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マグロ消費大国、日本の見識

 マグロの中で最も値段が高く、マグロの代名詞ともなっているクロマグロ。しかし、近年、「獲り過ぎ」でその資源量が懸念され始めている。大西洋におけるマグロ類の資源を最大の持続的漁獲を可能にする水準に維持することを目的に、1969年に発効されたのが「大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約」である。これをもとに設置された、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は、すでに、小型魚の漁獲・水揚げ禁止、産卵親魚の漁獲禁止、地中海における操業規制、飛行機およびヘリコプターによる漁業支援禁止などを定めている。

 2008年11月にモロッコのマラケシュで開催されたICCAT第16回特別会合(年次会合)では、大西洋と地中海でのクロマグロの漁獲枠を2008年の2万8,500トンから、2009年は2万2,000トン、2010年は1万9,950トンに3割削減することで合意している。

 クロマグロについて、保存管理措置の履行をサポートし、起源を明確にするため、漁獲から消費国に至る全ての段階の情報を記録し、その情報を政府が確認の上認証し、漁獲物に添付する制度も始まっている。これによれば、(日)漁獲物が漁船・畜養ポジティブリスト制度によるポジティブリスト掲載船・畜養施設の漁獲物かどうか、(月)漁獲量が漁獲枠の範囲に納まっているかどうかも一目でわかる。いわば、持続的漁獲の「見える化」である。

 とはいえ、これまで国内では、この問題に関する議論は深まってはいない。「トロが食べられなくなる」などの懸念が先行して、保存管理を支持する取り組みなどは必ずしも広がっていない。地中海本マグロの80%以上を消費しているのが日本である現状も知られていない。

 温暖化対策においては、米国はもとより、中国などの排出大国が国際的な枠組みに参加しなければ意味はないと主張するのであれば、クロマグロについては率先垂範のリーダーシップが日本に求められるはずだ。ご都合主義では、どう見ても「信頼できる国」にはなりえない。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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