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世論には逆らえない気候変動対策、その変化の裏には?

 2年前の秋を思い出す。2008年8月27日にコロラド州デンバーで開催された民主党全国大会で、オバマ、バイデンの両氏が民主党の正副大統領候補に指名された。大統領選では「2050年までに温室効果ガス排出を1990年比80%削減する。オークション型のキャップ&トレード制度(排出量取引制度)の導入を図るほか、年次削減目標の策定に即座に着手し、2020年までに温室効果ガス排出を1990 年レベルにすべく義務的な削減策を適用していく」と高らかに公約をアピールし、新政権は誕生した。

 翻って、2010年7月26日、リード民主党上院院内総務はAmerican Power Act(いわゆるケリー・リーバーマン法案)の早期成立を断念することを発表、28日にClean Energy Jobs and Oil Company Accountability Act が上院に提出された。この法案には、温室効果ガスの削減目標や排出量取引制度の導入などの気候変動対策はまったく盛り込まれていない。

 この間、世論の変化は大きかった。2010年3月に実施されたギャラップ社の全米世論調査によれば、「環境」に「特に問題を感じない」という人の割合が46%に達し、前年の39%から大幅に上昇した。「環境が悪い方向に向かっている」という回答は48%あるが、2008年と比べると20%も減少している。そして、アメリカ合衆国が直面する問題のうち環境問題を最も深刻な問題としてあげる人は、今年2%に過ぎなかった。「人類の危機」といっても、所詮、そのブレーキは政治的合意でしか踏めない。気候変動対策は世論には逆らえないのである。

 ハリケーン・カトリーナが合衆国南東部を襲ったのが2005年8月末、映画「不都合な真実」が米国で公開されたのが2006年5月だった。この頃から世論の関心は高まっていくが、リーマンショックのころを境に状況は一転してしまったといえる。人々の懐具合が怪しくなって気候変動どころではなくなったと解釈すれば簡単だが、理由は果たしてそれだけか。冷静に検証してみることが、未来への道を再び拓く第一歩に違いない。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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