋。わらでつくられたその小屋は、誰かの家のような温かな気配が漂う。

 それは、そこで人がウドを育てているから、ウドがそこで生活しているから、つまりウドの家として当然といえば当然なのかもしれない。

 そのほか、紹介されるのは、宮崎県宮崎市の丸干し大根の「大根櫓」や、三重県南伊勢町の「海苔ヒビ」と呼ばれる、アオサ海苔の養殖棚など。これら構造物がいつごろからつくられ始め、その土地の人たちとどのように結び付きながら今日に至るのか。どのような材料をもとに何人で、また何日がかりでつくられ、最後には何日がかりで崩され、片付けられるのかなど、そこでつくられる食べ物とともに紹介される。

 また、著者と藤森照信氏の対談では、農業生産にとって重要な干す作業について、元は軒先で行われていて、やがて量産するために櫓で干すことになっていったという話や、ある地域の港近くにあった櫓が、よりよく干せるよう海からの風を求めて、段々と半島にせり出すようにつくられていった話などが語られる。

 食べ物のために、人がせっせと建築土木(しかけ)をつくり、それにつれ景色も変わっていく。ただの小屋や櫓とは思えない、温かな気配がにじみ出てくるのもわかる気がする。こうした場所から、食卓に並ぶ食べ物の味わいが育つのだと気付かされる一冊だ。


推薦人:MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店スタッフ 木戸 幸子さん


新刊紹介

◎ 雑草社会がつくる日本らしい自然

根本 正之 著 築地書館

雑草を通じて、古来日本人が身近に感じてきた日本らしい自然を再生しようとの試みを紹介。

雑草社会がつくる日本らしい自然


◎ たたかう東京 東京計画2030+

伊藤 滋 著 鹿島出版会

オリンピック開催の数年後から生産年齢人口が減っていくという東京の将来の都市計画を考える。

たたかう東京 東京計画2030+


◎ 宇宙飛行士の仕事力

林 公代 著 日本経済新聞出版社

宇宙飛行士。宇宙というハードな職場で働く彼らの仕事力に迫り、学ぶ1冊。

宇宙飛行士の仕事力


温故知新 〜今こそ、古典を〜

成長の限界 ローマ・クラブ「人類の危機」レポート◎ 成長の限界 ローマ・クラブ「人類の危機」レポート

D・H・メドウズほか 著 ダイヤモンド社

 地球規模の問題に対処するため、世界各国の科学者、経済学者、経営者、教育者などからなる民間のシンクタンクとして1970年に設立された「ローマ・クラブ」。その名を世界中に知らしめたのが、1972年にローマ・クラブのレポートとして発表された本書『成長の限界』でした。

 本書は、システムダイナミクスの理論をもとに世界のモデルをつくり、そのモデルを使って、資源が無尽蔵にあると仮定した場合や技術があらゆる問題を解決すると仮定した場合など、複数のシナリオについて検証を行っています。検証の結果は、社会のシステムに大きな変革がない限り、今後、100年以内に地球は深刻な危機に陥り、人類はその数を減らさざるを得なくなるという悲観的なものでした。無尽蔵の資源も、技術革新も、根本的な解決をもたらしません。最終的に深刻な危機に陥るという結論は変わらないのです。

 結局、持続可能な社会を営むためには、「成長」を諦め、「均衡」を目指すほかない、というのが本書の結論です。40年前にすでに結論は出ています。問われているのは、私たちの選択なのでしょう。


推薦人:株式会社日本総合研究所 マネジャー 井上 岳一


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