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公開日:2023.08.08

アクセラレータープログラムとは?取組内容やメリットなどを解説

アクセラレータープログラムとは?取組内容やメリットなどを解説

日本の国際競争力の低下に歯止めをかけ、新たな成長分野を創出して経済を活性化させる鍵は、スタートアップにあると言われています。スタートアップと協業することで、大企業もイノベーションを起こすことができる可能性が高まるでしょう。
しかし、様々なスタートアップ振興策が実施されているにも関わらず、日本ではスタートアップが育ちにくいのが現状です。

そこで、経済成長のドライバーとなるスタートアップを生み出すための施策として登場したのが「アクセラレータープログラム」です。SMBCグループも、2015年からアクセラレータープログラムを実施し、2021年8月にはその取組を拡充し、「未来X(mirai cross)」を開設しました。
本記事では、アクセラレータープログラムの取り組み内容や基本的な流れ、メリット・デメリットを詳しく解説します。未来X(mirai cross)の目的や参画するメリットなども併せて紹介します。

アクセラレータープログラムが、スタートアップと大企業、自治体のイノベーション創出を推進

スタートアップや起業家に伴走し、事業成長を助けるパートナーを「アクセラレーター」と呼びます。
アクセラレータープログラムは、大企業や自治体がスタートアップや起業家のアクセラレーターとなり、可能性のある事業の短期集中的なスケールを目指します。

プログラムを主催する大企業や自治体は、自社のリソースを様々な形で投入して、スタートアップの事業成長を支援します。
アクセラレータープログラムは、リソースが不足しがちなスタートアップにとって大きなチャンスであるだけでなく、大企業や自治体がイノベーションを生み出す大きなきっかけにもなるのです。

アクセラレーターの概要とは

ここからはアクセラレーターの支援対象や、目的、支援期間や一般的な流れ、メリットやデメリット等についてご紹介します。

アクセラレーターの支援対象

スタートアップの成長ステージは、一般的に「シード」「アーリー」「ミドル」「レイター」の4つに分かれ、投資家やスタートアップキャピタルの投資の目安となっています。

<スタートアップの成長ステージ>

  • ・シード:事業アイディアがあり、起業準備を進めている段階
  • ・アーリー:起業したが、まだマネタイズはしていない
  • ・ミドル:事業がマネタイズしはじめ、今後の成長が確実になりつつある
  • ・レイター:事業が軌道に乗り、拡大路線に転じる段階

アクセラレーターの支援対象は、起業をしてサービスの準備を進めているシード以降のスタートアップです。一方、インキュベーターは、シード未満の段階のスタートアップを支援します。

アクセラレーターの支援目的

アクセラレーターは、スタートアップがすでにまいたビジネスの種が、より早く成長するよう支援します。一方、インキュベーターの支援対象は起業前であることも多いため、ビジネスの種の検討や創出から支援します。

アクセラレーターの支援期間

アクセラレーターは短期集中型のため、伴走するのは数週間から数ヵ月です。一方、インキュベーターは期間を設けず、比較的長くスタートアップに寄り添います。

アクセラレータープログラムの代表的なタイプ

アクセラレータープログラムの運用方法は、大きく4つに分類できます。代表的なタイプがどのようなものなのか見ていきましょう。

アクセラレータープログラムの代表的なタイプ

コーポレート型

コーポレート型は、自社実験型とも呼ばれるタイプです。主催者が公募から支援、運営まで一貫して担うのが特徴です。

コンソーシアム型

コンソーシアム型は、大企業などの事業会社だけでなく、地方自治体や金融機関なども集うタイプです。その際、参画した企業は複数の主催者となって運営することが多いです。

ビジネスマッチング型

ビジネスマッチング型は、アクセラレータープログラムのプロフェッショナルが運営者となり、事業会社とスタートアップをマッチングするタイプです。事業会社とスタートアップは、蓄積された経験と知見に基づいたプロフェッショナルからのアドバイスが受けられ、意外性のあるビジネスにつながる可能性があります。

伴走型

伴走型とは、スタートアップの事業成長支援経験が豊富なアクセラレーターが、企業に入り込む形で継続的に事業成長を支援するタイプです。

アクセラレータープログラムの基本的な流れ

アクセラレータープログラムは、実際にどのようにして推進されていくのでしょうか。ここからは、アクセラレータープログラムの一般的な流れを解説します。

アクセラレータープログラムの基本的な流れ

1. 事業会社がスタートアップを募集

まず、主催者となる事業会社がアクセラレータープログラムのテーマを決め、プログラム概要を公開してスタートアップへの募集をかけます。人気のあるプログラムには応募が集中するため、スタートアップは自社の強みや協業アイディアなどを言語化できるようにしておくことが重要です。

2. スタートアップ申込

スタートアップは募集概要をよく読み、条件を満たしていれば、アクセラレータープログラムに応募します。

3. 審査

書類審査などを通じて、応募企業の情報やビジネスプランが審査されます。審査内容はプログラムにより様々です。

4. メンタリング等のプログラム

プログラムへの参加が決まったら、主催者のメンターがビジネスの拡大に向けたアドバイスを行います。メンターには、スタートアップ経験者や事業責任者、各領域の専門家などがいます。
スタートアップは、自社に合ったサポートを受けられるよう、受けたいサポートの内容などを明確にしておくことが大切です。プログラムに参加している間であれば、希望するメンターやネットワークを紹介してくれることもあります。

5. 事業共創

主催者とスタートアップの双方が希望した場合、事業共創に向けて新たなプロジェクトを立ち上げます。

6. デモデイ

支援期間が終了したら、社内外に向けてプログラムの成果や事業共創アイディアをプレゼンテーションする「デモデイ」を行います。デモデイはメディアや起業家などを招いて行われることが多く、リソース調達やPRの機会にすることもできます。

アクセラレータープログラムのメリット・デメリット

アクセラレータープログラムは、参加するスタートアップにとっても、主催者である事業会社にとっても貴重な機会です。ここでは、アクセラレータープログラムのメリット・デメリットを見ていきましょう。

アクセラレータープログラムのメリット

事業会社側のメリットは、型にはまらないスタートアップのアイディアによって自社にイノベーションを起こす可能性があることです。他社との共創によって自社のしがらみや固定観念を超えることで、自社の潜在能力を活かす新たな可能性が見つかるかもしれません。

スタートアップ側のメリットは、「アイディアはあってもノウハウがない」「早期にマネタイズしたいが資金が足りない」といったスタートアップならではの問題を解決できることです。大企業がこれまで積み上げてきた知見とノウハウを活用し、必要なリソースの提供を受けることで、アイディアの実現に近づけることができます。
また、デモデイをきっかけに自社を知ってもらい、協業のチャンスが増えるなどの副次的効果も期待できます。
プログラムへの参加が早期の資金調達につながれば、想定していたよりも早く事業を動かすこともできるでしょう。

アクセラレータープログラムのデメリット

事業会社とスタートアップの双方にメリットが多く可能性に満ちたアクセラレータープログラムですが、トラブルになるリスクもはらんでいる点は注意が必要です。
最も多いのは、アクセラレータープログラムを進行している間に事業戦略の変更や、組織のリソース不足などで、事業会社が目指す方向性とスタートアップ側の方向性が分かれてしまうケースです。すでに一定の投資を受けていると、関係の解消などに際してトラブルになることもあります。

SMBCグループが取り組む、成長企業エコシステムプラットフォーム「未来X(mirai cross)」 

SMBCグループは、2015年度からアクセラレータープログラムを実施しており、多くの企業にご参画いただいてきました。2021年、このプログラムを大幅リニューアルし、成長企業・事業会社・スタートアップキャピタル・公的機関など、多様なプレイヤーが参画する成長企業エコシステムプラットフォームとして始動したのが「未来X(mirai cross)」です。

未来X(mirai cross)には、多くの事業会社がパートナーとして参画しています。また、オープンイノベーション事業等のノウハウが豊富な企業や、起業支援と転職支援を軸に成長産業を支援する企業も提携先として名を連ねます。

スタートアップの成長をサポートするアクセラレータープログラムが、日本の未来を作る

アクセラレータープログラムは、スタートアップが持つ技術力やアイディアと、事業会社が長い歴史とダイナミックなビジネスの中で蓄積してきたノウハウとのシナジーによって、日本経済を動かすような新しいビジネスを生み出せる可能性があります。
SMBCグループが提供する未来X(mirai cross)のアクセラレータープログラムでは、書類審査に通過した企業・チームは、無料で未来X(mirai cross)のメンター・アドバイザーの支援を受けることができます。
加えて、デモデイでは毎年1,000人を超える視聴者が集まり、著名なキャピタリストやアカデミア、事業会社の協業部署など、大きなPRの場となります。

自社のアイディアやビジョンの実現に向けて熱き想いのあるスタートアップの皆さまは、2023年6月28日に一般募集を開始した「アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024」へのエントリーをぜひご検討ください。

未来X(mirai cross)の年間スケジュール

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