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生物多様性条約ポスト2010年目標と日本

 気候変動枠組条約次期枠組みに関する議論は決着を見ないまま越年となったが、2010年は「生物多様性の年」にもなる。10月に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県名古屋市で開催されるからだ。

 この会議の主要議題の1つが条約戦略計画の改定(ポスト2010年目標の設定)である。過去、2002年のCOP6において条約戦略計画が策定され「現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という“2010年目標”が示されていた。しかし、残念なことに、この目標が未達成に終わることは誰の目にも明らかとなった。次の目標をどのように設定するのか。議長国としての日本の責任は大きい。

 政府は、2009年12月14日に「ポスト2010年目標日本提案(案)」を公表した。その“2020年目標”では「生物多様性の状態を科学的知見に基づき地球規模で分析・把握する。生態系サービスの恩恵に対する理解を社会に浸透させる」「人間活動の生物多様性への悪影響を減少させる手法を構築する」などの文言が盛り込まれている。

 「損失速度を顕著に減少させる」ためには、まずその状態を定量的に把握する必要がある。また、悪影響を減少させる手法を世界で共有しなければならない。これらは、気候変動問題に挑戦する中から学んだ教訓でもある。

 具体的な例示として、I TEEB(生態系と生物多様性の経済学)など生態系サービスの経済価値化に関する取り組みの推進、II GEO BON(生物多様性観測ネットワーク)の推進、III ミティゲーション(回避・低減・代償)の適切な実施が盛り込まれた点に注目したい。

 近年、環境関連の国際的なイニシアチブづくりで日本が主導的役割を果たしたものはほとんどない。今回の9つの個別目標を盛り込んだ日本提案も積み上げ型で、理念先行型の目標設定に馴染んだ海外の人々にどこまで支持を得られるのか、課題はある。しかし、温室効果ガス以上に実感することが難しい「生物多様性減少」に光を当てるためには地道な努力が欠かせないはずだ。名古屋会議関係者の活躍を期待したい。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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