環境ビジネス情報

印刷用ページを別ウィンドウで開きます



Topics

eco japan cup 2011 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン受賞者
特別賞 グリーンプロセス − 電子レンジを工場に マイクロ波化学株式会社

 簡単に食品を温められる手段として、各家庭に欠かせない存在となった電子レンジ。その仕組みは、マイクロ波を発生させ、食品に含まれる水分子を振動、発熱させるというものだ。食品の外部から赤外線を照射して加熱する電気コンロに対し、電子レンジはマイクロ波に反応する物質のみを選択的に加熱する。そのため、マイクロ波が透過するガラスや陶磁器は直接的には加熱されず、食品だけを効率よく温めることができる。この電子レンジの原理を生かし、日本発のプロセスイノベーションを提案するのが、マイクロ波化学株式会社だ。

 同社は、マイクロ波の力で環境調和型の革新的化学プロセスを創出することをミッションとして掲げ、2007年に設立された。3年の期間をかけ開発した2つの基盤技術を核として「マイクロ波化学工場(バイオリファイナリー)」の実現に取り組んでいる。基盤技術の1つ「ハイブリッド触媒」は、選択的にマイクロ波と相互作用することで、加熱反応を促進させる機能を持つ。触媒の表面が反応場となり、省エネルギーで作用を促進させる。もう1つの核となる「完全フロー型マイクロ波リアクター」は、電子レンジの役割を果たす特殊な反応装置だ。マイクロ波の有効性は以前から注目されていたが、大型の反応装置を使って産業化することは難しいといわれていた。波形や分布が複雑なマイクロ波は、装置が大きくなるほど制御が困難になるからだ。マイクロ波化学株式会社では、「有機化学」「化学工学・機械工学」「マイクロ波化学」という3分野の専門家から構成される開発チームを編成し、大学や企業の研究機関と連携しながら研究を重ねた結果、大型装置でマイクロ波を均一分布させることに成功。2009年春に燃料製造用の完全フロー型マイクロ波リアクター(日産2〜10トン)を完成させた。

 「これまで化学・エネルギー産業では、大規模なプラントで莫大なエネルギーを消費してものづくりを行ってきました。製造プロセスにマイクロ波を導入すれば、反応時間の短縮、反応温度の低下につながり、省エネルギー、高効率、省スペースでの生産を実現できます。また、マイクロ波は、今までの技術では不可能とされていた問題を解決する可能性を持ち合わせており、未利用資源の活用に役立てることもできます」と、マイクロ波化学株式会社の吉野巌氏は話す。

 2011年11月、同社はマイクロ波化学工場を神戸で立ち上げた。ここでは、植物系工業廃油を原料として、インキやプラスチックなどの基礎原料となる脂肪酸エステルが製造されている。従来、食用油やシャンプーなどの製造工場から排出される廃油はリサイクルするのが難しく、処理費用を払って廃棄せざるを得なかった。新工場の設立によって、こうした廃油に価値が見いだされ、低コスト・短時間で処理できるようになった。全国で発生する工業廃油は年間数十万トンともいわれており、潜在ニーズに応え大規模な市場の開拓につながる可能性が高い。

 マイクロ波化学株式会社の基盤技術は、高品質の電子材料や医薬中間体の生成のほか、農業残渣や微細藻類に存在する微量の有効成分の抽出にも役立つことが確認されている。同社では、神戸の工場をモデルケースとして、製造プロセスにおけるマイクロ波の有効性を訴え、事業領域の拡大を狙う考えだ。市場規模500兆円ともいわれる世界の化学・エネルギー産業、そのエコ化と高効率化に貢献する同社の活躍が期待されている。

会社概要

社名
マイクロ波化学株式会社
所在地
大阪府茨木市彩都あさぎ7-7-20 彩都バイオイノベーションセンター1階
事業内容
植物由来原料や廃棄物などを用いた環境調和型化成品・バイオ燃料の開発・製造
TEL
072-646-8067
URL
http://www.mwcc.jp

受賞者コメント

吉野 巌氏

吉野 巌氏 マイクロ波化学株式会社 代表取締役社長

このような賞をいただいて大変光栄です。これを励みに、いっそう先端技術とものづくりを融合し、大手企業から中小、アカデミアまでを有機的につなげたオープンイノベーションを進め、マイクロ波という電子レンジにも使われている技術を化学・エネルギー産業へ広めていきます。そして、日本においても、世界に通用するテクノロジーベンチャーを立ち上げられることを証明したいと思います。




Topicsトップへ

印刷用ページを別ウィンドウで開きます

このページの先頭へ戻る