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経理
公開日:2023.08.08
信用調査とは?概要や方法、信用調査と並行して進めたいリスクヘッジを解説
企業間では、信頼関係にもとづく掛取引が行われます。掛取引とは、一定期間内の取引金額をまとめて後払いする取引のことです。掛取引が数多く行われる企業間取引においては、取引先の信用度を調査しておくことも重要です。調査をしないまま取引をすると、売掛金が回収できず、自社の経営に損失が及ぶ可能性もないとはいえません。
しかし、取引先の経営状況を直接聞くことは困難です。そのため、信用調査を専門とする第三者機関である信用調査会社を活用するケースも多いでしょう。
本記事では、信用調査の概要や方法についてわかりやすく解説します。また、信用調査で押さえておきたいポイントや、信用調査と並行して進めたいリスクヘッジなども併せて紹介します。
信用調査とは、債権の未回収リスクを防ぐための調査
1回の取引で動く金額が大きい企業間取引では、現金での都度払いが非効率であることから、複数回の取引分をまとめて後払いにする掛取引が一般的です。掛取引は請求や支払がまとまるため、事務作業の手間やコストを減らせますが、同時に「代金未回収リスク」が存在することには注意が必要です。
取引を終えてから代金を回収するまでに、取引先が倒産して代金を回収できなくなるリスクはゼロではありません。代金未回収が起こると、自社だけでなく仕入れ先や他の取引先にも悪影響が及ぶ可能性があります。
そこで、債権の回収不能リスクを未然に防ぎ、自社の利益を守るために行うのが信用調査です。信用調査は、自社で行う方法のほか、外部の信用調査会社などに委託して調査してもらう方法があります。
信用調査の方法
信用調査の方法には、大きく「社内調査」「直接調査」「外部調査」「依頼調査」があります。それぞれどのような調査なのか見ていきましょう。
社内調査
社内調査は、自社内のリソースを使って調査する方法です。実際の取引はまだ行われていなくても、すでに営業担当者が相手先のオフィスを訪問したり、電話などでコンタクトをとっている場合は、営業担当者から状況をヒアリングするとよいでしょう。
過去に取引がある企業の場合は、経理部などに問い合わせをすると当時の取引資料が残っているかもしれません。社内調査は、コストをかけずに一定の情報を得られますが、社内リソースや調査方法を鑑みると、調べられることに限界のある調査と言えます。
直接調査
直接調査は、取引先の担当者にヒアリングをする方法です。すでにリレーションがあり、踏み込んだ話ができる場合は、直接訪問して経営状況を聞くとよいでしょう。直接、取引先のオフィスを見ることで、電話やメール、FAXだけではつかみきれない企業の雰囲気や、設備、在庫の状況などを確認できるでしょう。
注意点は、「調査される」ことを受け入れてくれる企業ばかりではないことです。直接調査をする際は、特に慎重なコミュニケーションが求められます。
外部調査
外部調査は、外部情報から調査を進める方法です。具体的にどのような種類があるのか見ていきましょう。
・官公庁の公開情報を利用
法務局で閲覧できる商業登記簿、不動産登記簿などの官公庁の公開情報を利用することが外部調査の方法のひとつです。官公庁の公開情報を確認すれば、資本金の増減や、抵当権の状況などから取引先の経営状況を推察することができます。
・インターネットを利用
外部調査は、インターネットでも行なえます。これは、企業情報データベースや企業のウェブサイトから情報を収集する方法です。取引先の公式サイトに上がっている決算報告やIR情報のほか、人事異動の状況を確認するのも有効です。
・調査対象企業の関係先にヒアリング
調査対象企業が入居しているビルのオーナーや取引中の銀行、企業などから情報を集めるのも外部調査の方法のひとつです。なお、情報収集先から取引先企業に、調査をしている事実が伝わる可能性もあります。調査をしている事実を取引先企業に知られたくない場合には、調査対象者の慎重な選定が必要です。
依頼調査
依頼調査は、調査を専門とする第三者機関に依頼する方法です。依頼調査のメリットは、自社では調査の手が及ばない範囲まで専門家が調査してくれることです。
依頼調査は、情報の確度、精度の高さに期待ができ、エビデンスのある情報にもとづいて取引先の経営状況を判断できます。
信用調査で押さえておきたいポイント
信用調査を行う場合は、必ず押さえておきたいポイントがあります。信用調査では、下記の2点を忘れずに確認してください。
調査先の企業や経営者を信用できるか
企業の経営は、データだけでは推し量れない部分もあります。特に、スタートアップやベンチャー企業では、経営者の人柄や発想力、柔軟性、事業アイディアなどが事業成長に大きく影響する可能性があります。
数値化できる定量データと併せて、経営者に会ったときの印象や話の内容、企業を訪れたときに感じた企業風土といった定性データも判断材料にしましょう。
調査先の資産状況・財務の状態は健全か
どんなに魅力的なビジネスをしている企業でも、どれだけ社長が有能で優れたビジネスアイディアを持っていても、売掛金を支払うだけの支払い能力がなければ取引を検討することは難しいでしょう。
売上推移や受注状況から、支払い能力があるかどうかは必ずチェックしましょう。
信用調査を実施しない場合のリスク
信用調査をしても、100%リスクをなくすことはできませんが、調査を実施しないという判断はおすすめできません。信用調査をしなかった場合、下記のようなリスクが高まります。
売掛債権の回収ができない
信用調査をせずに取引を開始すると、相手の経営状況がわからず、資金繰りの悪化に気づけません。そのまま掛取引をして取引先が倒産すれば、売掛金が回収できず自社の経営に悪影響が及びます。
キャッシュフロー悪化で業界内での印象が悪くなる
信用調査を一切しなかった結果、取引先の倒産で販売先から売掛金を回収できなくても、仕入先には期日どおりに支払いをしなくてはなりません。
手元の現金や預金を切り崩して対応していると、キャッシュフローが悪化してしまいます。それにより、自社の評価も下がってしまう可能性もあります。
連鎖倒産を起こしてしまう
経営が上り調子の企業でも、売掛金の未回収を発端としてキャッシュフローが悪化します。信用調査をしないまま多くの企業と取引を重ねると、連鎖倒産を招くリスクが高くなります。
信用調査と並行して進めたいリスクヘッジ
信用調査だけでは、十分に債権回収不能リスクに備えることはできません。ここでは、信用調査と並行して進めたい「与信管理」と「債権保全」について見ていきましょう。
与信管理:取引先に応じて与信限度額を調整する
与信とは、取引先への信用のことです。企業間の商取引では、商品やサービスを先に提供し、後日代金を請求するというケースが多くあり、取引先が必ず代金を支払ってくれるという信用にもとづいて取引をしています。取引先に信用を供与して、商品やサービスを提供した後に代金を請求する取引が与信取引(信用取引)です。
そこで必要となるのが与信管理です。取引先の経営状態に応じて、経営リスクが高ければ与信限度額を低く、経営リスクが低ければ与信限度額を高くするなどして、損失金額が増えることを防ぎます。
債権保全:人的担保と物的担保を確保する
債権保全とは、債権を現金として確実に回収するための取組です。債権保全の方法には、人的担保として保証人、連帯債務者、連帯保証人などをつける方法や、抵当権など約定担保物権の設定、仮差押え、仮処分などの物的担保があります。債権保全を行うには、債権者の権利を書面にし、人的担保や物的担保を確保しておくと良いでしょう。
万が一の貸倒リスクに備えるためにも、信用調査と与信管理、債権保全は万全に行いましょう
信用調査は経営のリスクマネジメントとして不可欠なものですが、調査だけでは、十分にリスクヘッジをすることができません。信用調査に基づいた適時適切な与信管理、債権保全を行うことが重要です。
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(※)法務・税務・労務に関するご相談は、弁護士や税理士など専門家の方にご相談いただきますようお願い申し上げます。