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企画
公開日:2022.10.03
SWOT分析とは?目的や分析方法、DX戦略における事例も紹介
ビジネスの方向性の決定や企業分析、ビジネスの課題解決などを行う際、アイディア出しや会議の効率化に役立つのが「フレームワーク」です。フレームワークを使うと、参加者全員が共通の枠組みの中で思考でき、複雑な問題でも効率良く結論を導き出すことができます。
総合的かつ体系的に状況を整理し、継続的に取り組める施策が求められるDX戦略についても、フレームワークを使った分析が有効です。
ここでは、DX戦略の立案で活用できるフレームワークの中からSWOT分析を取り上げ、SWOT分析の目的や具体的な手法、分析事例などをご紹介します。
SWOT分析は、自社の現状を把握するためのフレームワーク
SWOT分析とは、事業計画を立てるにあたって、自社の現状を把握するためのフレームワークです。SWOT分析をすることで、何もないところから手探りで計画を立てるよりもスムーズに、かつ筋道の通った思考をすることができます。
なお、SWOT分析の「SWOT」は、下記の頭文字を取ったものです。
<SWOTの構成要素>
- ・S…Strength(強み)
- ・W…Weakness(弱み)
- ・O…Opportunity(機会)
- ・T…Threat(脅威)
SWOTを企業や事業にあてはめると、下表のように内部環境を示すものと外部環境を示すもの、さらにはプラス要因とマイナス要因に分けられます。
内部環境は、自社内にある要素のことで、自分たちでコントロール可能なものを指します。たとえば、自社商品やサービス、資産、ブランド力、品質、顧客データなどがあたります。内部環境は「強み」と「弱み」に分けて整理することで、自社の潜在的なチャンスや課題が可視化されるでしょう。
外部環境は、自社でコントロールすることができない要素です。たとえば、市場規模や競合他社の状況、社会・政治情勢、法律などがこれにあたります。外部環境を「機会」と「脅威」に分けて整理することで、市場や競合に対して効果的な戦略を立案できる可能性が高まるはずです。
SWOT分析を行う目的
SWOT分析を行うと、自社の武器になる強み、強化すべき領域、経営を脅かす外部環境といった現状を明確な根拠とともに把握し、実現性の高い事業戦略やマーケティング計画の策定につなげることができます。
SWOT分析によって事業を推進する土台が固まれば、組織目標や社員個人の目標も説得力を持って設定することができるでしょう。
SWOT分析の方法
ここでは、SWOT分析を行う際に必要となる、企業の強みや弱み、そして機会と脅威の見つけ方をご紹介します。また、DX戦略の方向をクロスSWOT分析で考察する方法についても見ていきましょう。
1. 企業の「強み」と「弱み」を見つける
まずは、自社の強みと弱みを見つけましょう。自社が当たり前にやっていることが実は強みや弱みである場合も多いため、さまざまな視点から考察することが大切です。具体的には、下記のように見つけていきます。
・顧客の視点で考える
なぜ顧客は自社と取引したいと思ってくれているのか、商品のどこを良いと感じているのか、顧客の視点に立って自社の魅力を考えます。
・競合他社と比べてみる
競合他社と比較して、自社が選ばれる理由/他社が選ばれる理由を探します。競合他社のウェブサイトや資料に目を通すのはもちろんのこと、実際に商品やサービスにふれて、その使用感や体感を確認することも大切です。
・社員などに聞いてみる
社員や顧問弁護士、税理士など、自社と深く関わる第三者に自社の強みや弱みを聞いてみるのもひとつの方法です。想定していなかった答えに出会える可能性もあるでしょう。
・視点を変えて検討する
経営陣の目に映る弱みは、第三者から見ると実は強みかもしれません。一度は競合他社や社員の立場にも立ち、弱みは客観的に検討しましょう。
2. 「機会」と「脅威」を見つける
次に、機会と脅威を見つけていきます。外部環境である機会と脅威は、大局的な視点で見ることが把握のコツです。政治、経済、社会、技術などの観点から、自社が置かれている現状を分析しましょう。競合他社や消費者、取引先の動向などからも、機会と脅威は把握できるはずです。
なお、弱みと脅威は、自社にとってマイナスになるという点で混同されがちです。弱みは自社で変えられるもの、脅威は自社で変えられないものとして、それぞれをしっかり分けて考えてください。
3. DX戦略の方向をクロスSWOT分析で考察する
上記の手順で洗い出した内部環境と外部環境を下記の形で掛け合わせて、分析・考察します。これを、「クロスSWOT分析」といいます。
DX戦略を明確にしていく上でとても重要なプロセスのため、分析する要素をひとつずつ見ていきましょう。
<クロスSWOT分析の要素>
・強み×機会(積極化戦略)
強み×機会では、機会(ビジネスチャンス)が訪れたとき、強みをどう活かすかという積極的な戦略を検討します。
・強み×脅威(差別化戦略)
強み×脅威では、競合他社や不況などの脅威に対して、強みを使ってどのように差別化を図り、うまく切り抜けるかを考えます。
・弱み×機会(改善戦略)
弱み×機会では、機会(ビジネスチャンス)を活かすために、弱みをどう改善・克服するかについて考えます。
・弱み×脅威(防衛・撤退)
弱み×脅威では、脅威の影響から自社を守る方法について、対策の考案や撤退等を検討します。
DX戦略におけるSWOT分析
世の中のデジタル化の流れに乗って、製品やビジネスモデルのDXを図る企業は多いでしょう。DX戦略は長期的な視点で立案する必要があるため、体系的に検討できるフレームワークを活用するのがおすすめです。
SWOT分析で内部・外部環境を分析すると、自社が保有する資源やデジタル社会における自社の価値を導き出すことが可能です。SWOTの要素が埋まったら、クロスSWOT分析で着実に戦略を立てていきます。
ここでは、食品製造・小売業のDXを想定し、SWOT分析の例をご紹介します。各要素に自社のシチュエーションをあてはめ、分析に役立ててください。
■食品製造・小売業のDX戦略におけるSWOT分析の作成例
プラス要因 | マイナス要因 | |
---|---|---|
内部環境 | 強み ・長い歴史にもとづく信頼感・ブランド力 ・商品開発力 |
弱み ・体質が古くスピード感に欠ける ・生産・小売現場の人手不足 |
外部環境 | 機会 ・孤食の増加 ・高齢化による独居の増加 ・IT技術の発展 |
脅威 ・コンビニの台頭 ・コロナ禍を契機とした飲食店テイクアウトの増加 |
■食品製造・小売業のDX戦略におけるクロスSWOT分析の作成例
強み | 弱み | |
---|---|---|
機会 | 強み×機会 ・マーケティングDXにより、潜在ニーズを掘り起こし、自社の商品開発力を活かして、新たに高齢者向け食品を提供 |
弱み×機会 ・IT化による見える化、最適化、自動化の実施 |
脅威 | 強み×脅威 ・コンビニとタイアップした新商品を開発 ・テイクアウト向けの新商品の開発 |
弱み×脅威 ・コンビニのニーズが高いエリアからの販路撤退 |
SWOT分析の企業事例
ここでは、SWOT分析を行った企業の事例を3つご紹介します。各業界でどのような分析がなされたのかを確認していきましょう。
<オーダーメイドで制御盤を製造する企業>
- ・強み:要望に応じた製品をオーダーメイドで製造可能
- ・弱み:競合に比べコストと時間がかかる
- ・機会:大手造船会社の設立に伴う需要増
- ・脅威:競合他社が販売する低価格・短納期の制御盤によるシェア縮小
上記企業は、競合に比べてコストがかかる点と納期に時間がかかる点は大きな弱みです。しかし、同社は強みである顧客の要望に柔軟に対応できる点をより活かす戦略を選択。会社設立に伴い需要が増加していた大手造船会社に対して、メッキがサビない特殊加工の制御盤の提案を強化しました。
その技術は競合他社が容易に真似できないため、高単価でも成約を実現。事業の好転につなげました。
<世界でも名高い総合電機メーカー>
- ・強み:ブランド力が高く、発想力と開発力がある
- ・弱み:明確なビジョンに欠ける成長戦略
- ・機会:景気回復、海外市場の拡大
- ・脅威:廉価な海外製品によるシェア縮小、縮小する国内市場
メーカーは、資金調達が難航すると設備投資が困難になり、結果として技術力の低下を招くおそれがあります。明確なビジョンに欠ける成長戦略では、投資家からの信用を得られず、将来の弱みになりかねません。
そこで同社は、主幹事業の一つであるテレビ事業にフォーカスし、海外の市場拡大を推進しました。結果、テレビ事業は経済発展が著しいアジア圏において成功をおさめました。人口増加の著しいアジア圏におけるビジネスは、今後も莫大な利益が出ることが期待されています。
<高いブランド力を誇る老舗百貨店>
- ・強み:中高年の富裕層を中心とした強い顧客基盤
- ・弱み:顧客の高齢化
- ・機会:若年層の業界への関心増加
- ・脅威:コロナ禍でのインバウンド需要の減少
高いブランド力を誇る老舗百貨店は、顧客の高齢化やインバウンド需要の減少を考慮したクロスSWOT分析を行い、不採算事業からの撤退や縮小を決定しました。一方で、マス向けの戦略ではなく、個々人に向けたCRM戦略を導入し、「個人」と繋がる仕組みを構築。デジタルIDの提供や、カスタマープログラムの強化で顧客ロイヤルティが高まる制度を推進し、事業の再生を図っています。さらにはデジタル戦略によって若年層へのアプローチも強化し、生涯のファンとなってくれる顧客の育成にも取り組んでいます。
DX戦略も含め、戦略立案にはフレームワークを活用しましょう
もし、自社のDX戦略立案に悩んでいるのであれば、SWOT分析などのフレームワークを適用して整理・検討することをおすすめします。その結果、自社のリソースのみではDX戦略の実現が難しいと判明した際は、他社のサービスを利用することも効率的な方法のひとつです。
SMBCグループが提供する「PlariTown」は、DX推進を目指す企業をサポートする多様なデジタルサービスや、業界ニュース・レポートなどビジネスに役立つ情報を、ワンストップで利用できるプラットフォームです。SWOT分析を活用し、戦略を立案・推進している企業のマーケティングを支援するサービスも提供しており、サービス導入の相談受付やお客さまの業務実態に合わせた提案も実施しています。
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