環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

無線ネットワークとセンサーを活用し環境情報をリアルタイムで見える化 杉原エス・イー・アイ株式会社 代表取締役社長 杉原 俊夫氏

御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

 創業は1968年(法人化は1973年)、通信機器の部品製造から事業をスタートしました。絶対に故障が許されない通信機器の製造は品質要求レベルが非常に高く、弊社は同分野で蓄積した高度な技術を核として、その後自動車やITなどさまざまな業界へ事業を拡大してきました。弊社の強みは、設計から開発、資材調達、製造、品質保証まですべてを自社で行えるEMS事業を展開していることです。EMS事業でお客様から評価をいただけたのは、社内で技術者を育成し続けてきたことと、最先端の生産設備に積極的な投資を続けてきたからだと自負しています。

自社開発製品の「ユビキタスコンパス」のご紹介をお願いいたします。

 長年蓄積してきた通信機器の製造開発技術とノウハウを生かし、2003年に事業をスタートさせたのがRFID(非接触型自動認識システム)事業です。ユビキタスコンパスは同事業を象徴する統一ブランドであり、無線タグや温度・湿度・照度・気圧・加速度などの各種センサーおよび電力計測ユニット、ソフトウェアなどの製品、サービスで構成されています。ユビキタスコンパスの特徴は、低消費電力の無線通信技術を用いてさまざまな環境変化をリアルタイムで監視し、パソコンや専用モニターを使ってデータの確認、加工、分析などを行えることです。このユビキタスコンパスのセンサーや無線ユニット、ソフトウェアなどを組み合わせて環境情報を監視するソリューションを、弊社では「エコモニタリングシステム」と位置づけて提供しています。

「エコモニタリングシステム」の具体的な適用例をお教えいただけますか。

 今、最も引き合いが多いのは、電力計測ユニットを組み合わせた消費電力量の"見える化"ソリューションです。ご存じのように今夏は電力の供給不足が懸念されており、すべての企業にとって節電が重要な経営課題となっています。効果的な節電策を実行するには、まず現状の電力消費の実態をできる限り詳細に把握することが必要です。蛍光灯を間引く対策とLED照明への変更とではどちらの節電効果が高いのか、生産設備を断続的に休止させながら稼働したときと連続運転させた場合の消費電力量とではどちらが高いのか、エアコンの消費電力量は時間帯や曜日、気温によってどの程度異なるのか、さまざまな状況を詳細にモニタリングすることが効果的な節電策の実現には欠かせません。弊社以外にも電力消費量を計測する機器やシステムはありますが、事業所・工場内の配線工事が必要なものが多く、設置に多額のコストがかかってしまいます。これに対し弊社のエコモニタリングシステムは、無線を利用しているため配線工事が不要で初期導入コストを大幅に抑えることができます。クランプ式の電流センサーをワンタッチで取り付けるだけなので、専門の技術者でなくても容易に設置できます。収集したデータは無線でパソコンに取り込まれ、モニタリングソフトを通じてリアルタイムで消費電力量が表示されます。データはCSV形式で出力できるので、Excelなどに取り込みグラフ化したり、分析することが可能です。このシステムを利用して24時間の消費電力を計測してみると、設備機器や事務機器などの待機電力が意外に高いことや、始業時や昼休み後に電力消費のピークがあるなど具体的な傾向を可視化できます。状況を可視化できれば、待機電力対策を実行したり、装置ごとに稼働時間をずらすなど具体的な対策を立てられます。さらに、エコモニタリングシステムを利用していれば節電対策の効果を検証し、継続的な改善策を施すことができます。効果的な節電を行えば、電力消費に伴うCO2排出量の削減につながり、企業はコスト削減というメリットを得られます。

電力計測以外には、どのようなソリューションがあるのでしょうか。

 たとえば、温度・湿度センサーでオフィスや店舗、工場内の温湿度分布を可視化し、その分布を平準化できるようエアコンの風向きやレイアウト変更などを行えば、設定温度を上げても快適な環境を実現することができます。他にも、建物内の人や物の動きをセンサーで計測して動線を改善したり、位置情報を計測して物流や交通網を効率化してCO2を削減したり、加速度センサーで建物や構造物の振動・傾きを計測したり、水や土壌、空気を計測して環境変化を把握するなどさまざまなソリューションが考えられます。

 弊社はデータの計測と収集を行うシンプルな機器を提供しているだけで、それをどう組み合わせて活用するかはお客さまのアイデア次第です。これからもお客さまのアイデアに学ばせていただきながら、ユビキタスコンパスを進化させ、環境問題に貢献していきたいと考えています。

製品以外に御社が推進されている環境活動がございましたらお教えいただけますか。

 弊社では地球環境の保護と安全に努め、生産活動を通じて社会に貢献し、クリーンな製品と環境を提供することを環境理念として掲げています。この理念に基づき環境保全活動を継続的に推進するため、弊社の活動、製品およびサービスに関わる環境影響を的確に把握し、全社員一丸となって環境マネジメントシステム(ISO14001)と環境活動の継続的改善を推進しています。具体的には空調、照明、事務機器、生産設備および車両等の使用効率の向上による省エネ、産業廃棄物の削減、梱包材のリサイクル、工場敷地の25%を緑地化、地域貢献のために地元広瀬川河川敷のごみ拾いなど、さまざまな活動に取り組んでいます。

今後の事業展望をお教えいただけますか。

 EMS事業では、アジア諸国が真似できない最先端のテクノロジー、品質レベル、納期を追求し、お客さまとともに成長を続けていきたいと考えています。RFID事業については、経済産業省からの委託事業として、目下「高度センシング技術とGPSの連携による屋内外高精度測位システムの開発」に取り組んでいます。このシステムに関しては正式な製品リリース前ですが、すでに多方面のお客様から引き合いをいただいています。こうした期待に応えられるよう実用化に向けてさらなる研究開発を進めていく所存です。

東日本大震災以降、環境に配慮したエネルギー利用や技術開発の在り方が問われていますが、杉原社長のご意見をお聞かせいただけますか。

 この度の震災で日本は大変困難な事態に直面しました。しかし、日本人は忍耐力、対応力、そして賢さでこの難局を必ず乗り越えられると信じています。この経験を糧にして日本人は再び立ち上がり、新たな環境技術やエネルギー問題の解決策を見いだし、世界をリードする存在になると信じています。弊社も電気・電子分野で培ってきた技術を生かし、独自の視点で環境問題やエネルギー問題にアプローチし、日本の復興に貢献したいと考えています。

会社概要

社名
杉原エス・イー・アイ株式会社
所在地
群馬県伊勢崎市今井町313
資本金
6,100万円
売上高
119億円(2010年度)
事業内容
電子機器の製造受託サービスおよびRFID関連製品・サービス
TEL
0270-25-8101
URL
http://www.ssei.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.90(2011年7月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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