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コラム


茶ポリフェノールの効能を活かした、伊藤園の「茶殻リサイクルシステム」株式会社伊藤園 環境部長 鈴木尚文

茶殻に残存する有効成分を活かす

 伊藤園の「お〜いお茶」をはじめとする茶系飲料は、急須で入れるお茶と同様に茶葉から抽出して製造しているため、製造後には茶殻が排出されます。つまり、「お〜いお茶」など茶系飲料の販売量の伸びとともに、当然、茶殻の排出量も増加しています。もちろんこれまでも肥料や飼料などに有効活用してきましたが、茶殻に含まれる茶ポリフェノール(カテキン)の消臭や抗菌といった効能を、より活かすべく独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。茶殻を、効能を活かした"有効資源"として生まれ変わらせたのです。

エネルギーも無駄にしない

 工場から排出される茶殻の水分含有率は85〜95%と高く、また、温度も高いため、そのままでは非常に腐敗しやすいという問題点があります。そのため、リサイクル素材として活用するには、乾燥などの前処理が必要ですが、乾燥には、膨大な設備費用や燃料資源(石油やガスなど)の消費がともないます。また、茶殻を炭化させて活用する方法も考えられますが、炭化も乾燥と同様に膨大な設備費用や燃料資源(石油やガスなど)の消費がともないます。そのような中で伊藤園は、水分を含んだ茶殻の腐敗を抑え、輸送・常温保存できる技術と含水のまま木質やプラスチック、パルプ原料などに配合する技術を確立しました。

原料の削減にも貢献

 伊藤園の緑茶飲料は、国産茶葉を100%使用し、国内で製造しています。「茶殻リサイクルシステム」は、その製造過程で発生する茶殻を利用します。そのため、例えば紙製品の場合、海外から輸入する木材チップなどの原料使用量が減ることになり、輸入原料と運搬時に使用するエネルギーの削減に貢献しています。

環境に配慮した製品づくり

 茶殻リサイクル製品初のエコマークの認証を受けた「茶配合ボード(インシュレーションボード)」(エコマーク認定番号: 04111005)は、2010年3月、経済産業省・国土交通省・環境省の三省合同事業である住宅エコポイント対象の断熱材として、食品業界で初めて住宅エコポイント事務局に登録されました。この畳床など建築資材に使用される「茶配合ボード(インシュレーションボード)」の開発を皮切りに、「お茶入りせっこうボード」などの建材製品や、「お茶入りベンチ」などの茶殻配合樹脂製品、「茶殻入り紙ナプキン」などの茶入り紙製品といった、数多くの茶殻入り製品を開発してきました。

 茶配合樹脂を木板状に成型した「茶配合パネル」を装着した「茶殻入り抗菌エコベンダー」は、抗菌性をもち合わせた自動販売機として病院や介護施設などに展開する一方、その質感と外観が観光地や公園などに調和するといった点でも注目されています。現在、「茶殻リサイクルシステム」にご共感いただいた、三井住友銀行新宿法人営業第一部様をはじめとした様々なロケーションに展開させていただいています。

 そして、これらの茶殻リサイクル製品は、お客様との環境コミュニケーションの素材としても積極的に活用しています。例えば、当社で使用している封筒や社員の携帯する名刺を「茶殻入り」に切り替え、主力製品の「お〜いお茶」の梱包材に「茶殻入りダンボール」を採用しています。このように茶殻配合製品の研究開発に取り組み、積極的にお客様とのコミュニケーションツールとして活用することで、茶のもつ効能や、茶殻が身近な有用資源であることをお知らせできればと考えています。これまで「茶殻リサイクルシステム」は、様々な角度で環境に配慮したことが認められ、環境大臣賞や農林水産大臣賞などを受賞しました。今後も、企業として、このシステムをはじめとした様々な分野での、環境への取り組みを進めていきます。


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