環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

トレーのリサイクルに取り組み始めた経緯についてお教え願えますか。

 リサイクルの必要性に気づいたのは、アメリカでの食品容器に対する抗議運動がきっかけでした。アメリカには、食品容器業界が組織するFPI(Foodservice Packaging Institute)という団体があり、私は準会員として毎年5月の総会に出席していました。1989年の総会で、ハンバーガーチェーンのマクドナルドに食品容器を納入していた業者から、使い捨て食品容器に抗議した消費者団体による不買運動の話を聞かされ、大変なショックを受けました。いずれ日本でも同様の不買運動が起きるかもしれないと考えた私は、帰国後に行われた国内の業界団体の総会で即刻食品容器のリサイクルに着手するべきだと訴えました。

 弊社がトレーのリサイクルに取り組み始めたのは、翌年、1990年のことです。当時の日本ではリサイクルという概念が浸透しておらず、協力してくれる店舗を探すだけで大変でした。そこで、私自らスーパーの社長を説得し、ようやく福山と大阪の6店舗でトレー回収を始めたところ、NHKテレビに取り上げられて大反響となり、日によっては7,000枚ものトレー回収を実現し、スーパーの売り上げも2割増えるという大きな効果が生まれました。その後、反響が反響を呼び、わずか1年足らずでトレー回収拠点が1,000店舗に広がり、瞬く間に全国へ波及したのです。

御社独自のリサイクルシステム「エフピコ方式」についてご紹介をお願いします。

 エフピコ方式には、2つの特徴があります。1つ目の特徴は、消費者、小売店、包材問屋、エフピコの4者が一体となったリサイクル体制です。簡単に仕組みを説明しますと、まず消費者の方には、洗浄・乾燥した使用済みトレーを店舗の回収ボックスに返却していただきます。回収されたトレーは、弊社が引き取り自社工場でリサイクルします。包材問屋を介して商品を卸している場合は、包材問屋の方にトレーの回収と一時保管をお願いし、弊社が引き取る方式を取っています(図表1)。リサイクルのネックといわれる回収時の運搬コストは、商品納入後の帰便トラックの空きスペースを利用した静脈物流によって抑制しています。弊社は約9割を自社物流で賄っているので、静脈物流システムと合わせることによって、運搬コストの大幅な抑制を実現しています。

 2つ目の特徴は、回収したトレーを再びトレーに生まれ変わらせることです。回収したトレーを、もう一度トレーとして再生できれば、理論的には完全な資源循環型システムを実現できます。リサイクル事業に取り組む以上、何としてもこのトレーtoトレーを実現したいというのが、当初からの理想でした。しかし、プラスチックトレーは、破砕してペレット化する際に夾雑物が混ざりやすいため、新品同様の品質を実現することは非常に困難です。そのうえ、当時は食品衛生法で定める基準に適合する再生ペレットを実現する技術がなかったため、せっかく回収したペレットも文具などトレー以外のリサイクル品に使うしかありませんでした。そこで、我々は衛生的なペレットを精製する技術を独自開発し、ついに念願のトレーtoトレーを実現しました。破砕・洗浄・脱水工程を工夫し、200度の高温で原料を溶かす再生一貫プラントを開発し、衛生的な再生ペレットを精製できるようになったのです。このペレットを使えば、衛生的にまったく問題ないトレーを生産できるのですが、我々は、さらに消費者の不安を払拭するため、再生トレーをバージンフィルムでラミネート加工し、より衛生的で強度に優れた質の高いトレーを実現しました。

 こうしてリサイクルされた弊社のトレーは、1991年に食品容器として初めて財団法人日本環境協会より「エコマーク」商品として認定され、2000年には「エコトレー」として商標登録されました。その後、環境問題に対する社会の意識が高まり、「エフピコ方式」のリサイクルは、業界だけでなく多くの消費者の方から認知され、回収量は年々増え続けています(図表2)。

「エフピコ方式」のリサイクルによって実現される環境面での効果についてお教え願えますか。

 1990年9月にトレーのリサイクルを開始して以来、2008年3月までに、約179億5,875万枚、7万1,835トンの使用済みトレーを回収しました。これは、東京ドーム約11.8杯分(東京ドームの容積は124万立方メートル)に相当する廃棄物抑制効果となります。また、エコトレーの利用は、バージン原料を使用したトレーと比較すると、原料調達から製造、物流、使用、廃棄に至るライフサイクル全体で1キログラム当たりのCO2排出量を65%に抑制できると試算されています(図表3)。

御社では、新たに透明容器のリサイクルも開始されたそうですね。

 強度の高い透明ポリスチレン製容器は、食品を積み重ねて陳列できる使いやすさや、物流の容易さから、近年その需要が急速に高まっています。こうした状況をあらかじめ予測していた我々は、以前から発泡スチロールトレーだけでなく、透明容器のリサイクルにも取り組まなければならないと考えていました。そこで8年ほど前に、広島県の工場に透明容器専用ラインを設置し、透明ポリスチレン製容器をリサイクルする研究を進めてきました。しかし、さまざまな樹脂からなる透明容器は素材分別が非常に難しく、混在した原料を使うと再生時に透明度を確保することができません。この課題をクリアするため、我々は海外のリサイクルプラントに何度も足を運んで研究を重ね、さまざまな技術を導入し、数年にわたる試行錯誤を続けてきました。2007年の光学自動素材選別機の完成によってようやくその成果が表れ、製品化のめどを立てることができました。今では、広島、茨城、岐阜、兵庫の4県で透明容器の自動素材選別専用ラインが稼働しており、透明容器の回収・リサイクルを本格的に全国展開する予定です。

今後の取り組みについてお教え下さい。

 弊社では、京都議定書の目標年を2年間前倒しにした2010年度を目標年とする「環境5カ年計画」を策定し、環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。この計画では、運輸部門における燃料消費原単位(原単位:リットル/1,000枚)40%削減や、製造部門におけるエネルギー原単位(原単位:ワット時/枚)30%削減など各部門で具体的な目標数値を設定し、CO2削減活動に取り組んでいます。2年目を迎えた2007度は、運輸部門で約28%、製造部門で約23%の削減を実現しており、順調に進めば2010年には目標達成が可能だと考えています。

 他にも、昨今注目されているCO2を“見える化”する「カーボンフットプリント制度」にもいち早く対応し、すべての製品でCO2排出量の把握・開示ができる体制を構築しています。

 また、2008年12月には三井住友銀行の「SMBC環境配慮評価融資」の仕組みを活用し、環境活動への投資をさらに拡大しました。今後も、こうした低炭素社会づくりを支援する制度や商品などを積極的に活用しながら、環境への配慮をいっそう強化し、循環型社会の構築に貢献できる企業経営に取り組んでいきたいと考えています。

会社概要

社名
株式会社エフピコ
所在地
広島県福山市曙町1-12-15
資本金
131億5,062万5,630円
事業内容
簡易食品容器の製造・販売ならびに関連包装資材などの販売
TEL
084-953-1145
URL
http://www.fpco.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.77(2009年5月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。

新しいウィンドウで開きます。『SAFE』Vol.77(2009年5月号)


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