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公開日:2022.03.30

業務委託契約書とは?記載事項と作成時に注意したいポイント

業務委託契約書とは?記載事項と作成時に注意したいポイント

業務を効率化するためには、業務委託を活用することが効果的です。しかし、一般的には公開していない社内の情報などを外部に知られることにもなるため、業務委託を活用する際には情報の取り扱いなどを十分に注意する必要があります。さまざまなトラブルを避けるためには、業務を委託する前に必ず業務委託契約書を締結するようにしましょう。
この記事では、業務委託の概要と種類のほか、業務委託契約書の主な記載事項と作成で注意するポイントについて解説します。

委託内容を記載する業務委託契約書

業務委託契約書とは、業務を委託する側と業務を受託する側が締結する契約書です。業務委託契約書には、委託する業務内容や条件、問題が発生した場合の対処方法などが記載されています。

なお、口頭やメールで業務内容と条件を連絡して依頼した場合でも、委託者と受託者双方の合意があれば、業務委託契約は成立します。しかし、口頭での依頼では証拠が残らなかったり、メールで何度もやりとりしていると最終的な条件がわからなくなったりすることもあるかもしれません。そうなると、後でトラブルに発展する可能性もあるため、業務委託契約書を作成し、業務委託の条件を明確にしておく必要があります。

業務委託とは?

では、業務委託とはどのような委託方法なのか確認しておきましょう。
業務委託とは、外部の個人や企業に自社の業務を委託することです。業務委託の委託者と受託者は対等な立場であり、雇用関係はありません。
また、業務委託には大きく分けて「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つの種類があります。

業務委託契約

・請負契約

請負契約とは、受託者による成果物の納品(仕事の完成)を目的とした業務委託契約です。受託者は、契約した内容のとおりの仕様、品質の成果物を期日までに納品する義務を負い、納品された成果物に対して報酬が支払われます。請負契約では、成果物の内容について契約前に明確にしておくことが大切です。

・委任契約

委任契約では、受託者が法律行為を遂行することに対して報酬が支払われます。中でも、弁護士や司法書士といった法律行為をすることを委託する際の契約で、請負契約とは異なり、一定の事務の処理それ自体を目的としています。委任契約での業務委託の場合、業務をどのように遂行するかは受託者に任され、受託者は善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います。

・準委任契約

準委任契約も委任契約同様、受託者が業務を遂行することに対して報酬が支払われます。委任契約は法律に関する業務である一方、準委任契約は医師やエンジニア、コンサルタントなど、法律以外の分野の業務が対象です。

雇用契約との違い

業務委託契約は、雇用契約とも異なります。雇用契約とは、正社員や契約社員、アルバイトなど、労働者が使用者に対して労働に従事することを約し、これに対して報酬を支払う契約です。雇用契約の場合、企業が労働者に対して業務を行う時間や場所を指定したり、業務の進め方を指示したりするといった指揮命令関係にあります。また、雇用契約には、労働基準法が適用されます。

一方、業務委託契約では、委託者と受託者のあいだに指揮命令関係がないため、目的の達成に必要な条件として契約上定められている場合を除き、業務を行う時間や場所などを指示することはできません。
なお、業務委託の受託者には、原則として労働基準法は適用されません。

業務委託契約書の主な記載項目

業務委託後のトラブルを避けるため、業務委託契約書には委託内容を明確に記載しておく必要があります。具体的な記載内容は業務によって異なりますが、どのような業務委託内容であっても下記の項目については記載しておいたほうがいいでしょう。

■ 業務委託契約書の主な記載項目

項目 記載内容
業務内容 委託する業務内容を具体的に記載します。
報酬 委託した業務に対する報酬について記載します。成功報酬など、一定の要件に応じて報酬を算出する場合は、算出方法についても記載しておきます。
支払条件 報酬をいつ、どのように支払うのかを記載します。
成果物の権利 納品された成果物や業務遂行の過程で発生した著作物などについて、誰が著作権や知的財産権を保持するのかを記載します。
再委託 受託者が業務を第三者に再委託することが可能かを記載します。再委託を認める場合は、その条件についても記載します。
秘密保持 委託した業務を遂行する上で知り得た情報を第三者に開示しないことを記載します。
契約解除 契約違反や契約不履行などがあった場合の契約解除について記載します。
契約期間 契約期間を記載します。自動更新の有無や中途解約の条件などの記載も必要です。
禁止事項 業務の遂行にあたって受託者に禁止することがある場合、具体的に記載します。
契約不適合責任 請負契約では、納品された成果物の種類・品質が契約の内容に適合しない場合の責任(履行の追完、報酬の減額、損害賠償、契約解除など)を記載します。なお、従前は「瑕疵担保責任」という概念がありましたが、2020年施行の民法改正により契約不適合責任に改められています。
管轄裁判所 業務委託契約に関してトラブルが発生し裁判になった場合、どこの裁判所で裁判を行うか管轄裁判所を記載しておきます。
反社会的勢力の排除 委託者、受託者が反社会的勢力と関係を持っている場合や、反社会的勢力だった場合の契約解除について記載します。

業務委託契約書を作成するにあたって注意するポイント

業務委託契約書を作成するにあたっては、いくつか注意したいポイントがあります。
たとえば、業務委託契約書を紙で作成する場合、契約金額に応じた印紙を貼付しなければいけません。金額を記載しなかったとしても、期間が3ヵ月を超える業務委託契約書を締結する場合は、4,000円分の印紙が必要です。

業務委託契約書を何通も締結する必要がある場合、印紙代がかさんだり、管理にかかる手間が増えたりするため、紙ではなく電子契約で業務委託契約書を締結するといいでしょう。電子契約であれば印紙の貼付は不要で、パソコンやスマートフォンなどの端末から契約締結できるため、手間もコストも削減することができます。電子契約システムの活用を検討してみてください。

電子契約サービスで業務委託契約にかかるコストと手間を削減しよう

外部に業務を委託する場合は、委託先と業務委託契約書を締結する必要があります。業務委託契約書の作成、送付にはコストや手間がかかってしまいますが、電子契約システムを使うことで契約締結自体をデジタル化でき、コストや手間も大幅に削減可能です。

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(※)2022年3月30日時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。
(※)法務・税務・労務に関するご相談は、弁護士や税理士など専門家の方にご相談いただきますようお願い申し上げます。

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