環境ビジネス情報

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環境経営の現場から

全国レベルの戦略業務提携「BLUE PROJECT」を推進し、金属リサイクルの品質向上と業界の活性化に貢献する 巖本金属株式会社 代表取締役社長 巖本 博氏氏

御社の事業概要についてご紹介をお願いいたします。

 創業は1957年、京都市内で個人商店である巖本商店を立ち上げたのが、弊社の始まりです。1966年に京都市南区に本社工場を開設、1970年に法人化し、その後、営業エリアを徐々に拡大、現在では滋賀、岐阜、三重、福井、大阪地区に合わせて10工場で事業を展開しております。当初は、製鉄原料の鉄スクラップを中心にリサイクル事業を展開してまいりましたが、2005年に非鉄金属の事業部門を立ち上げ、銅、アルミニウム、ステンレス、砲金、鉛、ステンレス・コロ、アルミホイール等、幅広い金属のリサイクルを始めました。現在の工場の処理能力は月間10万トンを擁しており、毎月約7万トン前後の原料を確保、販売している状況でございます。

金属リサイクル業界における御社のポジションを教えていただけますか。

 近畿圏を中心に北陸、山陰、甲信越、東海地区に至るまで積極的な活動を展開しており、生産能力は西日本でナンバーワン、関西地区におけるシェアは40%となっております。

近年の金属リサイクル業界の市場傾向を教えていただけますか。

 業界では、過去につくられた鉄鋼が現在どの程度蓄積されているかを示す鉄鋼蓄積量という言葉で市場を表します。たとえば、1960年の累計鉄鋼蓄積量は約1.1億トンでした。その後、高度経済成長によって10年後の1970年には約3.4億トンとなり、この間の鉄鋼蓄積量の平均年間伸び率は過去最高の11.6%に達しました。その後も累計鉄鋼蓄積量は増大し続けますが、平均年間伸び率は1970年代には6.8%まで落ち、1980年代は3.8%、1990年代は2.5%と低下の一途を辿り、直近の数値(2012年末)では累計鉄鋼蓄積量が約13億トン、年間伸び率は0.4%にとどまっています。一般的に、鉄鋼蓄積量の2%前後が毎年鉄スクラップとして発生するといわれておりますので、13億トンの2%となる2,600万トン前後が鉄スクラップの原料になるということです。市場としてはそれなりの規模ではありますが、一方で蓄積量の伸び率は頭打ち傾向にあることから、今後、国内の金属リサイクル市場は横ばいあるいは縮小に向かうと予想されております。

市場が横ばいの上に、原料は発生品で供給弾力性に乏しく、海外の金属取引市場などの外部要因に左右される業界ですから、経営の舵取りは難しいですね。

 たしかに、近年では情報化の進展により、国際マーケットにおける価格変動の影響が、非常に早く表れるようになっております。これに対し、弊社は情報収集力を高めてスピーディーな意思決定ができる環境を整えるとともに、市況に合わせてアジア圏のメーカーさまへ輸出できるルートを確保することで、こうした変化に対応しております。

輸出コストを上乗せしても海外市場で競争力を保てるのですか。

 近年、国内外を問わずメーカーさまのニーズが変化しつつあります。世界的に見ると中国を除いて鉄鋼生産量全体は伸び悩んでいますが、一方で、特殊鋼の需要は拡大傾向にあります。特殊鋼とは、鉄にモリブデンやニッケル、銅などの元素を加えて耐久性や耐熱性、強度、柔軟性などの特性を持たせた合金鋼のことです。その利用分野は自動車や鉄道、建築物に限らず電子機器などにも広がっており、世界的に需要が拡大しております。特に、日本国内には、最先端の技術と設備を持つ特殊鋼メーカーさまが多数あり、大きな需要があります。特殊鋼の生産には、高品質な原料が必要ですが、鉄スクラップでも品位を高めれば、十分に鉄鉱石を代替できます。弊社では、お客さまのニーズに応える形で、15年前に本社工場で最先端設備を導入して、高品位な鉄スクラップの生産体制を構築しました。それ以降、国内外に特殊鋼用の高品位鉄スクラップを供給し続けてまいりましたが、これまで品質に関するクレームを受けたことはございませんし、海外では「イワモトブランド」と称され、大変高くご評価いただいております。

どのような処理を行えば、鉄スクラップの品位が上がるのでしょうか。

 たとえば、廃自動車の場合、シュレッダーという設備で破砕した後、磁力選別や粒度選別、比重選別など高性能な設備で素材を細かく選別し、最終的にはスタッフが選別・検品して品質を高めております。結局のところ、スタッフが長年培ってきた経験と技術、ノウハウが、弊社最大の強みといえるのかもしれません。

御社が掲げる「鉄スクラップを工場で自家生産するサービス」とは
どのようなものですか。

 たとえば、鉄鋼メーカーさまから、急遽上級品種の原料を日量3,000トン供給してほしいと要請されたとします。このとき、同じ品位の原料を納入できる生産能力を持つ業者は、西日本では当社しかいないと自負しております。通常、このようなオーダーがあった場合、同業者と連携して物量を確保することが多いのですが、やはり、他社から融通してもらうと品質が保証できないことや、物量が不安定になることを避けられません。弊社では、そのような事態が起きないよう自社で200台を超える車両を保有して引き取りから配送まで手掛け、さらに10カ所の工場で同一品質の製品を生産加工できる体制を整えているのです。この自社で一貫生産できる総合力を「鉄スクラップを工場で自家生産するサービス」と呼んでおります。

御社が主体となって推進している「BLUE PROJECT」のご紹介をお願いいたします。

 先ほど、大量の発注を受けても自社ネットワークで一貫生産できるとお話ししましたが、これは自社工場がある関西エリア限定で実現できることです。これと同じ仕組みを全国規模で実現するために、信頼できる同業者とアライアンスを組んで立ち上げたのが「BLUE PROJECT」です。5年前にプロジェクトを立ち上げ、現在では全国15社、60拠点を超えるネットワークとなっております。

参加する企業には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 国内の金属リサイクル市場は、中長期的に見ると横ばいあるいは縮小傾向にあります。そのような環境下で、各企業が新たな設備や工場へ投資を行っていくことは難しいという現実があります。そこで、全国各地の同業者の中から経営方針や目指すベクトルが同じで、なおかつ社内統制のとれた信頼できる会社同士で連携を図り、お互いの強みを活かしながら設備や工場を共有して稼働率を上げ、Win-Winの関係を構築することがこのプロジェクトの狙いです。

 製造業界では、相手先ブランド名で製造受託するOEMというビジネスモデルがございますよね。我々の業界には、これまでそのようなビジネスモデルはありませんでした。「BLUE PROJECT」は、ある意味でOEMに似たビジネスモデルといえます。全国各地の事業者が「BLUE PROJECT」という共通ブランドのもとで、お客さまに対して保証された品質とコストで同一サービスを提供できるようになったのです。

 プロジェクトに参加した企業は、インフラの相互活用だけではなく、有益な情報を共有して国内外の市場動向を素早く把握し、ビジネス機会を創出することを目指しております。なお、現時点の提携先は15社ですが、特に制限を設けているわけではございません。今後も同じ価値観をお持ちの同業者さまと、さらなる提携を進めていくスタンスでおります。

 また、事業展開については、国内にとどまらず、今後需要が見込まれる東南アジア地域への展開も視野に入れております。

事業を通じた環境問題への貢献について、どのようにお考えでしょうか。

 私はリサイクル市場を拡大することが環境問題への貢献につながると思っております。ただ、リサイクル市場を拡大するには、ソフトウェア、ハードウェアの両面で新たな技術の確立が必要になるため、産官学の連携を強化し、新たなリサイクル技術の確立を目指していく予定です。

今後の事業展望について、ご紹介をお願いいたします。

 近年のM&Aにより、金属以外のリサイクルができる企業と産業廃棄物の処理を行う企業を傘下に収めました。これらの会社では、すでにプラスチックやレアメタルなど多品種のリサイクル事業を行っております。今後、弊社が目指すのは、金属にとどまらずプラスチック、さらにはサーマルリサイクルまで含めた総合リサイクルソリューション事業の確立です。総合リサイクルソリューション事業を推進することで、より多くの企業さまと連携し、豊かな社会づくりと環境保全の実現に貢献していきたいと考えております。


※ 出典:一般社団法人日本鉄源協会「日本の鉄鋼蓄積量推計」

会社概要

社名
巖本金属株式会社
所在地
京都府京都市南区上鳥羽鉾立町4
資本金
3,800万円
事業内容
金属リサイクル製品の製造販売
TEL
075-672-3688
URL
http://www.iwamotokinzoku.co.jp/

この情報は環境情報誌『SAFE』Vol.110(2015年3月号)の記事より引用しております。
内容については記事作成時のものとなりますので、ご了承ください。


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