企画

公開日:2022.06.29

アジャイル開発とは?開発手法やメリット・デメリットを紹介

アジャイル開発とは?開発手法やメリット・デメリットを紹介

上流工程から下流工程に向かってプロジェクトが進行する従来型の開発手法と並んで、近年主流になりつつあるのが「アジャイル開発」です。
アジャイル開発は開発期間が短く、修正や変更に柔軟に対応できる手法として広く普及しました。従来の手法と比較してどのようなメリット・デメリットがあるのか、具体的な開発手法を含めてご紹介します。

アジャイル開発は、ビジネスの急速な変化に対応しやすいスピーディーな開発手法

アジャイル開発は、ソフトウェアやシステムの開発手法のひとつです。アジャイル(Agile)には「素早い」「俊敏な」といった意味があり、何を作るかの全体像を決め、全体を設計してから開発するという従来の開発手法であるウォーターフォール開発に比べてビジネスの急速な変化に対応しやすいスピーディーな手法であることからこの名称がつきました。

アジャイル開発と従来の手法の違い

アジャイル開発は、従来の開発手法とどのような点が異なるのでしょうか。ここでは、従来の代表的な開発手法であるウォーターフォール開発の概要と、アジャイル開発の特徴についてご説明します。

アジャイル開発と従来の手法の違い

ウォーターフォール開発:最初に決定した計画から逸脱しにくい

ウォーターフォール開発は、長く開発の主流だった手法です。開発するソフトウェアやシステムの要件をすべて収集し、全体の機能設計と計画を決定した上で、計画に沿って上流工程から分析・設計・実装・テストへと進んでいくのが基本的な流れです。
ソフトウェアのみならず、機械や造船といった業界でも広く活用されていますが、最初に決定した計画から逸脱しにくく、後戻りすることが困難です。

アジャイル開発:柔軟に修正や変更に対応することができる

アジャイル開発は、ウォーターフォール開発のように全体の機能設計をせず、優先順位が高い機能から小単位で実装とテストを繰り返し、短期間で一部を完成させます。完成した機能は顧客やユーザーにリリースし、フィードバックを受けて必要な改善をするプロセスを繰り返して、1つのソフトウェアを完成させる点に特徴があります。
ウォーターフォール開発と違って、開発中の仕様変更を想定しているため、柔軟に修正や変更に対応することができます。

アジャイル開発の手法

アジャイル開発には、複数の手法が存在します。ここでは、アジャイル開発の代表的な手法として、「スクラム」「エクストリーム・プログラミング」「ユーザー機能駆動開発」の3つを紹介します。

スクラム

スクラムは、アジャイル開発の中でも、最も広く普及したフレームワークです。スクラムと聞いて、ラグビー選手ががっちりと隊列を組む様子を思い浮かべる人は多いでしょう。アジャイル開発におけるスクラムはこれにちなんで命名されたもので、チームを組んで役割やタスクを割り振り、協力しながら開発を進めていく手法です。メンバー自身が開発計画の立案から設計、テストまで実行します。
多様な作業を同時並行的に進められるのがスクラムのメリットですが、ひとたびコミュニケーション不全に陥ると開発が進まなくなるため、常に十分な相互理解のもとで業務に取り組むことが大切だといえます。

エクストリーム・プログラミング(XP)

エクストリーム・プログラミング(Extreme Programming)は、臨機応変な対応を重視する手法です。プロジェクトが途中で変更されることを前提に、プロジェクト全体を細かな要素に分け、ひとつずつの要素の開発サイクルを短くすることで開発を進めます。
エクストリーム・プログラミングは柔軟性に優れており、スピード感と変化に対応することを重視した開発手法です。また、素早いリリースを必要とする小規模な開発であるため、10人程度の少人数でのチームを組む場合に最適な手法といわれています。

ユーザー機能駆動開発(FDD)

ユーザー機能駆動開発(Feature Driven Development)は、大規模なプロジェクトに適した手法です。ユーザー側のビジネスモデルを理解した上で開発を進める点に特徴があり、ユーザーにとっての機能価値(Feature)を重視しています。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発には、冒頭でふれたスピード感や柔軟性を筆頭に、複数のメリットがあります。続いては、アジャイル開発の2つのメリットについて、くわしく説明します。

アジャイル開発のメリット

開発スピードが速い

アジャイル開発では、各機能を切り分けて開発し、優先度の高い機能からテストを完了させてその都度リリースします。その際、開発チームが開発にかける時間を短縮できる点は、アジャイル開発の最大のメリットです。当初の設計を重視するウォーターフォール開発に比べて、トラブルが発生した場合の影響が少なく、迅速に対応できる点もスピード感の向上につながっています。DXの推進においても、機能単位で迅速に開発できるアジャイル開発は非常に効果的です。

ユーザーの満足度が高まる

アジャイル開発では、リリースのたびにユーザーの要望をヒアリングし、改善箇所として反映します。ユーザーと密にコミュニケーションをとりながらニーズに応えていくので、満足度を高めることができるでしょう。

アジャイル開発のデメリット

従来の開発の課題を解決する多くのメリットで注目されるアジャイル開発ですが、デメリットがないわけではありません。アジャイル開発のデメリットについても紹介しておきましょう。

全体のスケジュールを管理しにくい

小単位で開発する点に特徴と強みがあるアジャイル開発ですが、プロジェクト全体のスケジュールが見えにくいのが課題です。開発期間が長いと、機能ごとの進捗状況に差が生まれ、さらに全体像を把握しにくくなるでしょう。
また、顧客とのコミュニケーションを重視する開発手法のため、難しい要望が来て開発がストップしてしまったり、正しい要望が把握できないまま開発を進めて無駄な修正が繰り返されたりと、顧客との関係性がスケジュールに影響する場合もあります。
納期に間に合うよう、プロジェクトマネージャーがしっかりとコントロールすることが重要です。

開発の方向性がぶれやすい

機能単位で要件の追加や修正を繰り返していくアジャイル開発は、開発を進めるうちに想定外の要望や機能変更が入り、都度対応していくうちに当初の方向性から大きくぶれる可能性があります。方向性を安定させるためには、やはりプロジェクトマネージャーが常に全体を管轄する必要があるでしょう。
開発の進捗状況や方向性をリアルタイムで把握し、マネジメントに役立つプロジェクト管理ツールの導入も有効です。

プロジェクトに合った開発手法を見極めよう

アジャイル開発のメリット・デメリット、開発手法について解説しました。アジャイル開発は、仕様変更に対応しやすく柔軟性に優れ、開発をよりスピーディーに進められる点にメリットがあります。一方、スケジュールのコントロールが困難といったデメリットもあり、すべての開発プロジェクトに適しているわけではありません。
従来の開発手法であるウォーターフォール開発を含め、プロジェクトごとに最適な手法を見極めて、開発を進めるようにしましょう。

また、迅速性と柔軟性を兼ね備えたアジャイル開発は、試行錯誤を繰り返しながら進めていく必要があるDXの推進にも有効です。
SMBCグループが提供する「PlariTown」は、アジャイル開発に注力するための環境整備や社外からDX人材を採用できるサービスなど、DX推進に資する多様なデジタルサービスをワンストップで利用できるプラットフォームです。ユーザーに合った業界ニュースやレポート、他社のDX推進事例などさまざまな情報も提供しています。
アジャイル開発の導入を検討されている方は、ぜひ「PlariTown」をご利用ください。

PlariTown プラリタウン

合わせて読みたい記事