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eco japan cup 2011 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン受賞者
大賞 高効率・低コストで大規模に展開可能な太陽光発電システムのグローバル展開 スマートソーラーインターナショナル株式会社
スマートソーラーインターナショナル株式会社

日本発の太陽光発電システムを世界中に普及させたい

 この度は、eco japan cup 2011 環境ビジネス・ベンチャーオープンの大賞をいただき、ありがとうございます。システムを紹介させていただく前に、弊社の概要からご案内させていただきます。

 私は以前、シャープ株式会社で太陽光発電システムの研究開発および事業促進に携わっていました。その後、同社を退職し、2009年8月に東京大学エッジキャピタルの出資を受けて設立したのが、スマートソーラーインターナショナルです。社名にインターナショナルという言葉が入っているように、弊社は日本発の太陽光発電システムを世界中に普及させたいとの想いを設立当初から抱いています。

 2010年には、弊社が開発し東北大学と共同研究を進めていた一軸追尾集光型太陽光発電システムが、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発補助事業に採択されました。さらに2011年には仙台市の支援を賜り、宮城県大崎市に生産拠点を設け、現在では製品の量産化に取り組んでいます。

シリコン使用量を最大10分の1に抑える「トラックミラー」技術

 「スマートソーラーアーキテクチャー」とは、一軸追尾集光型の太陽光発電装置とそれを制御するシステム、架台、設営方法までを含めたトータルシステムの名称です。このシステムには、従来のパネル型太陽光発電システムとは異なる4つの大きな特徴があります。

 1つ目は、一軸追尾集光技術のトラックミラーです。これは反射鏡を利用して、ガラスチューブ内のセルに集光して発電量を高める技術です。少量のセル・部材で効率的にエネルギーを獲得できるだけではなく、光電流の増加によって変換効率を増大させることができます。さらに、太陽光の入射角に応じて反射鏡の角度を変えることで、日の出から日没まで高い発電量を維持できるようになりました。これらの技術により、パネル型と比較してシリコン使用量を4分の1〜10分の1に抑えながら、発電量を約25%向上させることが可能になったのです。

 なお、トラックミラーは曲面で集光するパラボリック・トラフ型だけではなく、角度の異なる複数の平面ミラーを並べるフレネル型など、さまざまな形状に変更することができます。弊社では米国の建築家やデザイナーと協業し、設置する建築物の意匠に合わせたさまざまな形状のトラックミラーの開発にも取り組んでいます。

熱による変換効率の低下を抑えるクールシリコン技術

 2つ目の特徴は、冷却技術のクールシリコンです。シリコンは40℃を超えるとエネルギー変換効率が低下するため、日照が強すぎる夏場や熱帯地域では発電量が維持できないという問題を抱えています。また、スマートソーラーはトラックミラーで光だけではなく熱もセルに集中させてしまうため、熱対策は極めて重要な課題でした。この課題を解決するために開発したのが、冷媒を利用したクールシリコンです。これは、真空状態のチューブにセルと冷媒を入れ、温度上昇時に冷媒が蒸発する気化熱を利用してセルを冷やす技術です。気化した冷媒は装置内で熱を放出して液体に戻りますが、その際に冷媒の体積が減り、チューブ内の空気圧を下げるため、サイフォンの原理が働き冷媒を自動的に循環させることができます。この技術の採用によりポンプなどの動力を使わず、シリコンを冷却できるようになりました。

 また、回収した熱をエネルギーとして再利用できることも、このシステムのもう1つの特徴といえます。

電力合成技術の採用で発電効率のさらなる向上を

 3つ目の特徴は、システムの拡張性です。新しいDC/DCコンバーターの採用により、各発電部の電気エネルギーの合成が可能になりました。これにより、結晶構造の制約を受けずさまざまな半導体を多層化できるので、従来のパネル型では利用できなかった青色光など波長の異なる光もエネルギー変換できるようになりました。この分野では、各国の先端研究者が先を争って研究開発を進めているので、今後、さまざまな波長の光をエネルギー変換できる技術が生まれてくると考えられます。このような技術の進化をいち早く取り入れられるよう、弊社のシステムはセル部分を容易に交換できる設計を採用しています。

大量生産により大幅なコストダウンが可能

 4つ目の特徴は、安価な製造コストです。パネル型と比較して、半導体の使用量が圧倒的に少ないだけではなく、システムの約8割を構成するトラックミラーや冷却装置、架台などは特別な原料や製法のいらない工業製品ですから、量産化するほど市場原理が働きコストを抑制することができるのです。この点が、シリコン原料を大量に使わなければ量産化できないパネル型との大きな違いといえるでしょう。また、ミラーや架台の素材次第で重量を軽減できるので、工場やビル、家屋など設置場所の強度補強にかかるコストを抑制できることも特徴といえます。

世界中の研究者、企業と連携してオープンイノベーションを推進

 エネルギー関連のビジネスというのは、原料の調達から製品開発、発電、エネルギー供給、料金徴収までサプライチェーンが非常に長いことが特徴です。弊社では、スマートソーラーアーキテクチャーの特許を取得していますが、この長いサプライチェーンを自社で賄うことは考えていません。核となる技術やプラットフォームは押さえますが、エネルギー変換を担う半導体技術や、安定したエネルギー供給を行うための蓄電技術、オンデマンドのエネルギー供給を可能にするスマートグリッド技術など、さまざまな領域のパートナーと連携することがビジネス成功のカギを握ると考えています。そのような意味で、私たちが目指すビジネスはパソコンの世界と似ているかもしれません。パソコンには、さまざまなブランドがあり、性能やデザインはさまざまですが、その大半の機種に同一メーカーのCPUが搭載されています。エネルギーも供給元や製造元はさまざまであったとしても、中核となる発電のプラットフォームとして弊社のスマートソーラーアーキテクチャーが採用されているという世界を目指したいと考えています。

 今後の計画としては、さまざまな環境での実証実験を進めながら、同時に量産体制を整えていく予定です。研究開発においては、2012年中にソーラー発電所へ供給可能な集光度が現在の10倍以上の大型システムを開発したいと考えています。

東北の復興をエネルギー面から支援したい

 弊社の製品は、パネル型と異なり熱に強いので、当初からその特徴を最大限に活かした赤道周辺や砂漠地帯などでの事業展開を想定していました。実際に、現在もサウジアラビアで事業化に向けた計画が進んでいる状況です。

 しかし、今はその前に、東日本大震災の被害を受け経済復興が喫緊の課題となっている地元東北に貢献しなければならないという使命感を持っています。震災で町全体がダメージを受け、電力供給がストップするという未曽有の事態を経験した被災地では、エネルギーの在り方を根本から見直すべきとの議論がなされています。地産地消の分散型エネルギーを活用した環境配慮都市を構築していくために、弊社にできる最大限の貢献を果たしたいと考えています。


会社概要

社名
スマートソーラーインターナショナル株式会社
所在地
宮城県仙台市青葉区中央1-3-1 AER8階
資本金
8.3億円
事業内容
太陽光発電システムの開発・製造・販売
TEL
022-397-9211
URL
http://www.smartsolar.jp/


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