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「木を見て森を見ず」に終わらない化学物質管理を

 利根川水系から取水している1都4県の浄水場で、発がん性が指摘されている化学物質ホルムアルデヒドが国の基準値を上回る濃度で検出された問題。流域の35万世帯が断水の影響を受けた。

 排出企業が廃液処理を産廃業者に委託した際、原因物質ヘキサメチレンテトラミンを含むことを告知しなかったため、処理し切れなかった同物質が川に流出し、浄水場の塩素消毒でこの物質からホルムアルデヒドが生成したとされている。

 今回の事例は、環境行政が進んだとはいえ、化学物質についてはさまざまな落とし穴が潜んでいることをあらためて教えている。環境省は、今後の対応を話し合う有識者の検討会を発足させ、塩素と反応してホルムアルデヒドになる原因物質の排出について、何らかの法規制が可能かどうかの検討を始めた。7月下旬までに中間とりまとめを行うという。

 焦点は「有害ではない有機物が別の物質と反応して有害になる」というケースを数え上げれば切りがないという点だ。もちろん、今回の教訓を踏まえて、ヘキサメチレンテトラミンに法の網をかけることを無意味だというつもりはない。しかし、化学物質の使用を減らしていく議論につなげていかなければ本質的な意味はなかろう。この3月に発表された「平成22年度PRTRデータ」によれば、届出物質のうち継続的に管理が求められている276物質ですら、その届出排出量と届出移動量の合計は前年度から0.8%減少したにすぎない。「木を見て森を見ず」に終わらないよう願いたい。

(株式会社日本総合研究所 足達 英一郎)


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