環境ビジネス情報

印刷用ページを別ウィンドウで開きます



環境経営の現場から

都市油田を開発し、循環型社会づくりに貢献する再生原料メーカー 協栄産業株式会社 代表取締役社長 古澤 栄一 氏

御社の沿革と事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 弊社を設立した1985年当時は、バブル最盛期で市場にモノがあふれ、古いもの、不要なものは即座にゴミと化し、工場から大量の廃棄物が吐き出されている時代でした。先進技術を競うメーカーは、知的財産の漏えいを懸念するあまり他者に廃棄物処理を依頼するという発想がなく、再生可能な資源廃棄物もほとんど焼却あるいは埋め立てられていました。こうした状況に対し私は、国土が狭く資源を輸入に頼る日本が、このままの姿で15年先に迫る21世紀を迎えられるはずがないと考えていました。地下資源の少ない日本は、廃棄物から資源を取り出して活用しなければ、いずれ国際競争力を保てなくなると考えたのです。そこで弊社は、廃棄物に含まれる石油由来の再生可能資源を『都市油田』と位置づけ、資源リサイクルの必要性を企業に訴える取り組みをはじめました。業界の新参者でしたから当初は苦労しましたが、多くの企業さまの理解を得て、ポリエステル樹脂の再生に特化することで徐々に事業を成長させることができました。

あらゆる用途でバージン原料と代替可能な再生ペレットを実現した御社の技術力に大きな注目が集まっています。その概要についてご紹介をお願いいたします。

 廃棄物を再生資源にするには「分ければ資源、混ぜたらゴミ」の発想で、徹底的に選別して単一素材にし、さらに不純物を取り除くことが重要です。弊社では、さまざまな設備と人の目を使い徹底的に選別した後、アルカリ洗浄プラントで不純物を取り除いています。さらに樹脂に入り込んだ化学物質は、再縮合重合という方法で化学的に取り除きます。再縮合重合とは、真空・高温の特殊な条件下で分子間の分離・結合反応を起こし、異物を完全に取り除く方法です。再縮合重合を利用すれば、異物を取り除くだけでなく再生ペレットのIV値(固有粘度)を制御することも可能です。従来の再生技術がバージン材料と同等の品質を実現できないのは、熱によってIV値が低下する物性劣化が原因でした。弊社の再縮合重合方式を使えば、IV値を0.55〜0.85の範囲で制御でき、バージン原料同等の高品質な再生ペレットを製造することができます。

物性値を制御することで、あらゆる用途に応じた再生ペレットを製造できるのですね。

 耐熱性や柔軟性、硬度、色など、製品の用途や製造方法によって必要とされる樹脂の物性値は異なります。バージン原料であれば物性値の制御は比較的簡単ですが、これまでの再生ペレットでは、お客さまの求める物性値を実現することは困難でした。弊社では、IV値を制御できる再縮合重合技術に加え、社内研究部門に先進的な設備と専門研究員を配置することによって、さまざまな物性の再生ペレットを製造できる体制を整えました。弊社では、このオーダーメイド・リサイクル事業を積極的に推進しており、これによって資源循環の輪をあらゆる分野に広げたいと考えています。

高品質な再生ペレットの製造が可能になったことで、製造分野での資源循環が進展するかもしれませんね。

 環境意識の高まりによって、世界的に資源の有効活用が叫ばれるようになり、リサイクル原料の利用は、単に品質やコストだけではなく環境制約対応という面が強まってきました。また、レアメタルのように流通量が少なく産出国が偏在している資源に関しては、資源制約対応としてリサイクル原料の重要性が今後さらに大きくなるでしょう。こうした流れからいって、これからの製造業はバージン原料と同等の品質であれば、コストだけではなく環境制約対応、資源制約対応としてリサイクル原料を積極的に利用するようになると考えています。

 また、国内産業の保護、雇用の確保、地域活性化といった意味でもリサイクル原料の利用が求められると考えています。日本は、資源を輸入して加工し完成品を輸出することで経済成長を遂げたモノづくりの国です。地下資源が少ないがゆえに、原料高騰などコスト高要因が高まると海外に工場が移転してしまう空洞化現象が起きがちです。空洞化現象を避け国内の生産拠点を活性化するには、都市油田を開発して資源を循環させることが必要です。

 近年は産業のグローバル化が進んだため、原料確保から加工、利用、廃棄、再生というリサイクルの輪が国境を越えてしまう傾向が見られます。たとえば、日本は資源を輸入して加工品を輸出するだけで、その製品の廃棄・再生が海外で行われるという状況です。こうした状況が進展していくと、いずれ日本にはリサイクル技術がなくなってしまう恐れがあります。私は、このような風潮を大変危惧しています。どうしても廃材・廃棄物は発生します。いったん使われたものをバージン原料と同等の品質にまで高めることで、国内循環につなげていく。限られた資源を最大限に活用するべく、工夫を重ね技術を研鑽することの中に、モノづくりの重要な要素が含まれているのではないでしょうか。

御社では、他にも「カーボンニュートラルペレット」や「湘南国際マラソン」の協賛をはじめ、さまざまな環境活動に取り組んでいらっしゃいます。

 環境問題というのは弊社だけが取り組んで解決できる問題ではありません。だからこそ、より多くの方々と協力し合える体制をつくるため、さまざまな活動を進めています。

 中国やインドの風力発電プロジェクトから購入した排出権(CER)で、再生ペレット製造時のCO2排出量をオフセットした「カーボンニュートラルペレット」は、本業に直結する環境配慮の取り組みです。他にも、毎年3万人規模の参加者がある「湘南国際マラソン」に協賛し、会場でごみ分別のボランティアを行うとともにリサイクルの重要性を啓発したり、同じく協賛している「全国高校生エコ・アクション・プロジェクト」の一環として、高校生を工場に招いて都市油田を活用するアイデアを一緒に考えたり、経済産業省・農林水産省・環境省の後援をいただき「PETボトルリサイクルシンポジウム」を開催するなど、さまざまな活動を行っています。

循環型社会の推進に必要なことについて、ご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

 日本の資源再生技術は、非常に高いレベルにあると思います。今日では、再生ペレットを使って製造できない樹脂製品というのはほとんどないといっていいでしょう。だからといって、あらゆる分野の樹脂製品に再生ペレットが利用されるわけではありません。最大の障壁は消費者心理です。すでに多くの製品がリサイクル材を使っていますが、リサイクル材の使用を公表している製品はあまり多くありません。これは、リサイクル材の使用を公表することが、消費者のマインドを冷やすのか、逆にプラスに作用するのか読み切れていないからだと考えています。

 我々リサイクル材を扱う業者は、安全性、耐久性、衛生面などにおいてリサイクル材の品質の高さを訴求し、消費者の信頼を高めていかなければならないと思っています。信頼を獲得することによって「同じ価格だったらリサイクル材より新品の方がいい」という消費者心理を「同じ価格だったら環境に優しい企業の製品を買いたい」というマインドに変えていく努力をしております。

 日本を豊かにしていくには、モノの豊かさだけではなく、心の豊かさを求めていくことも大切です。そのために、我々は技術や品質の追求だけではなく、リサイクルという文化を広げる活動にも注力していきたいと考えています。

会社概要

社名
協栄産業株式会社
所在地
栃木県小山市城東2-32-17
資本金
1,000万円
事業内容
合成樹脂再生加工販売および産業廃棄物関連事業
TEL
0285-22-7988(代表)
URL
http://www.kyoei-rg.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.86(2010年11月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


環境経営の現場からトップへ

印刷用ページを別ウィンドウで開きます

このページの先頭へ戻る