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公開日:2022.06.29

OEMとは?ODMとの違いやメリット・デメリット、事例を紹介

OEMとは?ODMとの違いやメリット・デメリット、事例を紹介

従来、日本のものづくりは、企画から製造、販売まで一気通貫で行うスタイルが一般的でした。しかし、大量生産・大量消費時代が変化し、在庫の極小化やコスト削減が求められる中、生産形態は大きく変化しています。
ここでは、生産効率を高める「OEM」という仕組みについて、混同しやすい「ODM」との違いとともに解説します。

委託を受けて他社ブランドの製品を製造するOEM

OEMは、Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略語で、委託を受けて他社ブランドの製品を製造すること、あるいは委託を受けた企業そのものを指す言葉です。

これまで、日本のものづくり企業では、自社の工場を持ち、企画から製造、販売まですべてのプロセスを自社で担うのが一般的でした。しかし、製品のパーソナライズ化が進む中、従来の大量生産・大量消費の生産スタイルでは価格競争から抜け出せず、利幅の拡大を見込むのは難しいといえます。
また、こうした生産形態は工場の維持費用や人件費といったコストが大きく、売上の状況次第で経営に大きなダメージを与える可能性もあります。

そこで、台頭してきたのがOEMです。OEMであれば、自社の工場や人員を増強するのではなく、製造部分のみを外注することで、コストを抑えて生産を拡充することができます。自社工場を持つリスクを抑えつつ、景気変動や市場ニーズに合わせて商品の生産をコントロールしたい企業の意向を反映し、OEMは一気に普及しました。

元々OEMは、パソコンの製造からスタートしましたが、現在では食品、化粧品、自動車、アパレルなど、さまざまな業界に広がっています。

OEMの種類

OEMは、委託の仕方によって大きく2つに分けられます。製品の製造を主導するのが、生産者(受託者)かブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業(委託者)に注目するとわかりやすいでしょう。

生産者が製造を主導し、ブランドを持つ企業のブランド名で製造するOEM

商品を製造するための企画力や、工場・マンパワーといったハード面の余力は十分にあるものの、ブランド力がなく自社製品として売り出すのが難しい生産者がいたとします。この生産者が、完成した商品や商品の企画をブランドを持つ企業に持ち込み、企業のブランド名で売り出すことを提案するOEMがあります。

ブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業が製造を主導し、生産者に製造を依頼するOEM

ブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業が製品のコンセプトや仕様を決め、生産者に製造を依頼するOEMもあります。自社よりも技術レベルが低い生産者に依頼した場合は、技術指導を行うこともあります。
また、自社よりレベルの高い技術力を有する生産者に依頼した場合は、生産者のノウハウを活かしながら製造を進めることもあります。

ODMとの違い

OEMとよく似た言葉に、「ODM(Original Design Manufacturing)」があります。
ODMは、商品の企画だけをブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業(委託者)が担い、設計から製造までまとめて生産者に任せる手法です。生産者は企画に沿って商品を設計・製造した上で委託者に納品し、納品を受けた委託者は自社のブランド名で商品を販売します。

OEMとの大きな違いは、OEMが商品の製造工程の一部を生産者が担うのに対し、ODMは設計から製造までの全プロセスを生産者が担う点です。ODMであれば、設計から製造までの全プロセスを生産者に任せることが可能なため、優れたアイディアがありながら製造ノウハウやマンパワーが足りないスタートアップ企業でも、優れた商品を世に送り出すことができます。
このことから、ODMはOEMの進化版のような立ち位置にあることがわかるでしょう。

ブランドを持つ企業がOEMを導入するメリット

OEMで商品を製造することには、ブランドを持つ企業側にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、OEMの3つのメリットについて、詳しく説明していきます。

ブランドを持つ企業がOEMを導入するメリット

コストをかけずに自社ブランドの商品を作ることができる

自社ブランドの商品を作るために生産設備を整え、マンパワーを充足させるには、かなりのコストがかかります。万一、生産した商品の販売数が伸びなければ、経営に深刻な影響を与えかねません。
しかし、OEMなら、生産者に製造工程だけをアウトソーシングし、ハード面のコストを削減するとともに、リスクを最少に抑えることができます。

在庫リスクを減らすことができる

在庫を多く抱えた状態は、ブランドを持つ企業の収益を悪化させる原因になります。自社製造の場合、常に在庫リスクがつきまといますが、OEMであればそのリスクを低減できます。多くの生産者は小ロットでも生産を受託しているため、パーソナライズした商品を少量ずつ、バリエーション豊富に作りたい場合にも適しています。

より重要度の高い業務に集中できる

OEMを委託したブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業は、本来製造にかかるはずの設備費や人件費を圧縮し、自社の貴重な経営資源を販売拡大のための投資に振り向けることができます。企画やマーケティングに注力することで、さらにブランドの価値を高めることも期待できるでしょう。

ブランドを持つ企業がOEMを導入するデメリット

メリットが多く、良いことばかりのように見えるOEMですが、ブランドを持つ企業側にデメリットがないわけではありません。OEMを導入する際は、下記のようなデメリットがあることを把握した上で検討することが大切です。

ブランドを持つ企業がOEMを導入するメリット

自社に製造ノウハウが蓄積されない

OEMに頼りすぎると、ブランドを持つ企業に製造ノウハウが蓄積されず、技術力が衰えていく可能性があります。自社の製造部隊が稼働する商品を持ち、OEMに依存しすぎないようにすることで、場合によっては生産者のノウハウを自社に取り込んで技術をブラッシュアップすることもできるでしょう。
OEMを行う際には、依存割合をコントロールすることが大切です。

生産による利益が減少する

OEMを導入する場合は製造工程をアウトソーシングするため、その際には生産者に支払うコストが発生します。そのため、自社生産するよりも利益は減少することになるでしょう。

OEMを委託した生産者が競合になる可能性がある

OEMで製造を委託するには、委託者であるブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業の企画や販売のノウハウを生産者に開示しなくてはなりません。生産者は、OEMを通じて、委託者の知見を着実に蓄積していくことができるのです。
すると、当初は製造に特化していた生産者が自社ブランドの企画・販売に乗り出し、委託者であるブランドを持つ企業やブランドを立ち上げたい企業の競合となる場合があります。他社との差別化要因となる特別なノウハウまで開示していた場合、委託者にとって大きな打撃となる可能性があるでしょう。製造を請け負っていた製品を一部改修し、自社製品として売り出すといったリスクも考えられます。

業界別のOEMの導入事例

実際に、どのような業界がOEMを導入しているのでしょうか。ここでは、3つの業界を例に挙げ、OEMの具体的な導入事例を見ていきましょう。

自動車業界の事例:他社に製造を委託したOEM車を販売

自動車メーカーの車種には、自社で開発・製造する車種と共同開発する車種に加えて、他社に製造を委託したOEM車があります。OEM車は、A社が開発・製造した車のボディや部品をB社が仕入れ、フロントグリルやバンパーなどのデザインを変えて、自社ブランドの車として販売するものです。

車種のラインナップを増やしやすい点は、OEM車のメリットのひとつだといえます。同じ型の車体であっても、細部に自社ならではのこだわりを反映することで、コンシューマーの期待を裏切らない車種を生み出すことができます。

アパレル業界の事例:OEMを導入することで、企画から納品までをパターン化

近年、アパレル業界ではOEM製造が一般化しており、OEMメーカーとして集中的にOEMを請け負う企業も増えています。アパレル業界でOEMが台頭してきた理由は、大きく2つあります。

  • ・トレンドの移り変わりが激しいこと
    トレンドがめまぐるしく移り変わるアパレル業界において、在庫を抱えることは大きなリスクです。小ロットの生産にも対応できるOEMを活用することによって、在庫を極小化することができます。
  • ・リードタイムを短縮でき、コストダウンが実現すること
    アパレル商品のリードタイムは、デザインや原料によって大きく異なります。OEMを導入し、企画から製造、納品までをパターン化すれば、リードタイムを短縮しながら商品ジャンルを増やすことができるでしょう。ひいては、コストダウンにも期待できます。

食品業界の事例:これまで培ったノウハウを用いて、健康食品や化粧品などに転用

食品業界のOEMでは、老舗企業が新たなビジネスの方向性に気づき、食品で培ったノウハウをもとにまったく異なる領域にチャレンジするケースが散見されます。
これまで、長く伝統調味料に使われていた成分に注目が集まり、健康食品や化粧品などに転用されるケースはその代表例です。

OEMを始めるなら、ビズクリエイトで最適なOEM企業を探そう

各業界における導入事例からもわかるように、単なるコスト削減や在庫リスク低減だけでなく、新たな領域へのアプローチが可能になるのもOEMのメリットです。

新たにOEM導入を検討する場合、まずは自社のコンセプトを理解した生産を行ってくれる企業を見つけることが大切です。
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