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総務
公開日:2022.01.28
テレワークとは?概要とメリット、導入方法を解説
テレワークという働き方が、徐々に国内企業のあいだに定着しようとしています。テレワークはなぜ必要とされ、導入を成功させるためには何が重要なのでしょうか。
ここでは、テレワークの概要とメリット、導入のための方法等について解説。また、企業によるテレワーク導入事例についても見ていきましょう。
時間と場所にとらわれないテレワークという働き方
テレワークとは、インターネットやパソコン等のICT(情報通信技術)を活用して、時間と場所を有効活用する柔軟な働き方のことです。
総務省ではテレワークを雇用型と自営型に分けていますが、一般的に雇用型のテレワークといえば、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなどの形態があります。
テレワークの実施率
テレワークの実施率は、2020年になり一気に増えました。新型コロナウイルス感染症拡大による1回目の緊急事態宣言の発令期間は2020年4月7日〜5月25日、2回目は2021年1月8日〜3月21日、3回目は2021年4月25日〜6月20日、4回目は2021年7月12日〜9月30日です。
国土交通省が2021年3月に発表した「テレワーク人口実態調査」によると、2020年の雇用型のテレワーク実施者は2019年の14.8%から23.0%へと急増しています。もう少し細かく見ると、第1回緊急事態宣言中の2020年4月〜5月の全国の実施者は20.4%でピーク、解除後の2020年8月〜10月は16.4%となり、やや下がりました。
地域別では、緊急事態宣言下の2020年4月〜5月の首都圏は31.4%と高い数字になっています。一方、同時期の地方都市圏は13.6%と、倍以上の差が開いていました。
テレワークのメリット
テレワークには、企業のメリットと従業員のメリットがあります。それぞれの立場におけるテレワークのメリットを、くわしく見てみましょう。
企業におけるテレワークのメリット
テレワークを行うことによって、企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットについて説明していきます。
・業務の効率化
テレワーク導入による企業の一番のメリットは、業務の効率化です。在宅勤務が業務効率化に結びつくかについては議論もありますが、コミュニケーション不足をウェブ会議やチャットツールで解消し、勤怠管理を専用ツールで行う等の工夫をすれば、効率化は十分に可能という見方が主流です。在宅勤務をはじめとするテレワークは時間を有効活用でき、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
・オフィスコストの削減
テレワーク導入により、オフィスコストを削減できるという点も見逃せません。従来のような広いオフィス、会議室、来客用応接室等を確保する必要がなくなり、フリーアドレス制を導入したコンパクトなオフィスでも用が足りるようになります。ウェブ会議による会議・打ち合わせ・商談も、交通費や移動時間を削減する効果をもたらします。
・人材確保に役立つ
テレワーク導入が人材確保に役立つというのも、よく指摘されるところです。たとえば、出産・育児、介護、配偶者の転勤等で働くことが難しくなった人でも、在宅勤務であれば働ける可能性が高くなります。さらに、テレワークという働きやすい環境が整備されていることで、その企業に入社したいと考える人も少なくないはずです。
・BCPに有効
テレワークが企業のBCP(事業継続計画)に有効ということも、コロナ禍によって証明されました。また、感染症拡大だけではなく、地震や台風等の災害時にもテレワークは力を発揮するでしょう。
従業員におけるテレワークのメリット
テレワークを行うことにより、その会社で働く従業員にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについて説明していきます。
・通勤が必須ではなくなる
従業員にとっては、在宅勤務によって通勤の必要がなくなる点、通勤の機会が減る点がテレワークの大きなメリットです。通勤時間の削減に加えて、通勤ストレスも軽減されます。
・ワークライフバランスが実現しやすくなる
時間や場所の制約にとらわれない働き方が選べるようになり、ワークライフバランスを実現しやすいこともテレワークのメリットといえます。ワークライフバランスは、仕事と個人の生活のバランスをとり、仕事と生活のどちらも充実させていこうという考え方です。
・仕事にゆとりができ、自分の生活をより楽しめるようになる
テレワークを上手に活用すれば、ゆとりを持って仕事をし、生活も楽しめる可能性が高くなるでしょう。仕事と出産・育児、介護等との両立も、たやすいとまではいえないにしても、オフィス勤務時より断然やりやすくなるはずです。
テレワークの導入方法
テレワークを導入するプロセスは、下記の6つのステップに分けられます。それぞれのステップの進め方やそのポイントについて、順に説明していきます。
なお、テレワーク導入に際しては、経営企画部、総務・人事部、情報システム部、導入対象部門等から選出したメンバーによる、プロジェクトチームを設置するとスムーズです。
1. テレワーク導入の目的・範囲の検討と現状把握
テレワーク導入にまず必要となるのは、導入する目的と範囲の検討、現状把握です。
コロナ禍を理由にすると導入目的はBCP中心になりやすいのですが、業務効率化や従業員の働く環境の整備(働き方改革)も視野に入れることで、より意義の大きなテレワーク導入となります。たとえば、「働き方改革による生産性向上」を目的に据えれば、テレワークを戦略的に活用できます。
導入範囲としては、テレワークの形態、対象となる業務内容・職種、頻度等を決めていきます。反対に、導入困難な業務をリストアップし、何かしらの工夫でテレワークが導入できないか精査してみることも必要です。
同時に、テレワーク導入を前提としたとき、現状、どのような解決すべき課題があるのかを抽出しましょう。課題としては、ICT環境の整備、労働組合の見解(組合がない場合は従業員の考え方)、新しいルール・制度の策定、現状のルール・制度の改定等が挙げられることが多いです。
ほかに、業務で使用する紙文書をどのように処理してデジタル化するか、通信費や自宅の作業環境構築に必要な費用を誰がどのように負担するのかといった点も検討していきます。
2. テレワークのルール整備
テレワークにおけるルール整備も、テレワーク導入には必要です。ルール整備では、労務管理に関する見直しが必要となります。労働時間の適正な把握のほか、休憩時間や時間外・休日労働の扱いと管理、勤務評価の方法、過重労働対策やメンタルヘルス対策等について詳細を決めていきます。
さらに、テレワークの申請・承認の方法、出退勤管理、テレワーク勤務時の賃金・費用負担・情報通信機の貸与等についてもルールを決め、就業規則等に明記します。
3. ITツールの選定とセキュリティ対策
テレワークの導入には、ITツールの選定とセキュリティ対策も必要となります。ウェブ会議ツール、チャットツール、勤怠管理ツール、スケジュール管理ツール等を必要に応じて選定しましょう。
また、セキュリティ対策も必須です。情報や端末の取扱についてのセキュリティルールやマニュアルを策定して従業員に周知し、VPN(仮想的に設定した専用ネットワーク)や、VDI(仮想デスクトップ)等の導入も検討してください。
4. 試験的導入
一通りの環境準備が終わったら、テレワークに移行しやすいと思われる部門の従業員を対象に、試験的に導入をしてみましょう。在宅でスムーズに仕事ができるのか、どのような問題が起きるのかを実際に試すためのテストです。
5. 効果測定
試験的導入によって業務にどのような変化があったのか、テレワーク導入による効果を測定・評価します。通常のオフィス勤務の場合と比べて、事務であれば伝票等の処理件数、営業であれば顧客対応回数や時間を測定すると、定量的なデータが得られます。就業時間や残業時間も把握して記録しましょう。
同時に、コミュニケーションの質や内容、モチベーション、仕事のやりやすさ等がどのように変化したか、アンケートやヒアリングで定性的な効果測定も行います。問題があった場合は、改善策を検討してください。
6. 本格導入
大きな問題点がない、または問題点を解消・改善することができたら、本格導入に移ります。その後も問題があればフィードバックして、随時改善を図っていきましょう。
テレワークの導入事例
最後に、テレワークの導入に成功した企業の事例を3つご紹介します。テレワークにより、それぞれの企業がどのように課題を解決したのか、くわしく見ていきましょう。
事例1:全従業員を原則在宅勤務に(コンピューターメーカー)
この企業では、20年以上前からテレワークに取り組んでおり、正社員に関してはすでにテレワークを実施できる環境が用意されていました。そして、コロナ禍と緊急事態宣言の発令を受けて、契約社員等を含む全従業員を対象に原則在宅勤務とするよう決定。契約社員、派遣社員、協力会社社員等については作業場所指定の契約変更、必要機材の準備等を進め、約2ヵ月かけて準備を進めて在宅勤務へと移行しました。
その結果、全国の50事業所において、2020年から1年間の平均で出勤者数を79.2%削減。2021年4月以降も約8割の削減を実現して継続しています。
事例2:いつでもどこでもテレワークを可能に(食品メーカー)
2008年から働き方改革に着手し、コアタイムなしのスーパーフレックス勤務制度や在宅勤務制度の導入を推し進めてきた企業。2016年からは働き方改革を重要な経営戦略と位置づけ、柔軟な働き方と多様なライフスタイルの支援を実現するさまざまな取組を行っています。
テレワークは、2014年から制度化して運用。中でも、セキュリティが確保されて従業員が集中して就業できる場所であれば、自宅でもサテライトオフィスでも勤務できるという制度をスタートさせ、話題になりました。テレワークの実施場所、利用回数の上限を大幅に緩和し、柔軟な働き方が可能な環境を作り出しています。
事例3:ハイブリッド勤務にマッチした独自の勤怠管理(教育・生活事業)
この企業では、オフィスへの出社とリモートワークを組み合わせた勤務スタイルである「ハイブリッド勤務」を、withコロナ時代の働き方として捉えました。また、独自開発した勤怠共有ツールを導入し、併せて通勤手当を改定する等の取組も進めています。
ハイブリッド勤務は、2020年に全社平均で出社が5割以下となる形でスタート。元々、柔軟な働き方を推進してきたこともありましたが、コロナ禍によって在宅勤務で働く従業員が増えると、働く場所が一気に分散化。子どものいる環境下の在宅勤務でやむをえない中断も頻繁に発生する等、勤務状況が複雑化していきました。
そこで、日々の業務管理、勤怠情報入力、通勤費の精算というニーズと、オフィスでの3密対策としての出社予定管理というニーズを統合して、すべてを一元管理できる勤怠共有ツールを導入。この試みにより、ハイブリッド勤務のスムーズな管理を実現しています。
テレワークを企業が戦力的に活用するには「DXの推進」が必要不可欠
今後、テレワークが完全に定着していくかどうかは未知数です。しかし、コロナ禍による「テレワーク体験」が企業に新しいノウハウをもたらし、従業員の意識を変えたことは間違いありません。
テレワークをより戦略的に活用するには、デジタル技術による業務やビジネス、企業の変革を意味する「DXの推進」が不可欠であることも、広く認識されつつあります。一方で、DX推進の上で必要となるデジタルサービスは多岐にわたり、自社の課題解決に適したものを判断するのが難しいことも事実です。
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