環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

環境に配慮したコールドチェーンで業界をリードする「人」「もの」「地球」に優しい食品流通のエキスパート 横浜冷凍株式会社 取締役 冷蔵事業本部長 井上 祐司氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 弊社は1948年に横浜で創業して以来、冷蔵倉庫事業と食品販売事業の本業に徹し、「人」「もの」「地球」に優しい食品流通のエキスパートとして、安全・安心な食品の安定供給に貢献してきました。冷蔵倉庫事業では、60年以上の経験によるノウハウを活かした保管業務、ネットワークを活かした配送サービス、輸出入をサポートする通関サービスを融合した「YLS(ヨコレイロジスティックスシステム)」とお客さまのニーズに合わせた最適な物流アウトソーシングサービスに加え、最新の物流情報をいち早くお届けするICTサービスをプラスしたトータル物流サービスなど、多彩な物流サービスを展開しています。

冷蔵倉庫事業における御社の強みをお教え願えますでしょうか。

 農産物、畜産物、水産物、調理冷凍食品など、冷蔵倉庫で扱う商品の特性に合わせて温度・湿度などの条件をコントロールし、風味や食感、鮮度を保つ技術や設備、ノウハウを有していることが弊社の強みです。たとえば、エチレンガスを使ってじゃがいもの発芽を防いだり、オゾンにより魚の臭みを抑えたり、凍る寸前のマイナス2℃で保管して甘栗の風味を高めるなど、単なる冷蔵保管ではなく商品価値を高めるサービスを提供しています。

 また、多様な物流ニーズに合わせて「港湾型」「物流型」「産地型」という3タイプの冷蔵倉庫を展開していることも特徴といえます。「港湾型」は、全国の主要貿易港に位置し、製品や食品原材料の輸入貨物を中心に扱っています。「物流型」は、消費地の近くに位置し、主にコンビニエンスストアや外食チェーン等の製品を保管しています。「産地型」は、全国の主要な漁港や農産地に位置し、水揚げされた水産物や収穫された農産物を適切な温度帯で保管しています。

 設備面では、1980年代より高品質な冷蔵保管を可能にする天井ヘアピンコイル冷却方式の導入を進めています。これはファンを使う従来型と異なり、天井に設置したコイルからの自然対流で冷却を行うことで、食品の乾燥や色褪せ、劣化などを防ぐ画期的な冷却設備です。

環境への取り組みについて、ご紹介をお願いいたします。

 環境問題への対応としては、主に6つの取り組みを行っています。

 1つ目は、太陽光発電システムの設置です。現在、国内7カ所の冷蔵倉庫に太陽光発電システムを設置しており、2013年9月期(2012年10月〜2013年9月)の年間予測発電量は160万キロワット時となっています。これは一般家庭約472世帯の年間電力使用量に相当します(図1)。

 2つ目は、屋上緑化です。埼玉の鶴ヶ島物流センターの屋上516平方メートルに、マツバギクやツルマンネングサなどを使った屋上緑化システムを導入しました。このシステムは、サカタのタネ様と連携したプロジェクトで、手入れに手間がかからない植物をカセットタイプで配置するものです。2012年夏の実績では、屋上のコンクリート部分と比べて天井の表面温度が最大17℃も下がる効果が得られました。これを電力使用量に換算すると、夏場の1カ月だけで約1,000キロワット時の削減効果となります。この成果を活かし、次は神奈川の伊勢原物流センターで678平方メートルの屋上緑化を実施、その後も既存倉庫への導入を進める予定です。

 3つ目は、自然冷媒の使用です。かつて冷蔵倉庫の冷媒には、広くフロンが普及していました。しかし、フロンはオゾン層の破壊物質であるため、1987年にモントリオール議定書が採択されて以降、自然冷媒への転換が進められてきました。弊社では、業界に先駆けて1994年に福岡物流センターでフロンからアンモニア冷媒への転換に踏み切り、その後、全国の冷蔵倉庫で自然冷媒への転換を進めてきました。

 2011年に新設した大阪の北港物流センターでは、アンモニアとCO2を組み合わせて効率的に冷蔵できるハイブリッド型冷凍機を導入しました。ほかにも、同センターでは冷蔵設備や断熱材へのノンフロン採用、太陽光発電やLED照明の導入など、環境配慮を徹底しています。その先進性は世界からも認められ、2012年の5月には、経済産業省主催の海外視察団としてASEAN6カ国、世界銀行、国連環境計画(UNEP)の関係者が見学に訪れました。

 4つ目は、交通エコロジー・モビリティ財団が認証する「グリーン経営認証」の取得です。環境負荷軽減の取り組みを進めるとともに社員の環境意識を向上させ、自主的で継続的な環境保全活動を推進するため、この認証制度を活用しています。現在、北海道から鹿児島まで全国39カ所の冷蔵倉庫事業所で認証を取得、導入前と比較して電気使用原単位で約12%もの削減効果が得られています(図2)。

 5つ目は、ハイブリッドカーの導入です。営業車186台のうち95台をハイブリッドカーに切り替え、年間のCO2排出量を約100トン削減しました。

 6つ目は、高効率照明器具の導入です。現在24カ所の冷蔵倉庫事業所で使用している庫内の照明器具に高効率照明やLEDを導入し、電気使用量の削減とCO2排出量の抑制を実現しました。

タイ初の太陽光発電設備付き冷蔵倉庫を新設されるそうですね。

 1989年12月に「タイヨコレイ」を設立し、バンパコン、サムロン、ワンノイの3カ所に冷蔵倉庫を設置しました。合算した収容能力は4万5,000トンで、タイ国内の営業用冷蔵倉庫ではトップシェアに位置しています。今、タイ国内では、経済成長を背景に内需が急速に拡大しコールドチェーンの需要が高まっています。この追い風を活かし、2013年内にアユタヤ県ワンノイに「ワンノイ物流センター2号棟(収容能力 約2万7,000トン)」を新設します。これによって、タイ国内のシェアは約16%となります。ワンノイ物流センター2号棟は、タイ国内初の太陽光発電システムを設置し、国内外の注目を集めています。

コールドチェーンは、地産地消と相反するとの意見もありますが、
どのようにお考えでしょうか。

 新鮮な旬の食品を産地で食すという地産地消の理念は、大変よいことだと思います。しかし、現実問題として、農畜産物や水産物のすべてを産地で消費することはできません。たとえば、北海道で採れた大量のじゃがいもを道内だけで食べきれるでしょうか。結局、食べきれない食品は廃棄物になってしまうのです。コールドチェーンを活用すれば、多くの消費地へ大量の食品を新鮮な状態で提供でき、食品を無駄なく消費できます。消費者は鮮度のよい食品をいつでも食べられ、生産者は苦労して育てた食材を無駄なく活用できるので、双方にメリットがあります。コールドチェーンは、食品廃棄物による環境破壊を抑制する重要な役割を担っているのです。

今後の展望をお聞かせ願えますでしょうか。

 2014年5月には北海道小樽市に「石狩第二物流センター(仮称)」を、同年7月には大阪市此花区に「夢洲物流センター(仮称)」を新設します。両拠点は、電力使用を最適にコントロールする営業冷蔵倉庫初のBEMS(Building Energy Management System)を導入した最先端の冷蔵倉庫です。さらに、天井ヘアピンコイル方式の高効率冷却システムやLED照明、自然冷媒、業界最大規模の628キロワット時の太陽光発電システムなど、環境に配慮した設備を積極的に採用しています。さらに、荷捌き室とプラットフォームには高度な品質管理を可能にするハイブリッドデシカント陽圧方式を導入する予定です。これは空気圧を外部より高く設定してホコリや暖気の侵入を防ぐ陽圧システムと、これまで困難とされていた低温での効果的な除湿を実現し結露から商品を守るデシカント方式を併用することで、電力消費の抑制と高度な品質管理を可能にする先進設備です。2014年に新設されるこの2つのセンターは、環境の時代をリードする最先端の冷蔵倉庫といっていいでしょう。

会社概要

社名
横浜冷凍株式会社
所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい4-6-2
みなとみらいグランドセントラルタワー7階
資本金
110億6,592万円(2012年9月末現在)
事業内容
冷蔵倉庫業・普通倉庫業、
水産品・農畜産物の加工・販売・輸出入など
TEL
045-210-0011
URL
http://www.yokorei.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.102(2013年9月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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