エクエーター原則
エクエーター原則採択の背景(三井住友銀行)
大規模な開発プロジェクトは環境・社会に多大な影響を与える可能性がありますが、プロジェクトを資金面で支援する金融機関もその融資実行に際し、環境・社会への影響を十分検討することが国際社会から求められています。先進国・発展途上国問わず、金融機関は複雑かつ困難な環境・社会問題に取り組まなければならないことがしばしばあります。
三井住友銀行は、SMBCグループの一員として、環境問題を重要な経営課題と認識しています。活動の基本方針として、SMBCグループは「グループ環境方針」を定めており、その基本理念において、「持続可能な社会」の実現を重要課題の一つであると認識し、地球環境保全と企業調和のため、継続的な取り組みを行い、社会・経済に貢献する旨を定めています。
本環境方針に則し、当行が関与するプロジェクトにおいて環境・社会への配慮がなされ、当行の企業としての社会的責任(CSR)を果たすとともに、より高品質の国際金融サービスを提供していくことを目的として、2006年1月に「エクエーター原則」を採択しました。
当行はエクエーター原則の採択と遵守が、当行自身、借入人、地域コミュニティなど様々なステークホルダーに大きな恩恵をもたらすものと考えています。
エクエーター原則とは

エクエーター原則とは、大規模なプロジェクト向け融資における環境・社会への配慮基準です。プロジェクトファイナンスと特定プロジェクト向けのコーポレート与信、および将来的にこれらに借り換えられる予定のブリッジローン(つなぎ融資)、特定プロジェクトに紐づくリファイナンスと買収ファイナンス、プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス(FA業務)が対象であり、プロジェクト所在国や業種を問わず適用されます。エクエーター原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいています。この基準・ガイドラインは、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。
エクエーター原則を採択した金融機関は、同原則に基づいた独自の基準や手続を制定することを要請され、その基準・手続に基づいて環境・社会のリスク評価を実施することになります。
エクエーター原則協会は採択した金融機関を会員とする任意団体であり、エクエーター原則の管理、運営、発展を目的としています。2023年6月末現在、世界の139金融機関がエクエーター原則を採択しています。
エクエーター原則は新規案件に関する以下の5つの金融商品・業務に対して適用されます。
- 1.プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス(FA業務)。プロジェクト総額が10百万米ドル以上の全ての案件。
- 2.プロジェクトファイナンス。プロジェクト総額10百万米ドル以上の全ての案件。
-
- 3.プロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)(バイヤーズクレジット型の輸出金融を含む)。以下3つの条件を全て満たす場合。
-
- i.総借入額の過半が、顧客が当該プロジェクトの実質的な支配権を(直接的または間接的に)有する単一のプロジェクト関連向けである。
- ii.総借入額と、そのエクエーター原則採択金融機関のコミット額(シンジケーション組成もしくはセルダウン前)がそれぞれ50百万米ドル以上。
- iii.貸出期間が2年以上。
- 4.ブリッジローン。貸出期間2年未満で、上述条件を満たすプロジェクトファイナンス、もしくはプロジェクト紐付きコーポレートローンによってリファイナンスされることを意図したもの。
-
- 5.プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンス。以下 3つの条件を全て満たす場合。
-
- i.当該プロジェクトが過去にEPフレームワークに基づいて融資されている。
- ii.プロジェクトの規模あるいは目的の重大な変更が無い。
- iii.融資契約書の調印時点でプロジェクトが完工していない。
また、エクエーター原則の適用される案件では、以下の10原則を遵守することが求められています。
- 1.レビュー、およびカテゴリー付与
- 2.環境・社会アセスメント
- 3.適用される環境・社会基準
- 4.環境社会マネジメントシステムと、エクエーター原則アクションプラン
- 5.ステークホルダー・エンゲージメント
- 6.苦情処理メカニズム
- 7.独立した環境・社会コンサルタントによるレビュー
- 8.誓約条項(コベナンツ)
- 9.独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
- 10.情報開示と透明性
詳細はエクエーター原則の公式Webサイト(英文)をご覧ください。
2021 年 11 月、当行はエクエーター原則を採択した金融機関で構成されているエクエーター原則協会の運営委員会メンバーとなりました。 エクエーター原則協会の運営委員会はエクエーター原則を採択している金融機関を代表してエクエーター原則の管理、運営、発展に貢献しています。 当行は運営委員会の一員として、エクエーター原則のさらなる発展に向けた取り組みに注力してまいります。
また三井住友銀行は国内初のエクエーター原則の実務解説書として「実務解説 エクエーター原則/赤道原則−プロジェクト融資の環境・社会リスク管理」を三菱UFJ銀行、みずほ銀行と共に出版しました。本著は、エクエーター原則各原則の実務解説に加え、エクエーター原則協会の活動や公的金融機関の環境・社会配慮の枠組み等について解説しています。
具体的な取組(三井住友銀行)
行内ルールの策定
三井住友銀行は、2006年1月にエクエーター原則を採択後、行内の環境社会リスク評価体制の整備に努めると共に、「環境社会リスク評価手続」(以下「手続」)を作成しました。この手続は、エクエーター原則に基づいた環境・社会への配慮方針ならびに行内における環境社会リスク評価方法を規定したもので、2006年6月より運用を開始しました。また、エクエーター原則の第四次改訂(EP IV)に伴う改訂など、随時見直しを行っています。
体制およびリスク評価プロセス
サステナビリティ企画部は、当行が融資を検討する全世界の大規模開発プロジェクトの環境・社会のリスク評価を行っています。
評価プロセスは、以下の通りです。
1.環境スクリーニング
大規模なプロジェクト向け融資の営業を担当する部署は、案件を採り上げる前に「環境スクリーニングフォーム」をサステナビリティ企画部に提出します。環境スクリーニングフォームは、対象プロジェクトが環境・社会に与える影響度合いを把握するためのチェックリストで、サステナビリティ企画部は環境スクリーニングフォームや関連情報に基づいて、対象プロジェクトを以下のいずれかのカテゴリーに分類します。
カテゴリー | 定義 |
---|---|
カテゴリーA | 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。 |
カテゴリーB | 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。 |
カテゴリーC | 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。 |
2.環境レビュー
サステナビリティ企画部は、対象プロジェクトが、カテゴリーに応じて求められるエクエーター原則の要求事項を満たしているかの確認を行い、必要に応じ現地調査を実施します。
また、カテゴリーAに分類したプロジェクトおよびカテゴリーBに分類し、必要と判断したプロジェクトでは、独自の業種別チェックリストに基づいた評価を行い、環境レビューシートを作成します。
評価結果を反映した環境スクリーニングフォームおよび環境レビューシートは、営業担当部署から審査部門に送られ、案件採り上げ判断の重要な一要素となります。
3.環境モニタリング
環境スクリーニングおよび環境レビューの結果に基づき、環境社会配慮に関する誓約事項を、借入人が遵守するべき事項として融資契約書に盛り込むことになります。サステナビリティ企画部は、営業担当部署と協力して借入人の遵守状況を定期的に確認し、プロジェクトの環境・社会への配慮を継続的に確保するよう努めています。

研修および周知徹底
環境社会リスク評価プロセスを行内に浸透させるために、海外拠点での集合研修、オンライン講座、外部専門家によるセミナーなど、様々な行内研修を実施しています。これまでに、経営層、営業、審査、監査の担当者など総勢2,900名以上が研修に参加しました。さらに、日常的に環境社会リスクヘの取り組みを徹底するために、レポート等を銀行内に配信しています。世界中の環境に関する最新の動向や留意すべき環境リスクについて共有を行うことで、従業員の環境・社会配慮ヘの意識向上に努めています。
エクエーター原則適用実績(三井住友銀行)
2022年1月1日から2022年12月31日の間にエクエーター原則(第三版及び第四版)を適用した案件数※は以下の通りです。なお、マーク()を付した項目の以下の情報はEY新日本有限責任監査法人による第三者保証を受けています。
- ※エクエーター原則第四版は2020年10月1日から適用
- プロジェクトファイナンス:カテゴリー別件数
- プロジェクト紐付きコーポレートローン:カテゴリー別件数
- プロジェクト紐付きリファイナンスおよびプロジェクト紐付き買収ファイナンス:総件数
- プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務:総件数
1.プロジェクトファイナンス 
2022年1月1日から2022年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクトファイナンスは66件でした。内訳は下表のとおりです。
カテゴリー別件数
カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|
6 | 37 | 23 |
カテゴリー別件数の内訳
セクター | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
鉱業 | 0 | 0 | 0 |
インフラ | 2 | 4 | 6 |
石油・ガス | 0 | 7 | 0 |
電力 | 4 | 25 | 1 |
その他 | 0 | 1 | 16 |
地域 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
米州 | 1 | 23 | 13 |
欧州中東アフリカ | 2 | 6 | 5 |
アジア太平洋 | 3 | 8 | 5 |
指定国 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
指定国 | 0 | 31 | 20 |
指定国以外の国 | 6 | 6 | 3 |
独立したレビュー | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
実施 | 6 | 37 | 12 |
未実施 | 0 | 0 | 11 |
2.プロジェクト紐付きコーポレートローン 
2022年1月1日から2022年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクト紐付きコーポレートローンは7件でした。内訳は下表のとおりです。
カテゴリー別件数
カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|
3 | 4 | 0 |
カテゴリー別件数の内訳
セクター | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
鉱業 | 0 | 0 | 0 |
インフラ | 1 | 1 | 0 |
石油・ガス | 1 | 1 | 0 |
電力 | 1 | 1 | 0 |
その他 | 0 | 1 | 0 |
地域 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
米州 | 0 | 1 | 0 |
欧州中東アフリカ | 1 | 1 | 0 |
アジア太平洋 | 2 | 2 | 0 |
指定国 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
指定国 | 0 | 2 | 0 |
指定国以外の国 | 3 | 2 | 0 |
独立したレビュー | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
---|---|---|---|
実施 | 3 | 3 | 0 |
未実施 | 0 | 1 | 0 |
3.プロジェクト紐付きリファイナンスおよびプロジェクト紐付き買収ファイナンス
(1)プロジェクトファイナンス
2022年1月1日から2022年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクト紐付きリファイナンスおよびプロジェクト紐付き買収ファイナンス(プロジェクトファイナンス)は1件でした。
総件数
プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|
1 | 0 |
総件数の内訳
セクター | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
鉱業 | 0 | 0 |
インフラ | 0 | 0 |
石油・ガス | 0 | 0 |
電力 | 0 | 0 |
その他 | 1 | 0 |
地域 | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
米州 | 0 | 0 |
欧州中東アフリカ | 1 | 0 |
アジア太平洋 | 0 | 0 |
指定国 | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
指定国 | 1 | 0 |
指定国以外の国 | 0 | 0 |
(2)プロジェクト紐付きコーポレートローン
2022年1月1日から2022年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクト紐付きリファイナンスおよびプロジェクト紐付き買収ファイナンス(プロジェクト紐付きコーポレートローン)は0件でした。
プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|
0 | 0 |
総件数の内訳
セクター | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
鉱業 | 0 | 0 |
インフラ | 0 | 0 |
石油・ガス | 0 | 0 |
電力 | 0 | 0 |
その他 | 0 | 0 |
地域 | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
米州 | 0 | 0 |
欧州中東アフリカ | 0 | 0 |
アジア太平洋 | 0 | 0 |
指定国 | プロジェクト紐付き リファイナンス |
プロジェクト紐付き 買収ファイナンス |
---|---|---|
指定国 | 0 | 0 |
指定国以外の国 | 0 | 0 |
4.プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務 
2022年1月1日から2022年12月31日の間にマンデートを取得したプロジェクトファイナンスアドバイザリー業務は16件でした。内訳は下表のとおりです。
総件数
16 |
総件数の内訳
セクター | |
---|---|
鉱業 | 0 |
インフラ | 2 |
石油・ガス | 1 |
電力 | 11 |
その他 | 2 |
地域 | |
---|---|
米州 | 0 |
欧州中東アフリカ | 13 |
アジア太平洋 | 3 |
これまでの活動実績(三井住友銀行)
活動内容 | これまでの実績 |
---|---|
環境社会リスク評価体制の確立 |
|
環境社会リスク評価の実施 |
|
行内研修および周知徹底 |
|
エクエーター原則にかかる行外の理解促進 |
|
今後の取組(三井住友銀行)
- 国際的なベストプラクティスを踏まえた環境社会リスク評価手法の高度化に努めます。
- 行内研修を継続して行い、環境社会配慮への意識向上に努めます。
- エクエーター原則を採択した他の金融機関と協力して、エクエーター原則の普及および原則の内容改善への取り組みに積極的に参加することで、金融機関や借入人などプロジェクトに関わるステークホルダーの環境社会配慮の意識向上に努めます。
三井住友銀行は、当行が関与するプロジェクトへの環境社会配慮を通して、「持続可能な社会」の実現に貢献してまいります。
用語集
- プロジェクトファイナンス
通常の企業向けの融資と異なり、企業の信用力や担保価値ではなく、プロジェクトのキャッシュフロー、事業性を評価して資金を提供する手法。
- ブリッジローン(つなぎ融資)
事業に対して、より長期間の資金を調達するまでの、繋ぎ資金(ローン)。
- リファイナンス
既存の融資を新規融資に置き換えるプロセスのことを指し、新規融資はデフォルト状態またはそれに近い状態でない既存融資の返済(完済)の為に使用される。
- 買収ファイナンス
プロジェクトや、プロジェクトを独占的に所有するもしくは株式の過半を保有し、プロジェクトの実質的な支配権を有する事業会社の買収を目的とする融資。
- プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス(FA業務)
開発案件の資金調達について助言を行う業務で、資金調達の選択肢にプロジェクトファイナンスが含まれるものを言う。
- 国際金融公社(IFC)が制定する環境社会配慮に関する基準・ガイドライン
- 1. IFCパフォーマンススタンダード(PS)
プロジェクト実施者が環境・社会リスク管理を行うにあたり、自らの責任において行うべき事項を定めたもの。以下全8基準で構成されている。
PS1:環境・社会に対するリスクと影響の評価と管理
PS2:労働者と労働条件
PS3:資源効率と汚染防止
PS4:地域社会の衛生・安全・保安
PS5:土地取得と非自発的移転
PS6:生物多様性の保全および自然生物資源の持続的利用の管理
PS7:先住民族
PS8:文化遺産
IFCパフォーマンススタンダード本文については、 以下国際金融公社(IFC)公式ウェブサイト(英語)をご参照。
- 2. 世界銀行グループ 環境・衛生・安全(EHS)ガイドライン
世界銀行グループ環境・衛生・安全ガイドライン(EHS ガイドライン)は、IFC パフォーマンススタンダードで述べられているように、国際的な業界グッド・プラクティス(Good International Industry Practice, GIIP)を含む、技術的参照文書である。指定国以外の国に立地するプロジェクトについて一般的に受け入れ可能と考えられる実績水準・方法と、新規設備案件についても既存技術による適切なコストで達成可能な水準・方法を含む。一般 EHS<環境・衛生・安全>ガイドラインと産業セクター別 EHS ガイドラインの2 種類のガイドラインが用いられる。
EHSガイドライン本文については、以下国際金融公社(IFC)公式ウェブサイト(英語)をご参照。
- 1. IFCパフォーマンススタンダード(PS)
- 実質的な支配権
顧客のプロジェクトに対する直接的な支配(オペレーターまたは主要な株主として)と、間接的な支配(例えば顧客の子会社がプロジェクトのオペレーターである場合など)の両方を含む。
- 環境・社会アセスメント
立案されたプロジェクトが影響を及ぼす地域内の、潜在的な環境・社会リスクと影響(必要とされる場合、人権および気候変動へのリスクと影響を含む)を特定するプロセス。
- 環境社会マネジメントシステム
企業レベルもしくは、プロジェクトレベルでも適用できる、環境・社会、衛生、安全についての全般的な管理制度のこと。本システムは、プロジェクトについて継続的にリスクと影響を特定し、評価し、管理するように設計される。本システムは、マニュアルおよび関連文書から構成され、その中には、方針、マネジメントプログラムと計画、手続、要求事項、評価指標、責務、研修、環境・社会的課題に関する定期的な監査・検査、などを含み、環境・社会課題には ステークホルダー・エンゲージメントと苦情処理メカニズムが含まれる。
- エクエーター原則アクションプラン(環境社会アクションプラン)
エクエーター原則採択金融機関のデューデリジェンスの結果として策定されるもので、エクエーター原則が定める適用基準を満たすために、アセスメント文書、環境・社会マネジメントプラン(※)、環境・社会マネジメントシステム、ステークホルダー・エンゲージメントに係るプロセス文書などとの乖離に対して必要な対策(アクション)を明らかにし、その優先順位をつけるものである。エクエーター原則/環境社会アクションプランは、一般的に表形式で表わされ、軽減措置(mitigation measures)およびアセスメントを補完するための追加調査や明確な計画をリストアップする。
- ※環境・社会マネジメントプラン:アセスメントによって明らかにされたリスクと影響を、回避・最小化・代償とオフセットを通じて緩和するための顧客の義務を要約したもの。
- ステークホルダー・エンゲージメント
外部とのコミュニケーション、環境・社会に関する情報開示、参画、十分な情報を与えられた協議、苦情処理メカニズム、について規定した IFC パフォーマンススタンダードを参照する。
- 独立した環境・社会コンサルタントによるレビュー
環境・社会マネジメントプラン、環境・社会マネジメントシステム、ステークホルダー・エンゲージメントプロセスを含んだ、アセスメント文書に対するレビュー作業で、独立した環境・社会コンサルタント( プロジェクトに関連する環境社会リスク及び影響の評価に関する専門性を有する、適格な独立コンサルティング会社もし くは個人コンサルタント)によって行われる。