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「新成長戦略」への期待と注文

 年も押し詰まった2009年の12月30日、新政権の経済政策の骨格にもなる「新成長戦略(基本方針)」が閣議決定された。

 環境、健康、観光の3分野で100兆円超の「新たな需要の創造」により雇用を生むという意気込みは評価されよう。世界がグリーン・ニューディール政策の掛け声のもとに、低環境負荷社会に舵を切ろうというときに、我が国の成長すべき産業分野として「環境・エネルギー」を第一に掲げるのは、ごく自然の流れといえる。

 問題は、「環境でどう新たな需要を創造するか」である。これまでの経験から、環境ビジネスや環境配慮型製品が需要を獲得するには、3つのパターンが存在することがわかっている。第一は、政府によって直接、創出される需要である。従来の一般廃棄物焼却プラントや下水処理施設などがその代表例だ。第二は、規制強化を通じて、経済活動でこれまで負担を免れていたコストを強制的に内部化することによって創出される需要である。たとえば、ディーゼル車の排ガス規制によって生じる排ガス浄化装置がその好例であり、環境税の導入で相対的に価格が低下する財もこの範疇に入る。さらに第三は、消費者の意識変化によって創出される需要である。この事例としては、FSC認証を受けた木材を使った家具や紙製品などがある。

 これ以外に、省エネランプのように、長期的にユーザーの経済的負担を減らすイノベーションによって創出される需要もあるが、このパターンだけで全体を牽引することは困難だ。だとすれば、「再生可能エネルギーの普及」「住宅・オフィス等のゼロエミッション化」「蓄電池や次世代自動車、火力発電所の効率化」「モーダルシフトの推進、省エネ家電の普及」「アジア地域における鉄道、水、エネルギーなどのインフラ整備支援や環境共生型都市の開発」などの施策を単に並べるだけでなく、需要創出パターンとの関連づけをきめ細かく行い、その需要を誘発させる周辺施策と一体で取り組みを進めていかなければならない。

 政府は、今後「基本方針」に沿って、肉づけの作業を行い、6月初めをめどに「成長戦略実行計画(工程表)」を取りまとめるという。スピード感を重視しつつ、これまでのような画餅に終わらない実行計画ができあがることを祈らずにはいられない。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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