グループ全体で統一した目標を定めた上で、
カーボンニュートラル推進委員会を中心に、
一丸となって脱炭素社会の実現を加速

プライム ライフ テクノロジーズ株式会社  技術企画推進部 技術企画課 課長 中井 郁夫 氏 主任 大橋 絵里子 氏 ※所属・役職については取材当時
    公開日:2024年3月22日

    課題

    • 他産業に比べてGHG排出量が多い
    • グループ各社の取り組み状況がまちまち
    • 排出量の算定を行う拠点数が約800カ所

    導入の決め手

    • 直感的に利用できる操作画面
    • 社内システムの改修が不要
    • 導入費用の安さ

    導入効果

    • 委員会メンバーや担当者の作業負荷が軽減
    • グループ全体の排出量集計がスピード化
    • エビデンスとなる書類の一元管理が可能に

    建築・住まい・まちづくりを通して、
    2050年までにカーボンニュートラルを実現

    事業内容を教えてください。

    当社はパナソニック ホームズとトヨタホーム、ミサワホームの住宅3社、パナソニック建設エンジニアリングと松村組の建築2社からなるプライム ライフ テクノロジーズ・グループ(以下、PLTグループ)のホールディングス会社です。パナソニックとトヨタ自動車による未来志向のまちづくりを目指す会社として2020年1月に設立され、PLTグループの事業会社がそれぞれ持つ強みに加えて、パナソニックとトヨタ自動車の先進テクノロジーを住まいづくり、まちづくりに最大限に活用し、くらしの新たな価値やサービスを創出。これまでの“あたりまえ”にとらわれず、想像を超えたくらしを実現する、未来志向のまちづくりに取り組んでいます。

    脱炭素経営に向けて、どのような課題がありましたか。

    住宅・建設業は他業種に比べてGHG *1 排出量が多く、しかも人が住み続けることでGHG排出が長年続くことから、建設時だけでなく販売後を見据えた脱炭素の取り組みが業界共通の課題となっています。

    また、PLTグループとしては、グループ各社のそれぞれのブランド力を生かしつつ、いかにして一体感を図っていくのかという課題がありました。

    *1 GHG:
    • Greenhouse Gas(温室効果ガス)

    脱炭素経営に取り組み始めた理由・きっかけをお教えください。

    当社は、パナソニックグループとトヨタ自動車を株主とし非上場であることから、投資家への訴求や、投資を呼び込むために脱炭素に取り組む必要はありません。とはいえ、カーボンニュートラルの実現は企業にとっての社会的責任であり、持続的な成長を支える上でも重要であることから、グループ全体で意欲的に取り組んでいかねばなりません。

    また、グループ各社は、当社の設立前から脱炭素社会の実現に向けてさまざまな施策を打ってはきたものの、取り組み状況はまちまちでした。そこで、統一的な方針の下で一丸となって脱炭素化に取り組むことで、企業価値を高めるとともに、グループとしての一体感をお客様へアピールする機会にしたいと考えました。

    PLTグループの脱炭素の取り組み方針を教えてください。

    当社では「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という宣言を行い、中間目標として2030年カーボン排出量50%削減(2020年度比) *2 を掲げています。

    この宣言を踏まえて、国際イニシアティブであるRE100 *3 にも参加し、事業活動における再生エネルギー化率を2030年60%、2040年までに100%の達成を目指しています。RE100への加盟は、企業としての国際的な認知度や自社の消費電力量などに一定の要件があり、当社を中心としたグループ経営への移行により、初めて要件を満たせたという経緯があります。今後は、RE100だけでなく、さまざまな国際イニシアティブに賛同するなどして、カーボンニュートラルへの取り組みを加速させたいと考えています。

    *2
    • 新築戸建、集合住宅におけるサプライチェーン全体としての目標値
    *3 RE100:
    • 100% Renewable Electricity(再生可能エネルギー100%)

    具体的にどのような施策に取り組んでいるのでしょうか?

    PLTグループ全体で一元的に脱炭素の取り組みを推進していくために、グループ横断のバーチャル組織である「カーボンニュートラル推進委員会」を立ち上げ、各社からメンバーを集めてさまざまな施策を実施しています。具体的な取り組みとしては、当グループの主要事業である住宅事業を中心に、2030年中間目標として、次のようなテーマに注力しています。

    @ 新築戸建住宅におけるZEH *4 比率90%(2020年度比)。
    A 新築低層集合住宅におけるZEH-M *5 比率50%(2020年度比)
    B エコリフォームの推進による一次エネルギー消費削減貢献量30%増(2020年度比)
    C 主要サプライヤーと協力して、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減

    に取り組んでいます。

    *4 ZEH:
    • net Zero Energy House(エネルギー収支がゼロ以下の住宅)
    *5 ZEH-M:
    • net Zero Energy House Mansion(エネルギー収支がゼロ以下の低層集合住宅)

    グループ各社の拠点で入力された排出量データを、
    本社側でスピーディに集計

    Sustanaの採用は何が決め手になりましたか。

    グループ各社では、もともとエクセルを使って苦労しながらGHG排出量を算定していました。一方、各社からデータを受け取って集計する委員会側も、フォーマットの異なるエクセルシートを集計するのでは手間が掛かります。そこで入力側も集計側の両方の負担を軽減できるように、グループ共通でツールを導入することになりました。製品選定に当たっては、製品ベンダーなどから説明を受けた後、最終選定に残った数社のツールを試用し、総合判断でSustanaを導入することにしました。

    Sustanaはコストや機能、使いやすさなどのバランスがよかっただけでなく、クラウド型サービスであるためWebブラウザだけで利用でき、既存の社内システムの改修も不要など、導入のハードルが低いことがポイントとなりました。また、当社は拠点数が多く、担当者ごとにPC操作の経験・スキルやGHGプロトコルの知識はまちまちですが、Sustanaは初心者でも指示に従ってクリックしていくだけでデータを入力でき、専門的な知識がなくても直感的な操作が可能で、全拠点に浸透を図りやすいことも高評価につながりました。

    Sustanaの利用方法を教えてください。

    現在、約300のユーザーがSustanaを利用しています。グループ各社の拠点で入力されたデータを、委員会側で集計してグループ全体の排出量を算定しています。

    Sustanaの導入はどのような効果をもたらしましたか。

    各拠点で入力したデータはクラウド上に保存されるため、委員会側ではほぼリアルタイムで集計することが可能です。委員会側でデータを収集する必要がないため、拠点数が多いにもかかわらず、集計作業はかなりスピードアップしました。

    また、電力会社からの請求書などをクラウド上で一元管理できるのも、大きなメリットだと感じています。

    今後とも、ユーザーの要望に耳を傾けて、
    機能や使い勝手のさらなる向上を

    Sustanaへの今後の展望やご要望をお聞かせください

    現在、約300名がユーザーIDを使用していますが、当社グループの拠点数は800ほどあることから、将来的にはより多くの拠点でデータを入力できるようにIDを増やしていく方針です。

    その為、Sustanaには管理者向けの機能も強化してほしいと考えています。

    例えば、当社のように多数の拠点や利用者を登録する導入企業では管理者向けの機能として登録された拠点や利用者の一覧をCSV出力する機能や利用者情報を管理者が変更できる機能があると管理業務の効率化につながると考えています。

    また、当社が参加するRE100のような国際イニシアティブへの報告には締め切りがあり、それに間に合わせる必要があることから、算定のための原単位の更新時期を早めてもらえれば助かります。

    最後に操作面では、SustanaではCSVアップロード機能によりデータ編集を手軽に行えますが、逆に(CSVに吐き出さないと)画面上では個別のCO2排出量が確認できないといった難点もあり、操作画面上の表示機能を充実いただけるとより使いやすいと思います。いずれにせよ、Sustanaのような排出量算定ソリューションは、カーボンニュートラルの取り組みに不可欠であり、われわれとしてはより優れたものを使っていきたいと考えています。その点で、Sustanaは定期的にバージョンアップが行われ、改善が進んでいる点には満足しています。今後ともユーザーの声に耳を傾けて、機能強化や使いやすさを追求し続けてもらうことを期待しています。