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環境経営の現場から

独創的な高効率化技術により、単結晶シリコン型太陽電池セルで世界最高水準※1の電気変換効率21.6%※2を達成した技術立志企業 長州産業株式会社 代表取締役社長 岡本 要氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 設立は1980年、山口県で住宅関連機器の製造・販売からのスタートでした。当初からほかでは真似できない独創的な技術を持ち、社員が誇りを持てる会社にしたいというのが、私の理想でした。設立から5年、念願の独創的な技術を習得するチャンスが訪れました。半導体関連事業に進出する機会を得たのです。当時、半導体産業は落ち込んでいましたが、「半導体は産業のコメ」と信じ、全社を挙げて半導体関連技術の習得に邁進しました。同分野の事業を展開する過程で、部品の設計・製作から超精密加工、コンピューターのソフト・ハード開発、メンテナンスに至るまで一連の技術を習得し、社内に優秀な人材を育成することができました。特に半導体製造装置の中枢部であるスパッタリング装置、ドライエッチング装置の開発・運用過程により磨かれた「真空技術」は、現在の弊社を支える中核技術になりました。現在、弊社が太陽光発電という成長分野で競争力を持つことができたのは、この「真空技術」を磨いてきたからだといっても過言ではありません。

御社の太陽光発電システムの特徴をお聞かせ願えますでしょうか。

 現在、弊社の主力製品は、単結晶シリコン型の太陽電池です。単結晶シリコン型は、原材料のポリシリコンを溶解して純度の高いシリコンインゴットをつくり、これをスライスして製造する技術です。一塊のシリコンから製造するため結晶性が均一であり、多結晶シリコン型よりも電気変換効率に優れているというメリットがあります。

 当初、弊社では他社から太陽電池モジュールを購入してOEM販売していましたが、これでは価格競争上不利ですし、供給量に限界があると判断し、思い切って設備投資を行いシリコンインゴットの取り出しからモジュールの組み立てまで自社一貫生産できる環境を整備しました。現在、同一敷地内で単結晶シリコンインゴットの引き上げから太陽電池セル、太陽電池モジュールの組み立てまでを一貫生産できるのは、国内では弊社しかありません。この原料から一貫生産できる強みを生かし、弊社では156ミリメートル角の単結晶フルスクエアセルの開発に成功。さらに、半導体製造分野で培った高度な真空成膜技術を応用し、同クラスでは世界最高水準※1の電気変換効率21.6%※2を実現しました。

御社では、太陽光発電システムの施工に認定制度を設けているそうですね。

 太陽光発電システムは、数十年にわたって利用される製品です。20年、30年、使い続けるからこそ、製品の品質や施工には一流の技術が求められます。

 太陽光発電システムを既設の住宅に設置する場合、綿密な重量計算をして補強工事を実施したり、屋根の形状、傾斜、素材に合わせた施工を行うなど、万全の対策が必要です。不適切な施工を行うと、雨漏りや、配線を通した穴からの浸水、想定した発電量を得られないなどの問題が起きてしまいます。このような事態を防ぐため、弊社では、全国の施工業者を対象とする施工認定店制度を創設しました。弊社内の研修専用施設において、基礎技術の習得から、屋根形状に応じた太陽電池モジュールのレイアウト方法、架台の設置方法、メンテナンス方法、さらには施工時の近隣住宅への配慮、後片づけの徹底などの施工マナーまで指導しています。そして、この研修を受講いただいた方には、認定施工員であることを示すIDカードを発行しています。この施工認定店制度を設けることによって、安心してご利用いただける太陽光発電システムを提供できるのです。

 さらに、弊社の太陽光発電システムは、太陽電池メーカーで唯一、モジュール設置部からの雨漏りにも対応した「10年保証制度」を設けています。構成機器の不具合、太陽電池モジュールの出力低下への対応はもちろん、安心してご利用いただけるサポートを実施しています。

台湾の太陽電池メーカーと提携された狙いを教えていただけますでしょうか。

 2012年6月1日付で台湾の太陽電池メーカーであるトップセル・ソーラー・インターナショナル(以下、TSI※3)と包括的な共同開発契約を締結しました。TSIは、台湾UMC※4社のグループ企業として2009年12月に設立されました。TSI/UMC社は、年産1ギガワットの生産規模を持つ太陽電池メーカーであり、結晶系太陽電池の設計に豊富な経験を有しています。今回の提携の狙いは、弊社独自の高効率太陽電池モジュール技術とTSI/UMCの量産展開能力と調達力を融合させることにより、高効率で低コストの太陽光発電システムを量産することにあります。

環境性能に優れた有機ELの研究開発を進めていらっしゃるそうですね。

 有機ELは、低電力で高い輝度を得られ、視認性、応答速度、寿命、消費電力の点で、ほかの表示システムより優れており、次世代ディスプレイ、次世代照明の主役になると期待されています。有機EL普及のカギは「蒸着」技術にあるといわれており、弊社が培ってきた真空蒸着・成膜・固体封止膜技術が生かせると考えています。

 弊社では、有機EL技術を確立するべく、大型パネル製造に不可欠な大型クレーン3基を備えるクリーンルームを設置し、ELの薄膜を測定する最新設備を導入、大学や企業と連携を図り、積極的な取り組みを進めています。さらに、ディスプレイ分野では、国家プロジェクト「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発(グリーンITプロジェクト)」事業に参画。照明分野では、有機EL照明の高効率、高品質化の基盤技術を共同で開発することを目的とする「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発」事業に参画し、早期製品化に向けた研究に取り組んでいます。

 弊社は、太陽光発電システムでクリーンな電気を創出し、その電気を低電力で動作する有機EL照明や有機ELテレビなどで利用することにより、トータルで環境負荷を低減させることを目指しています。

太陽光発電の市場が拡大する一方、価格競争の激化や品質面などの課題も取りざたされています。今後の展望についてご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

 中国・韓国など低価格メーカーが国内市場に参入し、利益の確保が困難な状況になっています。このままでは国内メーカーは海外へ製造拠点を移さざるを得ず、雇用が失われたり、一方で、海外メーカーが淘汰されて購入後の品質保証が受けられなくなるなどの問題が発生する恐れがあります。こうした事態を避けるには、政府による政策が重要になると、私は考えています。たとえば、アメリカやヨーロッパのように厳正な品質規格を設け、規格にそぐわない製品の輸入を制限したり、税金をかけるなどの仕組みを設けるのです。日本にもJIS規格はありますが、太陽光発電システムには適用されていませんし、他国のような実効力はありません。

 自由競争社会ですから価格競争は避けられませんが、環境分野のように大事に育てなければいけない新市場は、一定レベルの品質基準を設け、適正な競争を促す政策を打ち出すべきではないでしょうか。

 私は自社の利益のために発言しているわけではありません。幕末に長州藩の志士が国を憂いたように、私も日本の未来を真剣に考えているのです。人々の生活を守り、地球環境を守るためにも、日本の財産である「モノづくり」の火を絶やしてはならないと考えています。


※1:太陽電池セル156角基盤として。2012年5月長州産業調べ
※2:独立行政法人産業技術総合研究所において測定
※3:Topcell Solar International Co., Ltd.
※4:United Microelectronics Corporation

会社概要

社名
長州産業株式会社
所在地
山口県山陽小野田市新山野井3740
資本金
4億円
事業内容
太陽光発電システム、環境機器の製造・販売、半導体製造装置のエンジニアリングならびに関連装置の洗浄再生業務など
TEL
0836-71-1033
URL
http://www.choshu.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.97(2012年9月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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