総務

公開日:2022.12.05

更新日:2023.11.14

グループウェアとは?メリットや導入のポイント、中小企業のDX事例を紹介

グループウェアとは?メリットや導入のポイント、中小企業のDX事例を紹介

企業では複数人のメンバーでチームを組んで業務を進めていく機会が多くあります。しかし、普段の業務を進めていく中で、密にコミュニケーションを取り、必要な情報を逐次共有することは難しいのではないでしょうか。そこで役に立つツールがグループウェアです。
これからグループウェアのメリットや導入ポイント、中小企業のDX事例等について紹介します。

中小企業におけるDXの現状と課題とは

近年、働き方の多様化や労働人口の減少に伴い、業務効率化や生産性向上が多くの企業において課題となっています。一方で、中小企業においては、長年続いてきた仕事の進め方を変えられていないケースも多いのではないでしょうか。そういった課題の代表例としては、DXの遅れが挙げられます。

株式会社東京商工リサーチの調査(※1)によれば、DXに取り組んでいる中小企業は約4割にとどまっています。大企業の7割半がDXに取り組んでいる実態と比較すると、中小企業におけるDX推進の遅れが顕著に表れているのです。
また、株式会社MM総研が実施した「中小企業のデジタル化に関する調査」(※2)によれば、日本の中小企業は中堅企業や大企業と比べて、クラウドサービスの利用割合が約30%低いという結果が出ています。このように、中小企業におけるDX推進の動きは依然として鈍く、大企業との差が開きつつあるのです。

(※1)出典:「DXへの取り組み、中小企業は4割にとどまる 予定なしも約2割「生産性向上」目的が7割、中小企業は「金融機関」活用が最多」|株式会社東京商工リサーチ
(※2)出典:「中小企業のDX推進における課題分析」|株式会社MM総研

管理部門を悩ませる昨今の課題

中小企業でのDX推進が遅れていることにより、特に大きな影響を受けているのが総務等の管理部門ではないでしょうか。管理部門を悩ませる昨今の課題としては、主に次の2点が挙げられます。

テレワーク環境の整備の遅れ

コロナ禍を経て、テレワークの導入に踏み切った企業は少なくないでしょう。テレワークを円滑に進めるには、労務管理を始め様々な環境整備が求められます。しかし、実態としては下記のような環境整備が追い付いていない企業も決して少なくないのです。

<テレワーク環境下で求められる環境整備の一例>

  • ・勤怠管理等、労働時間を適切に管理する仕組み
  • ・書類や各種ワークフローのデジタル化
  • ・物理的に離れた場所同士でのコミュニケーション手段
  • ・人事評価制度の改定
  • ・情報セキュリティ対策

仮に、従来の仕組みのままテレワークへと移行した場合、様々な業務処理や事務作業の手間や労力が増えてしまうのは避けられません。結果として、管理部門に負担のしわ寄せが来てしまい、過重労働や長時間勤務の原因となりかねないのです。

労働基準法の改正に対応した労務管理の必要性

働き方改革に伴い、労働基準法等が改正されており、法改正に伴う労務管理コストの増加も見逃せません。主な改正ポイントは次の通りです。

<近年の労働基準法の主な改正ポイント>

  • ・毎年5日の年次有給休暇の時季指定義務(2019年4月1日より適用)
  • ・同一労働同一賃金(正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止。2021年4月1日より中小企業にも適用)
  • ・時間外労働の上限規制(中小企業は2020年4月より適用、一部業種の猶予期間は2024年3月末まで)
  • ・賃金のデジタル払い(2023年4月より適用)
  • ・月60時間を超える残業の割増賃金率が50%に(2023年4月1日より中小企業にも適用)

残業手当の計算方法の変更や年次有給休暇の取得状況・労働時間の管理等、管理部門が担う役割は少なくありません。また、2024年4月からは有期雇用労働者に対する労働条件明示のルールの変更も予定されている等、法改正への対応は、管理部門にとって業務負荷が増す大きな要因のひとつとなっているのです。

管理部門のDXには欠かせないグループウェアとは?

グループウェアとは、企業等での情報共有やコミュニケーションを円滑にすることで業務効率化を促進するソフトウェアのことです。
業務として情報共有やコミュニケーションは、頻度や重要度も高く、不十分であれば業務に支障をきたすことが多くあるため、十分かつ円滑に行うことは業務効率化にとって非常に大切です。
グループウェアは、情報共有やコミュニケーション等を十分かつ円滑に行うために必要な機能が搭載されており、管理画面から各種機能に素早くアクセスできるのが一般的です。また、ウェブ上でログインすれば、それらの機能をすべて使用できるASP(アプリケーションサービスプロバイダ)やクラウド型のものもあります。

管理部門の業務を効率化するグループウェアの主な機能と導入メリット

管理部門の業務は定型的な繰り返し業務も多いことから、DXが得意とする分野と言えます。請求書や契約書のデジタル化、稟議書のクラウド上での共有等、DXの導入ハードルは決して高くありません。
管理部門で活用できるグループウェアの機能には、どのようなものがあるのでしょうか。主な機能とDXの必要性について導入メリットと併せて解説します。

グループウェアの主な機能

コミュニケーション機能

・チャット

SNSのようなチャットが行える機能です。メールだと畏まったやりとりになりますが、チャットにすることにより、気軽に早くコミュニケーションを取ることができます。

・ウェブ会議

グループウェアの中にウェブ会議機能が搭載されていれば、同じチームメンバーはもちろん、部署間等でも容易にミーティングをすることができます。一部メンバーがリモートワークしているケースでは、特に貴重な機能です。

・掲示板

社内文書の回覧や人事・総務からの通達等を掲示板で周知する機能です。全従業員だけでなく、特定のメンバーやグループに対して、事前に公開日時を予約し、掲示することも可能です。

情報共有機能

・ファイル共有

ドキュメントや画像等を企業内やチーム内で共有できる機能です。各種資料や議事録等も簡単に共有できます。

・プロジェクト管理

プロジェクト全体の進捗、メンバーのタスク状況を視える化し、プロジェクト全体のタスク管理を円滑にする機能です。

・リモートワーク促進

チャット機能を活用したコミュニケーションを取ることでリモートワーク(またはテレワーク)でもスムーズに意思疎通を図ることができます。加えて、プロジェクト管理機能を活用して進捗把握ができるため、非対面でも業務を円滑に進めることができ、リモートワークの促進に役立ちます。

業務効率化機能

・設備予約(会議室や備品貸出の予約管理)

社内の会議室予約や備品貸出の予約を行う機能です。予約だけでなく変更、キャンセルも簡単に行うことができます。

・申請・承認ワークフロー

申請や稟議等の手続を行える機能です。テレワークや出張先でも対応できるため、紙でのやり取りよりも短時間で申請や稟議等の業務を進めることができます。

・スケジュール管理

個人や自分の所属するグループ等のスケジュールを確認できる機能です。相手のスケジュールを確認できることで、会議や行事等の日程調整を容易に行うことができます。

・資料共有・プロジェクト管理の効率化

プレゼン資料や議事録等を簡単に共有することができます。また、プロジェクト管理機能を使えば、各タスクの進捗を把握できるため、メンバーと共通認識を持って、効率的な打ち合わせができます。

・ペーパレス化

従来紙で行われていた申請や稟議等の手続きをグループウェア上で実施することができるため、ペーパレス化にも繋がります。加えて、紙での申請等と比べて、時間・場所の制限なく申請できるため、稟議のスピードアップにも繋がります。

グループウェアの導入をご検討の方はこちらをご参照ください。

関連記事:「【担当者必見】中小企業のIT化が分かる!推進方法や成功の秘訣を解説

バックオフィスにおけるDXの必要性と効果

管理部門のDX推進に取り組むと、様々な効果を得られる可能性があります。一例として、次のような効果が期待できるでしょう。

作業品質の向上

管理部門の業務は、ミスなく進めることが大前提とされています。手早く効率的に進めることも重要ですが、それ以上にミスのない正確な処理が不可欠です。
そこで、DXを推進すれば、ヒューマンエラーを防ぎ、作業品質の向上を図ることができます。

働き方改革への対応

DXの推進で書類のデジタル化やワークフローシステムを導入すれば、テレワーク等多様な働き方にも対応しやすくなります。従業員・決裁者・管理部門担当者のそれぞれが別の場所で就業していたとしても、物理的な距離に影響を受けることなく、申請・承認手続や決裁を進められるからです。

業務の属人化防止

特に中小企業においては、限られた人員で管理部門の業務を担当しているケースが少なくありません。各担当者が独自の方法で業務を進めていると、どうしても業務が属人化しやすくなります。担当者の不在や、急な退職が発生すると対応が困難になり、管理部門の業務に混乱をきたしかねません。
しかし、各種ツールやシステムを導入することで作業フローを標準化すれば、業務の属人化を防ぐ効果が期待できるでしょう。

企業の競争力強化

経験や勘に頼らない業務の進め方を定着させていく意味においても、DX推進は有効な方策と言えます。
例えば、タレントマネジメントシステムを導入することによって従業員各自のスキルや経験を可視化し、個々人の持つ強みや能力をさらに活かすこともできるでしょう。結果として、企業の競争力強化に繋がり、業績の向上にも寄与するはずです。

グループウェアの導入をご検討の方はこちらをご参照ください。

グループウェア導入のポイント

グループウェアを導入する際には、具体的にどのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは、グループウェア導入における4つのポイントを確認していきます。

グループウェア導入のポイント

導入目的の明確化

新たにグループウェアを導入する時は、導入目的を明確にしましょう。導入目的を明確にしないと必要のない機能を搭載した結果、余計なコストがかかってしまうことや、コストに見合う効果が得られない可能性があります。

自社システム・業務との適合性の確認

自社システムや業務に適しているかしっかりと確認しておきましょう。例えば、自社でスマートフォンやタブレット等を業務で利用している場合、グループウェアがアプリに対応しているか確認する必要があります。今のシステムや業務に適合しているグループウェアを見つけることができない場合は、業務内容や業務フローを変更することも選択肢のひとつです。

操作性の確認

従業員がすぐに操作可能か否かの観点も忘れないようにしましょう。機能性の優れたグループウェアであっても、従業員にとって操作が難しければ、利用されない可能性があります。グループウェアによっては無料トライアルで実際の操作を体験できるものもあるため、事前に操作性を確認しておきましょう。新しいウェブツールに不慣れな従業員にこそ、お試し利用してもらう必要があります。

セキュリティ機能の確認

セキュリティ対策の内容は特に重要です。ドキュメントや画像を簡単に共有できる点は良いことですが、社外に流出してしまうと顧客や会社に大きな被害が出る可能性があります。アクセス制限や暗号化等、十分なセキュリティ機能が実装されているか確認しましょう。

グループウェアの導入事例

最後に、グループウェアを導入したことで、業務効率化や業績アップ、離職率低下等を実現した企業の事例を3つご紹介します。

高齢の職員が多いA社の事例:手厚いサポートを行うことで、データの安全性と共有化の向上に成功

高齢の職員が数多く在籍しているA社では、Excelでのデータ管理が慣例となっていました。そのため、大半のデータが各担当者のパソコンに格納されているという状況でした。

そこで、A社は操作性に優れたグループウェアの導入を決定しました。同時に、IT製品に抵抗感を抱いている高齢の職員でも操作ができるよう、丁寧なマニュアルも作成しました。その結果、グループウェアの利用は無事に定着し、パソコンの操作ミスによって大切なデータが消失するといったリスクもなくなりました。

業績を大幅に伸ばしたB社の事例:大幅な業績アップ・離職率の低下を実現

B社では、全社でスケジュールとタスクを共有できる機能を導入することで、仕事の円滑化・効率化に成功し、業績を大幅に伸ばしました。業績は、グループウェアを導入してから8年間の間に約30倍まで伸びたそうです。また、従業員同士のコミュニケーションをマルチデバイス化することで、社外でもコミュニケーションがとれるIT環境を構築しました。無駄な確認作業や調整する時間も解消され、社員のストレスも減少し、離職率の低下にもつながりました。

メールで情報を共有していたC社の事例:業務の属人化が減り、情報共有の円滑化に成功

C社は、プロジェクトの円滑化を目指してグループウェアを導入しました。C社は以前からメールで申請書類のやり取りを行っており、担当者がそれらの申請内容をExcelに打ち込むという工数がかかっていました。さらには、部署内で情報が共有される機会も少なく、業務が属人化するという課題も抱えていたのです。
しかし、グループウェアを活用すると、プロジェクトの進捗が一元管理され、プロジェクトが円滑に進むようになりました。また、従業員が情報を更新すると、管理者も含めて全員が更新内容を閲覧できるため、情報共有の活性化にもつながったそうです。

また、C社ではグループウェア内でアプリを作成する機能を活用し、業務改善に役立つさまざまなアプリを開発しています。たとえば、作業日誌や注文書発行、現金出納などをグループウェアで管理するアプリは、従業員のアイディアが発端となって開発されました。
こうしたノウハウを活かし、現在では中小企業の課題解決をサポートする業務改善コンサルにも取り組んでいます。

グループウェアは業務効率化やDX推進に役立つツール

今回はグループウェアの基礎知識や導入メリットについてご説明しました。グループウェアは企業内の情報共有やコミュニケーションを円滑にし、業務効率化を促進するツールです。スケジュール管理機能やプロジェクト管理機能等を利用することで、業績アップや社員のストレス低減にまで効果が期待されます。

SMBCグループが提供する「PlariTown」は、グループウェアを始め業務効率化やDX推進に資する多様なデジタルサービス、業界ニュース・レポート等、ビジネスに役立つ情報をワンストップで利用できるプラットフォームです。サービス導入の相談受付やお客さまの業務実態に合わせた提案も実施しており、DX推進をサポートします。
グループウェアの導入、自社のDXを検討されている方は、是非「PlariTown」をご活用ください。

(※)2023年11月14日時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。
(※)法務・税務・労務に関するご相談は、弁護士や税理士など専門家の方にご相談いただきますようお願い申し上げます。

(※)「管理部門を悩ませる昨今の課題」の項目について監修

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