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SAFE EYE



数量化能力が国や企業の競争力の鍵になる

 2010年10月、中国環境保護部が環境ラベル制度のもと、低炭素製品の認証を開始することが明らかになった。低炭素製品の認証とラベル発行、いわゆるカーボンフットプリントが中国でも始まる。政府は、「他国でも低炭素製品認証制度は現在構築中の段階で、中国よりスタートが1、2年早いだけ、発展途上国のなかで低炭素認証制度を構築した先例はない」と胸を張る。目的は低炭素製品の購買および消費を奨励していくためとしているが、真の狙いは別のところにあるかもしれない。

 それは「中国が気候変動への対応を非常に重視しており、責任逃れはしていない」という姿勢を明確にするということである。オバマ政権でエネルギー長官に就任したスティーブン・チュー氏が打ち出した、CO2排出基準を満たさない外国製品に対し懲罰的な高額関税を課すという「炭素関税」構想。法案化はまだ実現していないが、欧州にも同調の動きがある。これに対しいち早く、フットプリント算定の主導権を握ってしまえば批判をかわすことができる。

 中国社会科学院によると、2006年の中国の輸出に含まれるCO2排出量は約18.46億トン、輸入に含まれるCO2排出量は約8億トンで、純輸出に含まれるCO2排出量は10億トンを超えたという。こうした数字も「各国が自国生産をしなくてすみ、それによって免れたCO2排出量である。中国は各国に代わって巨大な排出量を背負っている」と説明する根拠になる。

 名古屋で開催されたCOP10で議論された遺伝資源の活用から得られる利益配分や生物多様性オフセット、ミティゲーション・バンキングでも、環境負荷や環境改善効果の数量化能力が核心を占める。これは国家間の競争の話だけではない。企業が自社の製品への批判をかわし、優位性を主張する際にも、どこまで説得力ある数量化を早期に実現できるかが鍵となるのである。国に「炭素統計局」ができたり、企業に「環境経理部」が生まれる日もあながち遠くないかもしれない。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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