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eco japan cup 2011 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン受賞者
敢闘賞 鳥翼風車発電機の生産販売 有限会社いって研究所

 風力発電はクリーンエネルギーとして世界的に注目を集めているが、欧米諸国などに比べ日本での普及は遅れているのが現状だ。人口密度が高く風車騒音の公害が問題とされ、定期的に台風が襲来するという日本の地理的特性が要因となっている。四季によって気候が大きく変わる日本の環境に対応し、安全かつ安定的に電力の供給を行う風車の開発が求められる中、「鳥翼(とりよく)風車発電機」はかつてない発想で風力発電の可能性を提案する。

 開発者は、奈良県にある有限会社いって研究所の代表、佐藤隆夫氏。以前、工作機械・周辺機器メーカーに勤めていた佐藤氏は、設計士として働く傍らライフワークとして発電機の開発に取り組んできた。「環境負荷を徹底的に排除したエネルギー生産は、風車しかない」との思いから風力発電の研究を始め、強風を受けても効果的に風力を受け流す鳥の翼に着目。約10年の歳月をかけて、鳥が羽ばたくことで上昇する原理を応用した風車発電機を生み出した。この鳥翼風車発電機のブレード(帆)は、複数の羽根を並べて形成されている。1枚1枚の羽根は、風を受けると柔らかくたわみ効率よく風をとらえる。逆風の場合、羽根の隙間を開けて風を逃がす。鳥の翼を模倣した柔軟構造を採用することで、安全性と発電効率の両面に優れた風力発電を実現した。

 現在主流のプロペラ型風力発電機は、近隣に住宅がない海岸沿いに設置されることが多い。これは風量を考慮した結果であるが、風車の回転音が大きいというのも理由の1つだ。また、プロペラ型は台風などの強風時に破損の危険性が高く稼働を停止せざるを得ず、安定供給の面でも問題があった。一方、鳥翼のしなやかさを再現した新型風車は、ほぼ風切り音がない。地面と水平の軸にブレードが取りつけられているプロペラ型に対し、鳥翼風車発電機は垂直軸を持ち、風の方向や強弱に関係なく、プロペラ型の15分の1の低速で発電する特性がありバードストライクなどの危険性も少ない。これまでに台風の多さで知られる沖縄県石垣島や、日本一の寒さを誇る北海道陸別町などで鳥翼風車発電機の実証試験を行い、四季を通した性能を検証してきた。石垣島では、風速60メートル/秒の暴風に耐え、台風の風を発電エネルギーとして利用することに国内で初めて成功している。

 鳥翼風車発電機の優れた発電能力について、佐藤氏は次のように話す。「毎秒3メートルの微風から台風の暴風まで利用できることが、鳥翼風車発電機の特徴です。実証試験の結果、平均毎秒3メートルの風速で発電した場合、年間1,500キロワット時の供給ができることが実証されています。さらに、日本工業大学の丹澤祥晃教授と共同で集風器の開発に取り組み、1.6倍の風力エネルギーを集めることに成功しました。開発中の新型集風器を併用することで、2〜3倍の発電量を得られます」。

 騒音抑制、耐台風性能による高稼働率のほか、メンテナンスの手間もかからない特徴を持つ鳥翼風車発電機は、家庭や事業所への普及が期待される。いって研究所の試算によると、鳥翼風車発電機を国内の家庭・企業の30%に普及させると、その発電量は原子力発電所60基分に相当するという。CO2削減の新たな切り札として、今後の展開に注目が集まる。

会社概要

社名
有限会社いって研究所
所在地
奈良県天理市武蔵町138-1
事業内容
小型風力発電装置の開発・販売
TEL
0743-63-5658
URL
http://www1.kcn.ne.jp/~ys-sato/

受賞者コメント

佐藤 隆夫氏

佐藤 隆夫氏 有限会社いって研究所 代表

敢闘賞をいただき、ありがとうございます。「鳥翼風車発電機」エントリーの目的は、マッチング企業さんに出会うことにあります。人類の今後のエネルギーの理想を追求するため、微力な弊社と協力していただける、企業等の参画を期待しています。いって研究所の「いって」とは、大和(やまと)の方言で、「ともに協力し目的に向かう」ことを意味しています。




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