環境ビジネス情報

印刷用ページを別ウィンドウで開きます



Topics

eco japan cup 2011 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン受賞者
三井住友銀行賞 プラスチック・マテリアルリサイクル技術による再生樹脂の普及 六商事株式会社
六商事株式会社 佐野 榮廣氏

新発想で生まれた塗膜剥離技術

 現在、自動車業界ではリサイクル材料の推進が積極的に進められています。使用済みバンパーも再資源化を目指し、粉砕、融解処理し、再使用する方法などが検討されてきました。しかし、基材となるポリプロピレン(PP)に加え、塗膜層、接着剤層の3層からなるバンパーは、基材と塗膜の分離が難しく、従来の方法では純度を高めることができませんでした。有機溶剤で塗膜を除去する方法も研究されていますが、薬品による環境への影響が懸念されています。こうした現状に対し、弊社は新しい塗膜剥離技術を開発し、バンパーtoバンパーのリサイクルを可能にしました。

 弊社のリサイクルシステムは、「切削」「ロール」「サンドブラスト」「ブラッシング」「押出」という5工程で構成されます。まず回収したバンパーを処理しやすい大きさに切断し、上下2つのロールでバンパーを圧延します。突起や溝を設けた上部のロールで塗装面に亀裂を加え、上下のロールの回転速度を変えることにより、バンパー層と塗装面を破断させます。これにより、従来の技術では分離困難だった塗膜をバンパー基材から浮き上がらせ、容易に剥離可能な状態をつくります。次の工程では、浮き上がった塗膜に高速でサンドをぶつけ、バンパー基材の表面から塗膜を除去します。さらに、仕上げ工程としてブラッシングを行い、塗膜を完全に取り除きます。こうしてバンパー基材であるPPと塗膜を完全分離した、純度の高いリサイクルPP樹脂が得られるのです。

バンパーtoバンパーのリサイクルを実現

 我々のリサイクルシステムは、薬品を使わない環境に優しい方法で塗料を分離し、純度の高い再生プラスチックを生成できることが特徴です。現在、廃プラスチックの約5割はサーマルリサイクルで処理されています。特に、バンパーは自動車本体から取り外す手間がかかる上にリサイクルが困難なため、ほとんどが他の部品と合わせてシュレッダーダストとして埋め立てあるいは焼却処分されています。少数ながら工業用原料としてリサイクルされる使用済みバンパーもありますが、その場合も自動車材料として使われることはありません。自動車用バンパーには衝撃強度、耐熱、柔軟性など、高水準の物性が必要とされるため、従来はリサイクル材の品質がネックとなっていました。しかし、弊社の再生PP樹脂は、米国安全基準(PART581)を上回る物性値を示し、バージン材と比べても品質が劣りません。この再生PP樹脂を新車の製造工程に利用することで、バンパーtoバンパーの環を完成させることができます。

完全自動型リサイクルシステムの実現に向けて

 今後の課題は、商業化するための生産ラインの開発です。現在、2012年中にセミコマーシャルプラントを建設、2013年に生産を開始、2015年までに増産体制を整える計画となっています。現時点では、ロール装置でバンパーを圧延した際に発生する熱をいかにして効率的に冷却するか、また、塗膜剥離用サンドをどのようにしてリサイクルするかなど、商業化に向けてさまざまな課題が残されています。これらの課題を解決し、1日も早く増産体制を整えていきたいと考えています。

 本格的な事業化の目標は、自動車全体で95%以上(重量ベース)のリサイクル率達成が求められる2015年です。自動車リサイクル法改正の目標である、この年をめどに再生PP樹脂の生産体制を整え、使用済みバンパーの再資源化を普及させたいと考えています。しかし、バンパーtoバンパーのリサイクルは、一企業だけでなし得ることではありません。今後、アライアンスパートナーの開拓をはじめ、さまざまなステークホルダーと連携を図りながら、自動車のリサイクル率向上に貢献していきたいと考えています。

日本発の技術を世界へ

 現在、日本国内の自動車生産台数は約1,000万台(2010年度)で、1台当たりのバンパー合計重量は平均4キログラムです。これを全量回収してリサイクルすると仮定した場合、バージン樹脂換算で約4万トンの省資源化につながります。また、我々の塗装剥離技術はバンパーの再資源化にとどまらず、ほかのプラスチック材にも応用可能であるため、廃プラスチック全体のマテリアル・リサイクル率向上にも貢献できると考えています。

 今回、eco japan cupでの受賞は大変名誉なことと感じております。これを機に地球規模のリサイクル拡大に向け、よりいっそう努力していきたいと考えております。


会社概要

社名
六商事株式会社
所在地
東京都荒川区西日暮里2-20-1 ステーションポートタワービル6階
事業内容
熱可塑性樹脂原料販売、プラスチック製品および輸出入品の取り扱いなど
TEL
03-6740-2311
URL
http://www.takaroku.co.jp/

コラム

eco japan cup 2010 受賞後の取り組み

 eco japan cup 2010において、三井住友銀行は"銀行店舗における環境対策"をテーマにエコのアイデアを公募。多数の応募の中から、アーキテクチャー・ラボが提案する『Bank in Forest』に「エコ・バンキング(銀行)オフィス賞 最優秀賞」を贈った。そのポイントとなったのが、音響材として機能する間伐材である。直径45〜120ミリメートルの円柱形をした間伐材を、音波の反射などを計算しながら店舗内に配置し、森の美しい音場を再現するデザインが高く評価された。

 その『Bank in Forest』のコンセプトを取り入れた環境配慮型の店舗が2011年12月にオープンした。三井住友銀行の下高井戸支店(東京都世田谷区)と甲南支店(兵庫県神戸市東灘区)には、太陽光発電や壁面緑化、LED照明などに加え、『Bank in Forest』のアイデアが採用されている。設計を担当したアーキテクチャー・ラボの高安重一氏は次のように話す。「緻密な音響シミュレーションにより、高音がクリアで低音のヌケがよくなるよう設計しています。来店された方には、会話の聞き取りやすさや美しい音の響き方を体感していただきたいですね」。



Topicsトップへ

印刷用ページを別ウィンドウで開きます

このページの先頭へ戻る