環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

企業間連携で技術やアイデアを結集し、日本発のスマートコミュニティを世界へ 株式会社PALTEK 代表取締役社長 高橋 忠仁氏

事業の概要と環境分野への取り組みについて、ご紹介をお願いいたします。

 弊社は1982年の創業以来、国内エレクトロニクスメーカーに対して半導体・設計ソフトの販売、受託設計サービス、さらにお客さま製品の試作開発から量産段階までの技術サポートを提供してきました。特に通信分野では、無線・有線のインフラから端末、放送映像関連機器、データセンターで使用されるストレージ・サーバー、各種医療機器、ならびにこれら最先端技術の開発・検証に欠かせない各種計測機器などの開発に携わってきました。

 環境への取り組みは、創業当時から「多様な存在との共生」を経営理念とし、「地球との豊かな共生を図る」という行動指針を掲げ、事業活動を行っています。1999年には「PALTEK環境憲章」を制定し、全社員参加によるエコライフ宣言など独自の活動を展開してきました。さらに2010年には、社長直轄組織としてスマートグリッド推進部を立ち上げ、エネルギー供給効率の向上やネットワークとの融合、再生可能エネルギー利用等を推進する事業に注力しています。

スマートグリッド事業の概要と個別技術のご紹介をお願いいたします。

 弊社のスマートグリッド事業は、@通信用半導体をベースにしたソリューション、A自社オリジナルのソリューション、B建物、工場、街などにおけるグランドビジョンの創出という3つに大別できます。

 1つ目は、スマートグリッドの実現に欠かせないキーデバイスやソリューションの提供です。たとえば、電力網でデータ通信を実現するPLC分野では、ヨーロッパでデファクト・スタンダードとなりつつあるPRIME規格に準拠したOFDMベースの低速PLCを提供しています。PRIMEのようなスタンダードを取り入れて製品開発を進めることは、国内企業が世界のスマートグリッド市場へ進出する上で欠かせないことだと考えています。そのために弊社では、常に世界的な技術や標準化の動向をウォッチし、いち早く顧客に提供できる体制を整えています。また、この事業領域では、無線の計測機器を活用した工場やオフィス、建物の「電力見える化」や「エネルギー管理」などを実現するBEMS(Building Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)などのソリューションも提供しています。

 2つ目は、太陽光発電リアルタイム・パワーコントローラなどの自社開発ソリューションの提供です。太陽光発電リアルタイム・パワーコントローラは、太陽光発電の出力を模擬的に発生させるシステム製品です。太陽光発電を系統電力網に取り入れたり、電気自動車や電化製品などで利用するには、天候に左右される不安定な電流/電圧を変換するエネルギー制御システムが必要不可欠です。多くの企業では、不安定な電力を制御する装置を開発するため、工場や研究施設に太陽光発電を設置してデータを収集しています。しかし、365日計測し続けても、数年に一度というレベルの突発的な気象時のデータを収集できるとは限りません。だからといって、突発的な気象時の挙動を検証せずに製品化を進めては、信頼性を担保することができません。このような課題があるため、エネルギー制御システムの開発には膨大な時間とコストがかかっているのです。この問題を解決するのが、弊社の太陽光発電リアルタイム・パワーコントローラです。この製品は、過去の気象データを活用することで、さまざまな気象条件における太陽光発電の挙動および出力環境を再現できます。これによりエネルギー制御システムの開発期間およびコストを大幅に削減できるのです。

 3つ目の柱は、2011年6月にスタートした「横浜スマートコミュニティ」に関連する事業です。弊社は、同プロジェクトに事務局として参画し、スマートエナジー研究所やdSPACE Japanとともにスマートグリッドを活用して実現する低炭素型社会のグランドビジョンづくりに取り組んでいます。

横浜スマートコミュニティの概要をお教えいただけますでしょうか。

 横浜スマートコミュニティは、2010年に戸建住宅を対象に実施された福岡スマートハウスコンソーシアムの成果を発展させ、より広範囲のエネルギー融通実験を行う民間主導のプロジェクトです。弊社も参画した福岡のプロジェクトでは、わずか1年で自律的なスマートエネルギーシステムの構築を実現しました。短期間でこうした成果を上げられたのは、航空機や自動車の設計に用いられる先進的なモデルベースデザインを応用した新しい開発手法を構築したことと、異業種の企業が緊密なパートナーシップを築きシナジーを発揮したことが要因だといえます。

 横浜スマートコミュニティも福岡同様、民間企業のパートナーシップにより運営されるプロジェクトです。その特徴は、あらかじめ決められたゴールを目指すような補助金目当てのプロジェクトではなく、参加するすべての企業が本気で次世代のビジネスを生み出し、よりよい社会づくりに貢献したいという思いを共有していることです。

 スマートグリッドは、エネルギーだけではなく電気・電子、土木、建築、流通など広範囲にわたる技術やノウハウが必要な複合ソリューションです。この複合ソリューションを成功させるには、シーズとニーズの融合が欠かせません。一般に、作り手側はシーズから発想を展開してしまい、ニーズを把握する側は専門的な技術や情報が少ないため概念論に終始しがちです。これではスマートグリッドの実現は困難です。そのため横浜スマートコミュニティでは、シーズとなる技術を持つ企業とニーズを把握する企業、双方の参画を重視しています。2011年9月末時点で弊社のほか28社に参画いただいていますが、もっと多くの企業の参画を求めたいと考えています。スマートグリッドは多岐にわたるソリューションですから、これまでエネルギー分野の経験がない企業でも、きっと活躍の場があるので、ぜひともさまざまな業種の企業に参加いただきたいと思っています。

 我々は、このプロジェクトを単なる実証実験で終わらせるつもりはありません。このプロジェクトを通じて必ずイノベーションを起こし、地域活性化、さらには日本を変えたいと考えています。このプロジェクトに共感し、一緒に日本を変えたいという企業の参画をお待ちしています。

スマートグリッド普及の見通しについて、ご意見をお聞かせいただけますか。

 個人的には、3月11日の大震災が起きるまでスマートグリッドは夢物語だったと思っています。震災前までは「高品質で安定した電力網が整備されている日本にスマートグリッドは必要ない」というのが業界の共通認識でした。しかしながら、震災後の輪番停電や電力使用制限令発動により、状況は一変しました。電力のデマンド・レスポンスとピークカットは喫緊の課題となったのです。

 今後は、電気料金変動制を導入して需要を抑制するとともに、スマートメーターによるデマンド・レスポンスにより需要家のエネルギー利用を制御する仕組みが整備されると考えられます。将来的には、自然エネルギーを生かした分散電源化が進み、災害時の避難地区でも自立した電力運用が可能になるでしょう。こうした流れの中で、新たなスマートエネルギー・マネジメントシステムが整備され、それを管理運営するアプリケーションやサービス等の産業が成長し、被災地の復興、さらには日本経済の発展につながると考えています。

会社概要

社名
株式会社PALTEK
所在地
神奈川県横浜市港北区新横浜2-3-12 新横浜スクエアビル
資本金
13億3,963万円
事業内容
半導体および関連製品・ソフトウェアの販売、電子機器の設計開発支援サービス
TEL
045-477-2000
URL
http://www.paltek.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.92(2011年11月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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