環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

節電と創エネを推進し、環境に配慮した精密金属部品で業界をリードするばねメーカー 大陽ステンレススプリング株式会社 代表取締役会長 横山 正二氏

御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。 

 弊社が創業した1942年当時のばね部品は、鋼に焼き入れをしメッキを施す製造法が主流でした。しかし、この方法で製造されたばねは経年劣化でメッキが剥がれ、さびが発生してしまうという課題を抱えていました。この課題を解決するため、弊社はクロムやニッケルを含ませたさびないステンレス鋼を使ったばねづくりの研究を進めたのです。その結果、当時の金属加工専門家や技術者の間でいわれていた「ステンレスではばねはできない」という常識を覆し、日本初のステンレス鋼ばねを誕生させることに成功しました。弊社はそのノウハウを駆使して次々に新しい金属製品用の部品や環境に配慮した部品を開発してきました。今ではコイルばね、板ばね、シャフト、スペーサー、ガイド、光コネクター用スリーブなど4万種類もの精密金属部品を製造しています。現在は自動車関連、家電製品、重電機、携帯電話、建築関連と幅広い分野で国内外3,000社以上の企業と取り引きを行っています。

 弊社が半世紀を超えて事業を継続することができた理由は、「ほかが手を出せない金属部品加工に徹してきたこと」「固有の技術を確立してきたこと」「金型製造、熱処理、表面処理、強度や精度を出すこと」、さらに、これらのベースとなる「人を大事にすること」を守りながら常に新しい挑戦を続けてきたからだと考えています。

御社の環境方針をお教えいただけますか。

 弊社は「創造・調和・革新」を経営理念とし、金属部品および電子部品などの開発・製造を担う企業として「地球環境を健全な状態で次世代に継承することを責務と認識し、環境保全活動に取り組む」ことを基本理念に掲げています。環境スローガンは「自然を愛し、健康で住みやすい環境を築こう」です。また、@環境マネジメントシステムに基づきPDCAサイクルを回し、継続的改善および汚染の防止に努める、A部品サプライヤーとして「環境に配慮したモノづくり」を実践し、顧客をはじめとする利害関係者が期待する環境ニーズに応え環境保全に努める、B環境側面に関連する適用可能な法的要求事項および弊社が同意するその他要求事項の遵守に努める、という3点を環境方針として掲げ、グループ全体で遵守しています。さらに、長期的かつ継続的な温室効果ガスの排出削減に向けて、2008年には地球温暖化防止の「行動宣言」を発表しました。

環境に配慮した具体的な活動をお教えいただけますか。

 「各事業所のエネルギー使用量の把握」「機器設備の見直しや更新によるエネルギー使用量の削減」「省エネ行動3R(Reduce、Reuse、Recycle)の徹底」「環境意識の向上」「廃棄物の分別」などの活動を推進しています。

 特に環境知識という点では、一人ひとりが目的意識を持って行動することが重要だと考え、社員に「eco検定(環境社会検定試験)」の受験を推奨してきました。その結果、この3年間で26名(大陽グループ)の合格者を輩出することができました。今では彼らがグループの省エネ活動を推進する中心的な役割を担っています。さらに弊社では、2008年からクールビズ・ウォームビズにも積極的に取り組んできました。毎年、独自の手づくりポスターを作成して各事業所に貼り出し、社員の意識向上に努めています。「他社がやっているからうちでも」という捉え方ではなく、自分たちの「思想」になるまで、こうした地道な活動を続けていくことが大事だと考えています。

地域社会に向けたメッセージも発信されていると伺いました。

 弊社の設立から66年間利用させていただいている最寄り駅が高架になった際、「素敵なこの街に生まれ育てられた・大陽ステンレススプリング」というメッセージ入りの看板を掛けさせていただきました。このキャッチコピーは社員が考えたもので、地域への感謝を表したものです。また、この看板には「地球温暖化防止」のメッセージも併記しています。環境問題にしっかり向き合い「地域と共生」していかなければ企業は生き残っていけないことを表すと同時に、「看板に偽りあり」という事態に陥らないよう常に自覚を促すためのメッセージとなっています。

2008年に新設された環境に配慮した新工場のご紹介をお願いいたします。

 埼玉県入間市では、すでに第1〜第3工場が稼働していたので、新工場の名称は「第4工場」とするのが定石ですが、あえて今までとは発想を変え、今後の弊社の“進化の象徴”とするべく「08センター」と命名しました。新工場は省エネ法を遵守するため、最新の省エネ技術を積極的に導入しています。たとえば、高効率エアコン、ソーラー発電街灯、LEDダウンライト、人感センサー付き照明、厚い断熱材などを工場の随所に設置。また、工場立地法では敷地全体の20%を緑地化することが義務づけられていますが「08センター」では駐車場も緑地化することで25%を確保しました。さらに、地下へ雨水を戻す施工技術、駐車場緑化・芝生保護材、雨水浸透アスファルト、熱反射性の高いガルバリウム鋼板の屋根などを設置、こうした対策により施設に関わる電気量として年間1万3,200キログラム、約20%のCO2排出量削減を実現しています。

グループ全体の環境配慮活動のご紹介もお願いいたします。

 「08センター」は環境に配慮した工場ですが、いくら建物が立派でも実際に作業をする人の心が環境に優しく向き合っていなくては意味がありません。私は、常にこのことを社員に伝え続けてきました。グループ全体の地球温暖化防止活動として「家庭から、街から、職場から」というスローガンを掲げ、「やらない目標より、出来る行動から」を合言葉に、社員のアイデアを生かしたいろいろな手づくりポスターを作成して自発的な全員参加の活動に取り組んできました。また、グループ会社の大陽精機株式会社を貸与ビルから自社社屋へ移転。その際に「08センター」をモデルとして徹底した環境配慮を凝らした「エコ事務所」へと生まれ変わらせました。新社屋の屋上にはソーラー発電システム、風力発電システムを設置して自然エネルギーを最大限に活用。さらにLEDダウンライト、高効率照明、高効率エアコンなどを採用して省エネを促進し、年間のCO2排出量を約22%削減することができました。

環境配慮と事業成長の両立についてのご意見をお聞かせください。

 東日本大震災以降、弊社だけではなくすべての企業にとって節電が重要な課題となっています。もちろん弊社も節電には最大の努力を払いますが、基本的には電力状況がどうあれ、企業は地球環境を保護する姿勢を持つことが重要だと考えています。また、企業はいつの時代も「変化へいかに対応するか」を考えなければいけません。特にモノづくり企業は、守りだけでは企業を維持できませんから、これまでに培ってきた技術力を再構築して変化への対応力を磨き、常に攻めの姿勢を堅持しなければいけないと考えています。そのような姿勢が、結果的に環境配慮と事業成長を両立させることにつながると信じています。

 半世紀を超えて小さな部品と歩んできたモノづくりの原点を忘れることなく、環境の時代となる今後も成長を続けていく所存です。

会社概要

社名
大陽ステンレススプリング株式会社
所在地
東京都練馬区三原台1-15-17
資本金
4億8,400万円
事業内容
ばね部品、シャフト部品、ガイド部品、金型・治具等の製造・販売
TEL
03-3922-4111
URL
http://www.taiyo-sp.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.91(2011年9月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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