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公開日:2022.07.26

BCP(事業継続計画)とは?重要性や目的、体制の構築方法を紹介

BCP(事業継続計画)とは?重要性や目的、体制の構築方法を紹介

想定をはるかに上回る大規模な災害、感染症の流行による出社制限など、予想外の事態が相次ぐ中、企業にはより高度で組織的なBCP(事業継続計画)の策定が求められています。
ここでは、BCPの重要性や目的のほか、体制を構築する際の具体的な進め方などについて解説します。

BCPとは事業継続計画のこと

BCPはBusiness Continuity Planの頭文字を取った略語で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。地震、集中豪雨、洪水、噴火などの自然災害や、テロ攻撃やサイバー攻撃など人為的な事件、感染症の蔓延、事故・火災などの緊急事態が起きた際に、事業に与える損害を最小限に抑えつつ、早期に復旧できるように対策をまとめたものです。日本では、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけとして、その重要性がさらに注目されるようになりました。

BCPの目的

BCPが目指すのは、未曽有の事態に直面した際にも、「事業を継続させること」「万が一事業が停止しても、早急に復帰できる状態を作ること」です。

緊急事態に直面した際、適切な手を早急に打つことができなければ、事業の縮小や廃業を選択せざるをえない可能性があります。当然、そうなると従業員の雇用を守ることもできません。
しかし、平時から念入りにBCPを準備しておき、事業と従業員を守ることができれば、顧客の信用は維持され、株主や市場からも高評価を得ることができるでしょう。結果的には、BCPは企業価値の維持・向上にもつながるのです。

BCP策定の進め方

ここからは、具体的なBCP策定の進め方についてご紹介します。5つのステップに分けて紹介していきますので、BCP策定の際の参考にしてください。

BCP策定の進め方

1. BCP策定の目的を定める

始めに、BCPを策定する目的を定めます。自社の経営理念やビジョンに照らして考えると、目的が言語化しやすくなるでしょう。
「従業員の命と雇用を守るため」「顧客に対する責任を果たし、信頼を維持するため」など、軸となる方向性を明らかにすることで、全社で一丸となって行動することができます。

2. 最優先すべき中核事業を洗い出す

有事の際、事業を継続するにあたって最も重視すべき事業が中核事業です。すべての事業を守ることが叶わない場合には、中核事業から優先して守りましょう。
なお、中核事業とは、下記のような条件に該当するものになります。

<中核事業の条件>

  • ・社内で最も売上を上げている事業
  • ・作業や納期の遅延による損害が甚大になると予想される事業
  • ・社外の信頼を維持する上で欠かせない事業

3. リスクを洗い出し、優先順位をつける

リスクには、自然災害もあれば、システム障害などのITトラブルや人災もあります。
漠然と「リスクに備える」と掲げるだけでは、具体的な行動につながりません。現時点で想定されるあらゆるリスクを洗い出し、それぞれのリスクが事業に及ぼす影響を推測しましょう。しかし、
洗い出したリスクすべてにBCPを策定すると、煩雑になりすぎる可能性があります。「発生頻度」と、リスクが起きたときの「影響の大きさ」を基準として優先順位をつけ、優先度の高いものからBCPを策定しましょう。

4. BCPの内容を具体的に策定し、社内で共有する。

リスクの優先順位を決めたら、BCPの内容を具体的に策定し、発動時の指揮命令者および要員、具体的な行動も決定します。緊急時はパニックになる可能性も高いので、スムーズに行動に移せるよう、あらかじめチームを組んだ上で細部まで行動内容を策定しておくことが重要です。
BCPを策定したら、社内で共有して誰でも確認できる状態にします。チームに加入していない従業員もBCPの内容を理解しておくことで、有事の際にしかるべき行動をとることができるようになります。
必要に応じて、BCPに関する教育や訓練を実施するのも有効です。

5. 随時、内容を更新する

BCPは、一度作ったら更新をしなくてよいものではありません。「BCP発動時の指揮命令者が退職した」「考えうるリスクの優先順位が変わった」「ガイドラインが改訂された」といったタイミングで、必ず見直しを図りましょう。

なお、BCP策定にあたっては、中小企業庁の「BCP策定運用指針」、内閣府の「事業継続ガイドライン」などを参考にするとスムーズです。中小企業庁の「BCP策定運用指針」では社内の情報共有資料をサイト上で簡単に作れるため、活用してみてはいかがでしょうか。

実際に災害が発生した際の対応方法

BCP策定後、実際に災害が発生した際には、下記のような流れで対応を進めましょう。具体的な対応方法を、3つのステップに分けてご紹介します。

実際に災害が発生した際の対応方法

1. 被害状況を確認する

災害時の初動では、被害状況の把握が重要です。「従業員の安否」「社屋や工場、機器などへの損害」「システムなどへの損害」の3つは、必ず確認しましょう。
従業員の安否については、安否確認を自動で行えるシステムを導入しておくとスムーズです。他の従業員の安否確認ができる状況にある従業員がシステムを活用すれば、円滑に全体の状況を把握することができます。

2. 緊急時の代替手段を確認する

災害の規模が大きく、必要な人員や設備を確保できない場合、代替手段で事業を継続します。外部からでも社内情報に安全にアクセスできる環境の確立や、リモートワーク体制の構築もしておく必要があります。

3. 復旧作業を行う

ハードとソフトの被害状況に応じて、平時の状態に戻す復旧作業を順次行っていきます。リモートでアクセスできるデータセンターやサーバーを用意しておくと、通信インフラ整備に工数を取られるリスクが減り、スムーズに復旧作業を進めることができるでしょう。

BCP策定の注意点とは?

BCPの内容は綿密に決めていくことが重要ですが、最初から完璧な計画を作るのは困難です。起こりうるすべてのリスクに対して万全の対策をしようとしてBCP策定に遅れを取るよりは、優先順位の高いものから順次BCPを策定していくことが大切です。

なお、BCP策定の際には、社員間で確実に連絡がつく情報手段の確保を忘れずに行いましょう。普段、電話でコミュニケーションをとっている場合は、固定電話が使用できなくなる場合を想定し、クラウド経由で代表番号や内線が使えるようにしておくといった対策も有効です。
また、BCPの内容が常に効果的な対策となるよう、定期的に内容を見直して改善に取り組みましょう。

BCP策定に際し、DX推進にも取り組もう

BCP対策として、突発的な危機に対応するための社内体制構築が必要不可欠です。
新型コロナウイルス感染症発生時に、感染リスク軽減やビジネス機会の減少抑制などを目的とし、Web会議やテレワークを円滑に導入できた企業とそうでない企業とで分かれました。文書や情報のデータ化、基本的なDX化に取り組めていれば、無理なくWeb会議やテレワークに移行できたと考えられます。まずは社内業務のデジタル化から検討することが、BCP対策にもつながるでしょう。

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