環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

地球環境に優しい優れた技術と判断力で、豊かな社会づくりに貢献する総合建設コンサルタント E・Jホールディングス株式会社 代表取締役社長 小谷 裕司氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 弊社は、社会インフラ整備のソフト部分に当たる調査、企画、開発、運用などを展開する総合建設コンサルタントです。傘下には、設計、事業開発、監理、運営管理など専門特化したグループ会社8社を擁しています。

 近年、インフラ整備は、質・量の物的なものから整備手法やマネジメントまでの知的なものへと大きく変化しつつあります。弊社グループでは、このような市場環境の変化に対し、グループ力を結集し、「価値ある環境を未来へ」を合言葉に、循環型社会形成におけるインフラ整備のワンストップサービスを提供するコンサルタントとして国内外で事業を展開しています。

循環型社会形成におけるインフラ整備事業での御社の強みを教えて下さい。

 インフラ整備事業を展開する際、弊社が重視しているのは、いかに自然と共生できる社会を実現できるかです。具体的な事業としては、綿密な環境アセスメントから、土壌・地下水汚染対策、廃棄物処理施設の計画・設計、地球温暖化対策まで、さまざまな取り組みを行っています。特に、弊社の強みとなっているのが、廃棄物を再利用して資源循環システムを構築することです。処分場で発生するメタンガスや汚泥などをバイオマスエネルギーに変換して発電事業を行う仕組みづくりに関し、弊社グループは豊富な実績を有しています。

 もう1つ、弊社の強みとなっているのが、環境科学への取り組みです。弊社は、1998年に公益財団法人八雲環境科学振興財団を設立し、この財団を通して、環境科学に関する調査研究を行う全国の研究者を支援しています。ここでの研究成果を活かし、産学連携で新しい環境技術を取り入れた事業を展開できることが、我々の強みです。弊社内部に環境科学の研究者を擁するのではなく、環境分野の技術を持つ国内外の研究者や技術者とのネットワークを活かし、プロジェクトに応じて必要な人や技術をコーディネートできることが、弊社グループの特徴となっています。

国内における具体的な取り組み事例を、ご紹介いただけますでしょうか。

 山形県新庄市が推進している下水汚泥の固形燃料化は、弊社の強みが発揮された事例といっていいでしょう。下水汚泥は、これまでにも焼却してセメントや建設材料として使うなどのリサイクルが行われていましたが、新庄市では汚泥を固形燃料化するという新たな取り組みを行っています。ここでは、下水汚泥に熱を加えて乾燥する「造粒乾燥法」により、1日に約30トンの下水汚泥から6.5トンの固形燃料を製造しています。ペレット状に成形された燃料は、ハンドリング性に優れ、1キログラム当たり約4,500キロカロリーの熱量を発生させます。新庄市のプラントでは、乾燥用熱源に木質チップを使用し、生成した固形燃料は石炭ボイラー等の補助燃料として利用しています。脱水汚泥を焼却処分する際に発生する一酸化二窒素の削減効果も含め、地球温暖化対策として効果の高い事業となっています。なお、このモデル事業の中で温室効果ガス削減量の定量化手法を確立し、下水汚泥燃料化事業で初めてのオフセット・クレジット取得を目指しています。

海外での事業展開にも注力されていらっしゃいますね。

 成長著しいアジア地域においては、運輸やエネルギー、環境分野などでのインフラ整備が活発化しており、弊社グループにとって大きなビジネスチャンスが広がっています。こうした中で弊社グループは、従来から実績のある建設コンサルタント事業のみならず、廃棄物やバイオマス分野の技術コンサルティングにおいて、業界トップクラスの評価を得ています。

 これまでの実績としては、中国・福建省の処分場におけるガス回収・発電事業、モンテネグロ・ダニロブグラード市における下水処理場汚泥消化発電事業、フィリピンのルソン島北部ラ・ユニオン州ロサリオ市における木質チップ・もみがらを利用したバイオマス発電事業などを手掛けています。

 直近のプロジェクトとしては、フィリピンのミンダナオ島ブトゥアン市のバイオマス発電事業があります。2012年5月に現地のEqui-Parco Construction Company社(EPCC)、およびTwinpeak Hydro Resources Corporation社(THRC)との間で、「フィリピン国ミンダナオ島ブトゥアン市における植林及び木質バイオマス発電事業」に関する共同実施覚書を締結しました。本プロジェクトは、未管理の森林地帯に5年サイクルでエネルギー用樹木を植樹・伐採し、チップ化した木材を燃料として総発電容量30メガワットのバイオマス発電を行うものです。この事業によりフィリピンで最も開発が遅れたミンダナオ島の電力不足を10%程度解消できると予想されています。また、電力供給能力向上による地域開発への経済的な貢献のほか、植林を通じた未利用森林の維持管理を通じ、違法伐採等に起因する森林劣化の防止、土砂流出・洪水抑制、水源涵養といった自然環境への貢献、ならびにプラント・営林従事者の雇用創出に貢献することを目指します。

今後の展望についてご紹介をお願いできますでしょうか。

 弊社グループは、成長が期待されるアジア市場を中心に海外事業展開を加速するため、2012年4月に株式会社建設技術研究所、国際航業株式会社、株式会社長大、三井共同建設コンサルタント株式会社と共同で、海外での開発コンサルタント業務を手掛ける合弁会社、株式会社インフラックスを立ち上げました。新会社は、欧米同業他社に対抗できる国際競争力を持った日本を代表する開発コンサルタントとして、日本産業界が主導する海外大型開発事業に参画し、新たな市場を切り開くことを目指します。具体的には、公益性・収益性のある海外のPPP型プロジェクトの形成・実施に関わる調査、アドバイザリー、コンサルティング業務から、個別プロジェクトの実現可能性調査、事業計画立案、ファイナンス、設計、施工管理、施設の運営、維持管理等に至る一連の業務に携わります。弊社グループは、このビジネススキームの中で、得意とする環境技術を活かし、海外事業を拡張することを目指します。

建設業と環境保全の両立について、ご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

 日本の国土開発は、ある時期まで利便性重視で行われてきました。しかし、時代は変わりました。現代では、自然環境との共存共生なしに開発を進めることはできません。ただし、難しいのは、単に昔ながらの自然を残すことと、共存共生を考えることは、同義ではないということです。社会全体の機能を大きな視点で捉えたとき、膨大なコストをかけて一部の自然を保護することが本当に正しいのかどうか、疑問符がつくこともあります。たとえば、東日本大震災で、東北地方の沿岸部は町全体が壊滅的なダメージを受けました。あの町を復旧・復興する際、昔ながらの環境を復元することが本当に住民のためになるのか、真剣に考えなければなりません。元通りに復元するだけでは、次に津波が襲ったとき、再び住民の生命が脅かされることになります。では、生命を守りながら、自然と共生し、利便性を高めるには、一体どのような町づくりが必要なのでしょうか。そこを考えるのが、まさに我々建設コンサルタントの仕事なのです。我々の仕事は、単に土木工事の計画を立てることではありません。自然環境を保全しつつ、そこに住まう人々の思いを知り、地域に息づく文化の在り方まで配慮しながら、未来の豊かな社会を構想すること、それが我々の仕事なのです。弊社が掲げる「環境に優しい」という理念には、「自然環境」だけではなく「生活環境」「文化環境」「経済環境」など、さまざまな意味の『環境』が含まれています。

 弊社グループは、これからもあらゆる『環境』に配慮し、人と自然が共存共生できる社会づくりに取り組んでいきたいと思っています。

会社概要

社名
E・Jホールディングス株式会社
所在地
岡山県岡山市北区津島京町3-1-21
資本金
20億円
事業内容
社会インフラ整備を担うグループ全体の経営を統括する建設コンサルタント
TEL
086-252-7520
URL
http://www.ej-hds.co.jp

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.99(2013年1月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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