環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

世界品質を満たす産業容器リユースシステムを構築し、グローバルな循環型社会づくりに貢献 日新容器株式会社 代表取締役社長 中村 清一氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 弊社は、1910年4月に創業し、産業容器の販売とその高品質リユース事業を中核にビジネスを展開し、2010年に創業100周年を迎えました。長年にわたり手掛けてきた産業容器のリユース事業では、独自の技術による洗浄から検査、塗装までオートメーション処理できる先進的設備を有し、西日本でトップクラスの実績を誇っています。

ドラム缶リユースの工程についてお教え願えますでしょうか。

 現在、弊社の主力事業となっているのは産業用ドラム缶のリユースです。一般にドラム缶は、「クローズドタイプ」と「オープンタイプ」の2種類があり、それぞれリユース時の処理方法が異なります。

 クローズドタイプは、通常、JIS(日本工業規格)で規定された「液体用鋼製ドラム」のことで、化学製品および石油・潤滑油等の液体用に使用されるドラム缶のことを指します。このタイプは、回収後に選別して残液を抜き取り、内部に高圧水を噴射して洗剤洗浄を行います。次に、CCDカメラなどを使って内部検査を行い、内部に錆が発生している場合は、酸を使って洗浄し、水洗、中和を実施。その後、鉄球で研磨するショットブラスト研掃で外部塗装を剥がし、気密検査を行った後、外面塗装を行い更生完了となります。

 オープンタイプは、JISで規定された「鋼製オープンドラム」を指し、一般に塗料や粘度の高い化学薬品などに使用されるドラム缶のことです。このタイプは、粘度の高い液体用に使われるので、洗剤洗浄だけでは残液を十分に除去することができません。そこで、約700℃の熱で焼却処理を行い、残留物を除去する方法を使用します。その後、ショットブラスト研掃で燃えがら等を取り除き、内部検査、外面塗装を行い更生完了となります。

御社独自の技術や市場における優位性についてお教えいただけますでしょうか。

 弊社の強みの1つは、徹底した品質管理です。たとえば、クローズドタイプ、オープンタイプ、双方の更生過程において、約25メガパスカル(約255kgf/cm2相当)の高圧水を噴射して内部洗浄を行い、クリーン度を高めています。また、塗料を扱うオープンタイプでは、異物混入を防止するため徹底した検査体制を確立しています。塗料は、ドラム缶にわずかなシリコンが混入するだけで“はじき”と呼ぶ、穴の開いた状態が発生してしまいます。弊社では、このような状況が発生しないよう、塗料メーカーさんの協力を得て研修や指導を受けながら、独自にシリコンの付着・残留状況を検査できる設備を設け、徹底した品質管理を行っています。ほかにも、水性塗料における“はじき”を防止するため、塗料メーカーさんからサンプルを取り寄せ、防止策を講じるなどの取り組みを行っています。このようなきめ細かい対応を行うことによって、新缶と遜色ない高品質な更生ドラム缶を製造することができるのです。

 弊社のもう1つの強みは、オートメーションで更生処理を行える大規模設備です。特に、オープンタイプのリユースには、大型の焼却炉が必要であり、こうした設備を持つ業者は全国でも多くありません。

 独自技術としては、特殊な内面塗装を施したドラム缶をメーカーさんと共同開発し、販売から回収、更生までワンストップで手掛けています。これは「PD内面塗装缶」という製品で、細かい(80メッシュpass)粉末状のポリエチレン樹脂を静電気の力で金属に付着させ、高温(約200℃)で加熱・溶解し、均一な塗膜(膜厚約200マイクロメートル)を実現する技術です。この技術により、これまでは2コート(塗装)2ベイク(焼き付け)が必須だった内面塗装を、1工程で実現できるようになりました。その結果、更生時のコストと時間を大幅に削減することができました。また、新缶の巻き締め式オープンタイプドラム缶は、出荷時に密閉用シーリングが施されているのですが、更生過程で焼却するとシーリングを消失してしまうため、更生後はビニール袋を詰めて密閉する必要がありました。このビニール袋が回収後、産業廃棄物となり、コストと環境負荷を増大させる原因となっていました。これに対し、「PD内面塗装缶」であれば、皮膜を厚く塗れるのでビニール袋を詰めなくても十分な密閉性を保つことができます。その結果、産業廃棄物を削減でき、環境負荷およびコストの軽減が可能になります。弊社では、今後、この「PD内面塗装缶」を、さらに普及させていきたいと考えています。

中型容器のリユースにも取り組んでいるそうですね。

 近年、1,000リットルを超える中型産業容器(IBC)の需要が増えています。IBCは樹脂を使ったタンクで、その大半は1回使って廃棄するワンウェイ容器です。しかし、近年IBCを利用している企業さんから、コストダウンのためリユースしたいとのニーズが高まってきました。そこで、弊社ではIBC専用のリユース設備を導入し、販売から回収、洗浄、メンテナンス、廃棄までワンストップで提供できる体制を整えました。今後は、IBCのリユース市場を確立し、新事業として大きく育てていきたいと思っています。

ドラム缶のリユースが環境に与える好影響について、ご紹介いただけますでしょうか。

 丈夫な鋼板で製造されているドラム缶は、新缶で利用された後、更生事業者の手によって通常305回程度リユースされます。ちなみに、リユースを前提として開発された高耐久のSOPドラムであれば、10回以上のリユースが可能です。現在、国内におけるリユース率は、約56%となっており、リユース不可能なドラム缶は回収・選別後、スクラップヤード業者のもとで鉄鋼副原料として材料リサイクルされています。なお、ドラム缶1本を更生する際に必要なエネルギーは、新缶製造時の約8分の1で、原材料調達から製造、輸送までにかかるCO2排出量は、新缶と比較して約6分の1に削減できると試算されています。

工場における環境負荷軽減の取り組みについてご紹介をお願いいたします。

 弊社では、ドラム缶のリユースだけではなく、工場での環境対策にも積極的に取り組んでいます。排水施設は、物理処理と生物処理の2段階処理を実施し、自治体の基準を上回るクリーン度を実現しています。また、焼却設備にはバグフィルターを設置して煤塵処理を実施、排ガスは吸着装置を設置して外部へ化学物質を出さないよう十分な配慮を行っています。

海外での事業展開についてご紹介をお願いいたします。

 日本ドラム缶更生工業会の会員5社と共同で、中国の天津市にドラム缶リユース事業を目的とする合弁会社「天津愛迪尓包装容器有限公司(天津ADR)」を設立しました。

 現在、中国国内では約7,000万本、上海の華東地区だけでも約2,000万本のドラム缶が製造されているといわれています。ドラム缶のリユースは中国でも行われていますが、大半は手作業で洗浄を行う小規模事業者で、高品質かつ大量処理ができる企業はほとんどありません。そこで、国内で培ったリユース技術を持ち込み、本格的なドラム缶再生事業を展開することを目指しました。しかし、我々のような外資系企業が、静脈系ビジネスを展開するのは簡単ではありません。国内と異なり、中国では使用済みドラム缶は産業廃棄物に区分されるため、回収には政府の許可証が必要です。外資系企業では、この許可証取得が難しく、事業規模の拡大には限界があるのです。また、更生ドラム缶という市場自体が確立されていないため、販売ルートの開拓も容易ではありません。こうした状況を打開するべく、近年、中型産業容器のIBCをターゲットにリユース事業を展開した結果、徐々に需要が増え、ようやく軌道に乗り始めました。今後は、ドラム缶やIBCだけではなく、塗料の調合用タンクなどさまざまな産業容器の洗浄を手掛け、事業基盤を確立していきたいと考えています。

今後の展望をお聞かせ願えますでしょうか。

 ビジネスのグローバル化が進む中、国内のドラム缶リユース数は減少していくことが予想されます。これに対応するには、IBCのリユースや内面塗装技術の高度化など新たな領域へビジネスを展開していかなくてはなりません。海外については、中国の環境局も環境問題について非常に厳しい姿勢を取っているので、今後リユース市場が拡大することは間違いないと思います。そうした時流をうまく捉え、国内で蓄積した高品質なリユース技術を活かして中国の環境負荷低減に貢献し、事業拡大を目指したいと考えています。

※日本ドラム缶更生工業会の情報より

会社概要

社名
日新容器株式会社
所在地
大阪府大阪市福島区海老江1-13-15
資本金
2,500万円
事業内容
産業容器類の販売および更生業 ほか
TEL
06-6452-1131
URL
http://www.nisshin-yoki.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.100(2013年3月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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