経理

公開日:2023.10.06

BPSPとは?仕組みや請求書支払い代行サービスのメリット、利用法を解説

BPSPとは?仕組みや請求書支払い代行サービスのメリット、利用法を解説

2022年3月より、「請求書支払い代行サービス」が始まったことをご存じでしょうか。「BPSP(Business Payment Solution Provider)」※と呼ばれる仕組みによって実現したこのサービスは、特に中小企業の資金繰り問題などを解決する可能性を秘めています。

※Visaが提供するカード決済を行いたいバイヤーと、カード決済を受け付けていないサプライヤー(カード非取り扱い店)の橋渡しを行う、新しいサービスです。

本記事では、BPSPの基本的な仕組みや、BPSPから生まれたサービスである請求書支払い代行サービスの導入メリット、利用する際の流れについてわかりやすく解説します。

BPSPとは、BtoB向けの新たなキャッシュレス決済ソリューションのこと

BPSP(Business Payment Solution Provider)とは、カード支払いを受け付けていない売り手企業とカード支払いをしたい買い手企業の決済をつなぐ新しいBtoB向けソリューションです。企業間取引におけるキャッシュレス決済利用を促進する仕組みとして注目されています。

近年、BtoC取引においては、キャッシュレス決済の普及が急速に進んでいます。2022年時点で日本国内のキャッシュレス決済比率は36.0%に達しており、10年前の2012年(15.1%)と比べると、2倍を超える決済比率へと着実に成長を遂げているのです(※1)。
一方、中小企業におけるBtoB取引では、キャッシュレス決済の導入率はわずか12.5%にとどまっています(※2)。BtoB取引においては、キャッシュレス決済が普及・定着しつつあるとは言い難い状況が続いています。

そのような状況を一変させる可能性を秘めているのが、BPSPです。BPSPの登場は、キャッシュレス決済への対応が困難だった企業にとって新たな決済手段となる可能性があり利便性の向上につながる仕組みとして定着するかもしれません。

(※1)出典:経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました
(※2)出典:経済産業省「キャッシュレス決済実態調査アンケート結果

BPSPが生まれた背景

BPSPが登場した主な理由には、前述したようにBtoBにおけるキャッシュレス決済の利用が進んでいない状況が挙げられます。
なぜ、BtoBではキャッシュレス決済が普及していないのでしょうか。主な要因としては、「決済手数料」と「環境整備」の2点が考えられます。

決済手数料の課題

一般的にキャッシュレス決済の手数料は、決済金額に応じた料率で決められています。決済金額が大きいほど決済手数料も増えることから、取引金額が大きくなりやすいBtoBでは敬遠される傾向がありました。
BtoB取引においては銀行振込とは異なり、売り手側が決済手数料を負担するケースが大半のため、積極的にキャッシュレス決済を導入する企業は多くなかったのです。

環境整備の課題

従来、キャッシュレス決済を利用するには、専用端末を導入する必要がある点も課題でした。端末導入にかかる初期費用等は売り手企業が負担しなければならないことに加え、決済システムの運用に手間がかかるのは避けられません。こうした環境整備が求められることが、BtoBにおけるキャッシュレス決済導入の障壁となっていた点は否めないでしょう。

しかし、BPSPの登場により、BtoBにおけるキャッシュレス決済導入・運用は簡素化され、キャッシュレス決済活用のハードルは下がっていく可能性が生じてきました。BPSPは、BtoBキャッシュレス決済の導入促進という課題解決のために生まれた側面もあるのです。

BPSPの仕組み

BPSPは、キャッシュレス決済をしたい買い手と売り手のあいだに立ち、売り手企業への立替払いと支払金額の受領を代行します。BPSPが疑似加盟店の役割を果たすため、売り手企業がクレジットカード非加盟店であってもキャッシュレス決済が可能となるのです。
この仕組みを活用して生まれたのが、一般的に「請求書支払い代行サービス」と呼ばれるサービスです。
下図は従来の企業間取引と、BPSPから生まれた、請求書支払い代行サービスを利用した企業間取引の比較を表したものです。

■従来の企業間取引と、請求書支払い代行サービスを利用した企業間取引の比較

従来の企業間取引と、請求書支払い代行サービスを利用した企業間取引の比較

請求書支払い代行サービスの決済の手順

一般的な請求書支払い代行サービスでは、どのような流れで決済されていくのでしょうか。キャッシュレス決済の手順は、下記の通りです。

請求書支払い代行サービスの決済の手順

買い手企業が請求書支払い代行サービスに対応したクレジットカードを持っていれば、上記の通り、売り手企業がクレジットカード加盟店かどうかを問わずキャッシュレス決済を利用できます。
既存のクレジットカードを利用できる点や、売り手に請求書支払い代行サービスの利用を通知することなく支払いが完了する点が大きな特徴です。

請求書支払い代行サービス導入のメリット

請求書支払い代行サービスの活用で、得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。一般的なメリットとしては、下記の5点が挙げられます。

請求書支払い代行サービス導入のメリット

企業間取引における請求書の支払いにクレジットカード決済が利用できる

請求書支払い代行サービスは、従来の企業間取引と同様に、請求書による支払に対応している点が大きなメリットです。請求書を交わした上での支払でもクレジットカード決済が利用可能となり、支払方法の選択肢を増やすことができます。

新たな契約締結や審査を経ることがないため申込手続きが簡単

請求書支払い代行サービスは、買い手企業が現在所有している法人カードで決済が可能です。融資契約など新たな資金調達の契約締結や審査等を経ることなく、支払方法のひとつとして選ぶことができます。

資金繰りの改善効果が期待できる

請求書支払い代行サービスは、通常のクレジットカード決済と同様に後払いとなります。そのため、仕入れの時点での支払いが不要となり、サービスによっては、実際の支払いを最大約40日間延長することができるものもあります。このことから、資金繰りの改善効果も期待できるでしょう。

ポイントも貯まる

カード払いへ変更すれば、カードのポイントも貯まってお得です。BtoBにおける決済金額は個人利用よりも大きくなる傾向があるため、ポイントは効率良く貯まっていくでしょう。

支払方法の一元化による業務効率化につながる

請求書支払い代行サービスを利用すれば、支払に関する情報を専用ウェブサイトで確認できます。また、さまざまな支払いをクレジットカード払いへ集約することにより支払方法の一元化ができ、業務効率化につなげることも期待できるでしょう。

初めて利用する際の流れ

請求書支払い代行サービスを初めて利用する際の一般的な流れを、具体的に押さえておきましょう。利用方法は複雑なものではなく、下記の3ステップで完結します。

1.会員登録

一般的な請求書支払い代行サービスは、対応するクレジットカードを所有する事業者であればすぐに利用を開始できます。請求書支払い代行サービスに会員登録を済ませ、専用サービスページにログインします。

2. 支払に利用するクレジットカード番号を設定

請求書支払い代行サービスの専用サービスページにて、支払に利用するクレジットカード番号を設定します。一般的な請求書支払い代行サービスは、国内発行の国際ブランドクレジットカードのほか、デビットカード、プリペイドカードのいずれにも対応しています。

3. 請求書の内容を設定し申請

支払代行を依頼する請求書情報を入力し、申請手続を行います。振込希望日の数営業日前までに申請を完了させることによって、請求書支払い代行サービスが希望日に売り手企業へ支払いを代行します。申請した振込金額はサービス手数料とともに、支払いに利用したクレジットカードのご利用代金として請求されます。サービスによっては、申請から実際の支払日まで最大約40日間確保できるものもあるため、資金繰りの改善にも役立つはずです。

請求書支払い代行サービスの導入で、資金繰りの改善や業務効率化のメリットを期待

請求書支払い代行サービスは中小企業にとって大きな可能性を秘めたサービスといえます。請求書支払い代行サービスを利用すれば、資金繰りの改善効果が期待できるため、買い手企業がビジネスを一気に拡大させたいと考えている場面での利用もおすすめです。また、売り手企業に通知することなく利用できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
SMBCグループでも「請求書支払い代行サービス」を提供しております。ぜひ導入をご検討ください。

また、請求書支払い代行サービスを利用する際には、クレジットカードが必要となります。
SMBCグループでは、三井住友カードビジネスオーナーズをご提供しております。このカードは法人代表者、個人事業主の方に向けた年会費永年無料のクレジットカードです。また、カード券面にカード番号の記載が無い安全なナンバーレスカードとなっています。
請求書支払い代行サービスの利用を検討されている際は、この機会に三井住友カードビジネスオーナーズのご利用もご検討ください。

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