環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

大気、水、土壌の現状を“見える化”し、環境保全アクションの起点となる環境測定機器のリーディングカンパニー 柴田科学株式会社 代表取締役社長 柴田 眞利氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

  弊社は1921年(大正10年)、東京都文京区本郷にて理化学ガラス器具を製造・販売する企業として産声をあげました。その後、官公庁・大学・企業の研究開発支援機器として「汎用科学機器製品」を、労働衛生・大気環境・水質汚濁などの分野における環境監視・計測ニーズの高まりから「環境測定機器製品」を、化学・製薬分野での各種ご要望にお応えして「大型化学プラント装置」「動物実験装置」などを開発してきました。現在は、環境測定機器事業、科学機器事業、エンジニアリング事業、理化学ガラス事業という独立しながら相互に関連し合う4つの事業を展開しています。なお、この4事業を手掛ける企業は、世界でも弊社だけであり、同分野ではオンリーワン企業となっています。

 2012年7月には、2013年からスタートする次の中期3カ年計画ならびに2013年単年度基本方針・基本目標の作成に先駆け、新たな経営理念と経営ビジョンを制定しました。この新経営理念では、高付加価値を生み出すオンリーワン製造業を目指すことを宣言するとともに、新経営ビジョンの重要な柱として「地球環境」への貢献を掲げています。

御社の環境測定機器の特徴をご紹介願えますでしょうか。

 弊社は、環境問題に取り組む国公立の専門機関や大学の研究室と協力し、環境汚染の予測・迅速対応への研究開発を続けてきました。特に、1951年に財団法人労働科学研究所の依頼を受けて開発した粉じん計(室内や作業環境における空気中の粉じん濃度を計測する機器)の分野では、日本のリーディングカンパニーとして大きな信頼を得ています。ほかにも環境測定機器分野では、環境中の有害物質を捕集するガスチューブシリーズや、ナノテクノロジー分野に欠かせないナノ粒子発生・曝露装置、簡易水質検査キットなど、さまざまな製品をラインナップしています。

 弊社の特徴は、国内外の大学や研究機関と密な連携をとることで、一企業の枠を超えた豊富かつ先進的な環境関連の技術や情報、ノウハウを有していることです。社内に約40名の開発者が常駐し、日々、国内外の大学・企業・研究機関と情報交換を行っていることも、弊社の技術力を支えるバックグラウンドとなっています。また、研究開発部門には、さまざまな化学物質を発生・測定するための先進的設備を導入し、どのような依頼にも応えられる万全の体制を整えています。

震災以降、住民や作業者保護の観点から環境測定機器の必要性が高まっています。

 震災と原発事故により、被災地は多くの有害化学物質の影響を受けています。がれきにはアスベストやダイオキシン、PCB、放射性物質などが含まれているため、住民や作業者には適切な有害化学物質対策が不可欠でした。弊社の環境測定機器は、被災地における復旧・復興活動時に住民や作業者のリスクマネジメント策として大いに活用されました。今日も続いている除染作業においても、弊社の「ローボリウムエアサンプラー(空気中から鼻孔または口を通って吸引される粉じんをサンプリングする機器)」やデジタル粉じん計が活用されています。

 また、作業者防護を徹底するために「マスクフィッティングテスター MT-03型」も重要な役割を果たしています。これは、作業者が防じんマスクを着用した状態で、マスクの内側と外側の粉じん粒子濃度を測定し、その結果からマスク内への粉じんの侵入率(漏れ率)を測定する機器です。この機器を利用すれば、作業者が有害化学物質を吸引するリスクを大幅に低減できます。弊社では、有害化学物質から住民や作業者を保護するために、これからも環境測定機器の高度化を通じて震災復興を支援していく所存です。

御社の環境測定機器は、身近なところでは、
どのような分野で利用されているのでしょうか。

 たとえば、某フードチェーンでも弊社の製品が活躍しています。油を使って調理する食品は、油の汚れ具合や劣化状況が味だけでなく健康面にも直結します。そのため、各店舗では適切なタイミングで油を交換することが求められています。しかし、店舗スタッフが油の劣化状況を正確に見極めることは困難です。この問題を解決するため、某フードチェーンでは、全国1,000軒以上の店舗で弊社の油脂劣化チェッカーを採用しました。この油脂劣化チェッカーの採用により、各店舗における油の劣化による交換基準のばらつきがなくなり、商品の「おいしさ」と「品質」を保つことが可能になったのです。

 また、近年では分煙スペースや喫煙スペースを設ける職場や飲食店が増えており、このような用途でも弊社の製品が利用されています。弊社のデジタル粉じん計や風速計を利用すれば、煙の向きを特定して、受動喫煙を防止可能な環境の設置が容易になります。現在、弊社では、厚生労働省が実施する「受動喫煙防止対策に関する職場内環境測定支援業務」を受託し、無償で受動喫煙防止対策機器の貸し出し業務を行っています。この活動を通じて、多くの職場における分煙対策が進むことを願っています。

フロン回収サービスやカタログ回収などの環境保全活動にも
取り組んでいらっしゃいますね。

 環境保護を経営ビジョンに掲げる企業の社会的責任として、さまざまな環境保全活動に取り組んでいます。オゾン層の破壊を防ぐために、弊社製品の低温循環水槽“クールマン”に使用しているフロンを回収することはもちろん、他社同等製品のフロン回収も請け負っています。また、2年に1回、総合カタログを発行する際、お客さまのもとにある旧総合カタログを無償で回収する活動にも取り組んでいます。回収したカタログは、総合カタログ配布用の段ボールにリサイクルしています。回収したカタログの売却収益は、森林再生推進団体(NPO、NGO)を通じて社会に還元しています。ほかにも、3R活動の推進や、環境保全に配慮した部材の導入、無鉛はんだ、鉛蓄電池からニッケル水素電池への切り替え、ライフサイクルアセスメント(LCA) 規格に基づいた製品開発の推進などに取り組んでいます。

今後の展望についてお聞かせ願えますでしょうか。

 近年、アジアの新興国で急速に工業化が進んでおり、その過程で多くの有害化学物質が発生しています。弊社は、これまでに培ってきた技術とノウハウを生かし、アジアの国々で働く作業者や住民の方々の健康と美しい環境を保全するため、今後は海外での事業活動にいっそう注力していきたいと考えています。


※受動喫煙防止対策機器の貸し出しに関しては、以下のURLを参照下さい。
http://www.sibata.co.jp/tobacco/

会社概要

社名
柴田科学株式会社
所在地
埼玉県草加市中根1-1-62
資本金
1億円
事業内容
環境測定機器、科学機器、理化学用ガラス製品、プラント装置の製造販売など
TEL
048-931-0561
URL
http://www.sibata.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.98(2012年11月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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