企画

公開日:2022.07.26

更新日:2023.11.14

SDGsとは?DXとの関係性やGX、企業の取組事例を紹介

SDGsとは?DXとの関係性やGX、企業の取組事例を紹介

私たちの日常の活動によって、地球環境の持続可能性が危ぶまれる事態が起きています。近年よく聞く「SDGs」は、地球をこれ以上傷つけることなく私たちが生きるにはどうするべきか、具体的な目標を立てたものです。
ここでは、企業がSDGsに取り組む上でカギとなるDX(デジタルトランスフォーメーション)とSDGsの関係性や、SDGsの具体的な取組事例などについてご紹介します。また、気候変動対応や環境問題を先進技術の力で解決する取組であるGX(グリーントランスフォーメーション)についても解説します。

SDGsとは持続可能な開発目標のこと

SDGs(Sustainable Development Goals:エス・ディ・ジーズ)とは、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ぶ、国際社会共通の目標です。2030年までにより良い世界の実現を目指す国際的な目標となっています。
より良い世界とは、貧困や気候変動、紛争といった、安心・安全な暮らしの継続を阻むさまざまな問題が世界中で解決され、美しく豊かな地球と人間が共存できる世界のことです。

2001年、これまでの主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標と、2000年の国際ミレニアム宣言を統合したミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)がまとめられました。
SDGsはこの後継として、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されたものです。MDGsは、途上国の開発に関する課題が中心で、先進国はそれを援助する側という位置付けであったのに対し、SDGsは、途上国・先進国ともに共通の課題として、開発側面だけでなく経済・社会・環境の3側面すべてに設定されています。 さらに、SDGsでは、企業の創造性とイノベーションによる課題解決に期待が寄せられており、企業の役割が重要視されています。その結果、企業に対するSDGsの意識が高まり、利益よりも「ESG(環境・社会・企業統治)」の考え方を重要視するESG投資も多く見られるようになりました。

持続可能な開発のための2030アジェンダ

持続可能な開発のための2030アジェンダでは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを宣言し、2030年を期限とする17のゴールと169のターゲットを策定しました。それぞれどのような内容なのか、ご紹介しましょう。

SDGsの17のゴール

SDGsの17のゴールには、人権、経済、社会、地球環境といった多様な領域の課題が示されています。ここでは、すべてのゴールと、解決を目指す課題について見ていきます。

SDGsの17のゴール

169のターゲットと232の指標

前出の17の目標には、2030年までに目標を達成するための具体的な取組として169のターゲットが紐づいています。さらに、169のターゲットには、目標の達成度を測るKPI(最終的な目標達成に到るまでの達成度合いを計測・監視するための定量的な指標)として232の指標が設定されています。例えば、「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」には、全部で5つのターゲットと6の指標があるのです。
具体的にどのような内容なのか、「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲットと指標を例に見ていきましょう。なお、下記の「7.1」などの算用数字のターゲットは、各目標の具体的な課題の達成を示し、「7.a」などのアルファベットのターゲットは、課題の達成を実現するための手段や措置について示しています。

■ 「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲットと指標

ターゲット 指標
7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 7.1.1 電気を受電可能な人口比率
7.1.2 家屋の空気を汚さない燃料や技術に依存している人口比率
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.2.1 最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 7.3.1 エネルギー強度(GDP当たりの一次エネルギー)
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 7.a.1 クリーンなエネルギー研究および開発と、ハイブリッドシステムに含まれる再生可能エネルギー生成への支援に関する発展途上国に対する国際金融フロー
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。 7.b.1 発展途上国における再生可能エネルギー生産能力(1人当たりのワット数)

よりくわしく知りたい方は、総務省の「持続可能な開発目標(SDGs)」ページより「指標仮訳」をご参照ください。

日本におけるSDGsの取組

SDGsは、先進国であるか発展途上国であるかを問わないグローバルな取組で、日本も積極的に実践しています。

企業においては、日本経済団体連合会(経団連)の企業行動憲章が2017年に改定されたことで、取組が活発化しました。この企業行動憲章の改定は、革新技術の活用で暮らしや社会を最適化した未来社会「Society 5.0」の実現を通じてSDGsの達成に寄与することを柱としています。帝国データバンクの「SDGsに関する企業の意識調査」(※)によれば、SDGsに積極的な企業は2021年で約40%に上り、前年比で約15ポイント上昇しています。
また、内閣府の「令和3年度SDGsに関する全国アンケート調査結果」(1,788自治体(47都道県、1,718市町村、23特別区を対象)に実施、1,418自治体が回答)によると、SDGs達成に向けて取組を推進していると回答した自治体は932件(65.7%)に上りました。

こうした取組をバックアップしているのが、内閣府が具体的な施策を取りまとめた「SDGsアクションプラン」です。SDGsアクションプランは2030年に向けて毎年更新されており、現時点で取り組むべき課題が示されています。

(※)出典:株式会社帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2021年)」(2021年7月14日)

内閣府による「SDGsアクションプラン2022」の柱

最新の「SDGsアクションプラン2022」では、SDGs達成に向けて優先すべき課題として8つの項目が掲げられています。それらは、国連がSDGsを採択した文書「2030アジェンダ」の「5つのP」と関連付けて提示していることが大きな特徴です。下記に5つのPと、それらに関連付けた8つの課題をご紹介します。

内閣府による「SDGsアクションプラン2022」の柱

また、2022年のアクションプランでは、国内でSDGsの認知度が高まっていることを受け、次の一手として「国内実施・国際協力を加速化する」ことを明言しています。

企業のSDGs推進を支援するサービスが誕生

SDGsへの関心は国内外で高まっており、具体的な取組に着手する企業も増えつつあります。今後、SDGsの取組を始めたい、あるいは強化したいと検討されている方も多いのではないでしょうか。
SMBCでは、企業のSDGs推進をご支援するクラウドサービス「Sustana(サスタナ)」を提供しています。ここからは「Sustana」の特徴や、解決できる課題について詳しくご紹介します。

GXとは?

気候変動対応や環境問題を先進技術の力で解決する取組をGX(グリーントランスフォーメーション)といいます。政府主導で進められているGXへの主な取組は次の2点です。

<GXへの主な取り組み>

  • ・GX実行会議:GXの実現に必要な施策を検討する目的で設置された会議
  • ・GXリーグ:持続的な成長を志向する企業群が官・学と連携・協働し、対話・共創・実践の場を設ける

こうしたGXの取組は、DXとも密接に関わっています。経済産業省が公開した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においても、「グリーン成長戦略を支えるのは、強靱なデジタルインフラであり、グリーンとデジタルは、車の両輪である」(※)とまで明言されているのです。

(※)出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

「Sustana」の特徴

「Sustana」はGXの実現に向けた企業の取組を支援するクラウドサービスです。GXとDXを両輪で進めていきたい事業者さまに適したサービスといえます。

具体的な機能の一例を紹介すると、「Sustana」は、企業とサプライチェーン全体のCO2排出量の算定や、削減施策の立案・実行までの一連の工程を実現可能です。サプライチェーン全体のCO2排出量算定と削減に向けた活動を支援することにより、SDGsへの対応状況に関する外部開示を支援します。

SDGsの実現に向けた取組は、1社が単独で推進すればよいとは限りません。サプライチェーン全体のCO2排出量を考慮し、仕入先や流通経路も含めた包括的なCO2削減に取り組む必要があるからです。
電気・ガスをはじめ、CO2排出の要因となるエネルギー源は多岐にわたります。「Sustana」は、こうしたサプライチェーン全体のCO2排出量を可視化することでGXの推進を支援します。

CO2排出量算定をスムーズに見える化

「Sustana」によるCO2排出量算定は、最短5分で完了する簡単な設定のみで始めることができます。各種の企業活動データの集計は、直接入力のほかExcelやCSVファイルの取込や、AI-OCRなど複数の方法が選択可能です。企業活動をCO2排出量に変換する排出原単位データベース(製品の生産にかかる燃料の量や労力、時間の量など)は自動的に最適化されることから、排出量の算定・分析をスムーズに見える化できます。

また、「Sustana」上で年次・月次の削減目標を設定しておけば、達成状況の詳細なモニタリングも行えます。達成状況をいち早く確認できれば、CO2削減活動も迅速に推進できるでしょう。「Sustana」は複雑な計算やデータ処理が欠かせないCO2排出量算定を、効率良く見える化したい事業者さまに適したクラウドツールといえます。

サプライチェーンGHG排出量算定の重要性と課題

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、すでにさまざまな業界のトップランナーがサプライチェーン全体のGHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を掲げ始めています。その背景には、機関投資家の間での「責任投資原則」の浸透があります。
意思決定プロセスにESG課題を反映させるべきであるという責任投資原則のもと、環境負荷に配慮した活動への取組に消極的な企業への投資は、機関投資家から忌避される動きが見られるようになったのです。

今後は、GHG排出量の算定および削減に向けた取組が進んでいないことが、企業価値を低下させる直接的な要因となるかもしれません。「サプライチェーンGHG排出量算定」は、企業価値の維持・向上を実現していく上で無視できない課題のひとつといえます。

「Sustana」を利用することによるメリット

「Sustana」をご利用いただくと、具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか。「Sustana」が提供するサービスの特徴と、具体的な活用メリットについて解説します。

「Sustana」を使えば、誰でもグローバル基準にならった排出量算定ができる

「Sustana」の大きなメリットとして、まずはその簡易性が挙げられます。本来、CO2排出量を算定するには排出量の計算方法や、計算に必要な排出原単位への理解が求められます。

しかし、「Sustana」には排出量の計算式や排出原単位がすでに取り込まれているため、専門知識を持たないご担当者さまも、排出量算定に取り掛かることが可能です。国際標準規格であるGHGプロトコルに準拠したCO2排出量の算定が誰にでも可能となる点は、「Sustana」を活用する大きなメリットのひとつです。

業務効率化につながる

CO2排出量算定に必要なデータを取り込む際には、紙媒体の請求書・検針票から、社内の別システムに記録されている活動データ、排出量データまで、さまざまなフォーマットへの対応が求められます。

しかし、「Sustana」はAI-OCRを活用したテキスト認識や、Excel、CSVファイル形式による一括アップロードに対応しています。算出元がどのような媒体・体裁であっても対応できるため、煩雑になりがちなデータ収集や処理の効率化に寄与するでしょう。「Sustana」を活用すれば、排出量算定に要する業務負担軽減や、業務効率化の実現に期待がもてます。

最適な脱炭素施策を実行できる

「Sustana」は会社全体の排出量だけでなく、施設・拠点単位やサプライチェーンにおける活動状況のデータ化を可能とし、CO2排出量の増減を自動で検知できます。各施設・各拠点のCO2排出量に関する情報は、エネルギー源別に確認でき、異常値が検知された場合にはアラートを発出します。

また、CO2排出量の状況に応じておすすめの削減施策のご提案も毎月行なうため、改善に向けた対策を早期に検討できます。専門知識を持たないご担当者さまも適切な脱炭素施策を判断しやすくなることは、「Sustana」を活用するメリットのひとつです。

外部企業とのデータ連携が容易になる

「Sustana」にはサプライチェーン企業間でのデータ連携機能が備わっているため、サプライチェーン全体の活動量データやCO2排出量データも高精度で算定可能です。外部企業とのデータ連携が容易になる点は、「Sustana」の大きなメリットのひとつです。

なお、「Sustana」は、サプライチェーン企業が「Sustana」を導入しているか否かにかかわらず、データ連携が可能です。
「Sustana」をご利用中のサプライチェーン企業は、「Sustana」から出力されるCSVデータを取り込むことによりシームレスなデータ連携が可能となります。また、未導入企業でもExcel形式のアンケートフォームが「Sustana」より提供されるため、アンケートに回答してもらうことで各社の排出量を可視化できるのです。

外部企業とも容易にデータ連携ができ、高精度な排出量算定を行える点は「Sustana」を活用するメリットといえるでしょう。

SDGsとDXを掛け合わせて成功を収めている企業の事例

経営コンサルティング事業を展開している多国籍企業KPMGのレポート(※)によると、2019年のフォーチュングローバル500企業(米フォーチュン誌が発表している全世界総収入上位500社のランキング)の上位250社のうち、2020年時点でカーボンニュートラルに関する目標を公表している企業の割合は76%、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)にもとづく気候変動リスクを認識している企業の割合は56%となっており、それぞれ半数以上の企業が気候変動に対する行動を認識・明確化しています。
こうした潮流は日本にも確実に波及すると考えられ、各企業は自社の状況をもとに、企業戦略として気候変動対応を考え、顧客が求めるサービスを創造していく必要があるでしょう。

今後、企業にはサプライチェーン全体を考慮した排出量算定への対応や、環境問題を先進技術の力で解決するGXへの対応も求められます。その際、デジタルテクノロジーや再生可能エネルギーなどの最先端の科学技術は、SDGsにおいて有用です。ここからは、SDGsとDXを掛け合わせて成功を収めている企業の事例をご紹介します。

(※)出典:KPMG International「The KPMG Survey of Sustainability Reporting 2020」

SDGsをビジネス創出の機会と捉え、強みのテクノロジーで社会問題の解決に貢献

A社は、戦略的にSDGsに取り組むため、6つの注力テーマを設定しました。それらのテーマの中でも、ICTを通じて社会の利便性を向上させてきた自社の強みを活かし、「5Gによる高精細映像伝送やVR、ウェブ会議システムの技術を活用した学校や公共施設での新しい学習体験」などの実施が、SDGs目標4の実現を支援しているとして、ステークホルダーから高く評価されています。同社は、病気などによって校外学習への参加が困難な生徒たちに、ICTを活用して水族館の校外学習を行いました。遠隔授業によって海や生き物への学びを深める機会を提供することも、社会問題解決のひとつです。

先端技術を活かした研究開発力・実装力でSDGsの達成に貢献

B社は、企業理念とSDGsの共通項を見いだし、会社としてのビジョン達成に取り組むことでSDGsの達成を目指しています。SDGsから社会課題に対する気付きを得るとともに、事業で創出する社会価値の目標設定や進捗管理をSDGsに照らして実施しており、SDGs目標11を筆頭に、あらゆる目標に取り組んでいます。
B社は、自社の先端技術を活かした研究開発力と実装力で、「ワクチン普及に向けた1〜5歳の幼児に対する指紋認証の有効性の検証」「デジタル化による、気候変動等に柔軟に対応するサステナブルな農業の実現」「インドにおけるバス高速輸送システムの構築」など、グローバルな視点でSDGsに貢献している点が特徴です。

ビーチクリーンアップとオリジナル絵本の制作でSDGsを推進

ヘアサロン経営や美容商材の卸売事業を展開するC社は、地元でのビーチクリーン活動を行っています。多くの水や薬剤を使用する業界の中で、率先して地球環境問題改善に向けた活動を進める同社の活動には、業界外からも注目が集まっているそうです。
また、C社は海洋プラスチックごみ問題などを説明するオリジナル絵本を制作し、子どもたちへの読み聞かせも企画しました。社会のさまざまな人々へきれいな海を守る必要性を訴えるなど、SDGsを幅広く推進する取組を展開しています。

DXを活用してSDGsの実現に寄与し、社会的価値の高い企業を目指そう

企業がSDGsに取り組むことは、社外からの評価を高めるだけでなく、新規ビジネスを創出して存在感を発揮する上でも、大きな意義を持っています。社会的課題を解決し、必要なモノ・サービスを誰もが享受できる社会を目指すという点で、DXとSDGsとの親和性は非常に高く、身近な課題をDXで解決することはSDGsの実践につながることも多いでしょう。
まずは自社の状況や事業を見直し、DX化で社会問題を解決する方向性を模索してみてはいかがでしょうか。

SDGs実現に寄与する上では、SMBCが活用企業のSDGs実現をご支援可能な、CO2排出量の算定・削減支援クラウドサービス「Sustana」をご活用ください。CO2の排出量が多い拠点や部門を見える化するだけでなく、「Sustana」に入力したデータをもとに自社に合った削減方法を知ることで、具体的にCO2削減を進めることができます。「Sustana」は、SDGsへの貢献を検討されているお客さまの活動に対して、GXとDXの両輪で支援を行います。

また、SMBCグループが提供する「PlariTown」は、DXに関する多様なデジタルサービスや業界ニュース、レポートを利用できるポータルサイトです。担当者がお客さまの業務実態に合わせたデジタルソリューションをご提示し、DX推進もサポートしています。

DXの先にあるSDGsの実現に向けて、ぜひ「Sustana」や「PlariTown」の活用をご検討ください。

合わせて読みたい記事