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公開日:2022.06.29

更新日:2023.11.14

CRMとは?機能やメリット、名刺管理ツールとの違い、選び方を解説

CRMとは?機能やメリット、名刺管理ツールとの違い、選び方を解説

顧客ニーズが多様化し、パーソナライズされた情報を提供するOne to Oneマーケティングが重視されるようになりました。個別の顧客との良好な関係性を構築し、ファンを増やしていくために導入すべき手法やツールとして注目されているのが「CRM」と「名刺管理ツール」です。
ここでは、CRM・名刺管理ツールの機能やメリットの他、両者の違いやツールを選ぶ際のポイント等について解説します。

顧客との良好な関係を構築し、維持・管理していくCRM

CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」等と訳されます。顧客との良好な関係を構築し、維持・管理していく手法のことであり、そうした管理を実現するためのツールを指すこともあります。

手法としてのCRMと、ツールとしてのCRM

CRMという言葉は、手法として捉えるか、ツールとして捉えるかによって、意味合いが異なります。

手法としてのCRMは、顧客の属性情報や問い合わせ、購買実績といった行動履歴情報を一元的に管理し、顧客一人ひとりに適切な対応を行うことにより、良好な関係性を構築することを指します。
しかし、顧客の数が多いと、手法としてのCRMを手作業で行うのは困難です。そのような場合は、手作業の顧客管理を代行するツールとしてCRMを利用することもあります。

CRMの必要性が高まった背景

CRMの必要性が高まった背景には、インターネットの発展に伴う顧客ニーズの多様化とビジネス環境の変化があります。インターネットの発展により顧客が製品やサービスの情報を自身で収集できるようになったこと等から、「高品質・低価格」「一般大衆に受ける」商品を作れば売れる時代は終わりました。しかも、顧客の価値観や市場が変化するスピードが上がり、変化の幅が広くなったことで、ニーズの実態を掴みにくくなっています。
CRMを活用することで、顧客にまつわる膨大な情報を適切に管理し、個別最適なアプローチができるようになるのです。

CRMツールの主な機能

顧客管理を行うためのCRMツールには、どのような機能があるのでしょうか。ここでは、主な7つの機能についてご紹介します。

顧客ごとの情報管理

CRMツールでは、顧客の氏名、年齢、性別、メールアドレスといった基本情報を始め、購買履歴等を管理することができます。

データ分析

蓄積されたデータを分析した上で、様々な切り口で表やグラフを作成し、分析結果を表示することができます。項目ごとのフィルターや表示させるスタイルを事前に設定しておけば、必要な分析結果を素早くチェックすることができます。
また、AIによって現在までの状況から売上予測を立てられるCRMツールもあり、現在の目標達成率や今後の予測をリアルタイムで算出することも可能です。

メール配信

CRMツールを使えば、顧客の基本情報をもとにセグメント化し、セグメントのニーズに沿った新製品やキャンペーンといった情報をメールで発信することができます。配信後に、開封率や開封後のURLのクリック率等を検証することで、メールの内容をブラッシュアップし、精度を高めていくことが可能です。

購入・問い合わせ管理

基本情報に紐づける形で、購入情報や問い合わせ履歴を管理できることも、CRMツールの機能のひとつです。一度購入した顧客は、少なからず商品やサービスに興味を持っているため、少ない投資で再購入や継続に繋げられる可能性が高い優良顧客です。購入履歴に基づいてアプローチすることで、より効率的な営業活動が可能になるでしょう。
また、問い合わせ履歴を管理することで、対応漏れを防ぎ、顧客満足度向上が期待できます。よくある問い合わせと回答を纏めて自社サイト等に掲載しておけば、同じような質問に何度も回答する手間も省くことができます。

アンケート実施

顧客の声をダイレクトに吸い上げるために、アンケートは有効です。CRMツールでアンケートフォームを作成し、集計・分析した結果をもとにセグメント化すれば、セグメントのニーズに合ったアプローチが可能になるでしょう。

ファイル共有

CRMツール内で顧客情報や提案書等のファイルを、社内の関係者にスピーディーに共有することができます。また、CRMツール内でファイルを共有することで、メールの誤送信等による情報漏洩を防ぐことができます。

顧客データの検索

CRMツールでは、想定する条件で検索して顧客データを絞り込むことができます。ターゲット像が先にある場合等に有効です。

CRMツールを活用するメリット

CRMツールの主な機能がわかったところで、改めてCRMツール導入のメリットを見ていきましょう。ここでは、CRMツールの3つのメリットについて説明します。

CRMツールを活用するメリット

顧客情報を一元管理できる

CRMツールを使うと、営業担当者が名刺やローカルのExcel等で管理していた顧客情報の一元的な管理が可能です。情報をリアルタイムで共有できるので、顧客を引き継いだ際のフォロー不足を防ぐことができるでしょう。
顧客の傾向を分析して戦略を立案したり、営業活動のボトルネックとなっている部分を見つけ、改善を図ったりするのにも役立ちます。

顧客の満足度を上げ、優良顧客を育成できる

CRMツールで顧客ニーズや状態を可視化すると、顧客の購買意欲が高まったタイミングを逃さず、ニーズに合った提案をすることができます。すると、顧客は「自分をよく知ってくれている」と感じて満足度を高め、やがて継続的に購入してくれる優良顧客になる可能性が高まります。

業務効率がアップし、コア業務に集中できる

CRMツールは、これまで手作業で行っていた顧客管理を自動化してくれるものです。業務が効率化し、空いた時間をより重要な仕事に充てることができるでしょう。
また、結果的に人件費も削減でき、経営の改善にも繋がります。

CRMの導入をご検討の方はこちらをご参照ください。

関連記事:「業務効率化ツールとは?種類一覧、ニーズ別おすすめ10選など解説」

CRMツールを選ぶ際のポイント

一口にCRMツールと言っても、その種類は様々です。CRMツールを選ぶ際には、何に注目して選べば良いのでしょうか。ポイントを4つご紹介します。

CRMツールを選ぶ際のポイント

導入目的や自社の課題をカバーできる機能があるか

営業活動の属人化や既存顧客へのフォロー不足等、CRMツール導入を検討する理由は企業によって様々です。まずは、自社が抱える課題と、CRMツール導入の目的を明確化し、対応できる機能を備えたCRMツールを選びましょう。

オンプレミスかクラウドか

CRMツールの提供形態には、社内サーバー上にアップしたソフトウェアをインストールするオンプレミス型と、クラウド上にデータをアップして利用するクラウド型があります。自社サーバー内で完結して管理・運用するオンプレミス型はカスタマイズの柔軟性とセキュリティの高さが特徴ですが、社外では使用できません。
一方、クラウド型は社外での利用が多い場合に最適で、スマートフォンやアプリからも閲覧・利用できます。初期コストを抑えられるのもメリットでしょう。
CRMツールを利用する従業員の仕事内容に合わせて、適切な提供形態を選ぶことをおすすめします。

ベンダーのサポート体制があるか

せっかくCRMツールを導入しても、操作手順がわからなかったり、機能の活用の仕方がわからなかったりすると、使用する従業員の手間が増えてしまいます。トラブルが起きる可能性も踏まえて、サポート体制は必ず確認しておきましょう。
サポートの内容はベンダーによって異なるため、自社に合ったサポートが受けられるかどうか、詳細を確認することが大切です。

価格の妥当性があるか

CRMツールの導入に当たっては、初期費用の他維持費、サポート費等がかかります。初期費用のみで判断せず、利用の範囲や期間に対するトータル費用の妥当性を確認しましょう。
原則として、オンプレミス型よりクラウド型の方がコストを抑えることができます。

CRMと名刺管理ツールの違いとは?

CRMの中には、名刺管理の機能を備えたものや外部の名刺管理ツールと連携可能な製品があります。CRMと名刺管理ツールは共に顧客管理に活用されますが、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。両ツールの主な違いについて解説します。

目的の違い

CRMと名刺管理ツールでは、活用する目的に根本的な違いがあります。CRMは利益向上のために、顧客との関係性を管理・強化することが目的のツールです。
これに対して、名刺管理ツールは主に外部の人脈を可視化し、組織内で情報共有することによって営業活動に活かすためのツールと言えます。

管理データの違い

CRMと名刺管理ツールには、管理する対象となるデータにも違いがあります。CRMは顧客の氏名・年齢・所属企業名といった基本情報や、購買履歴(商品・購入日・購入金額等)、問い合わせ・クレーム履歴といった情報を管理するために活用するのが一般的です。
これに対して、名刺管理ツールは企業名・部署名・担当者氏名・連絡先等、名刺に記載された情報を中心に管理するツールです。名刺管理ツールは異動等に伴う担当者変更時の情報管理を円滑化したり、休眠顧客を掘り起こしたりするために活用されることもあります。

名刺管理ツールの必要性が高まった背景

名刺管理ツールが登場する以前から、名刺情報は一覧化したり、顧客台帳に転記したりすることで営業活動に活用するケースは少なくありませんでした。しかし、手動による入力・転記作業には多くの手間がかかるだけでなく、誤入力の恐れもあります。また、営業担当者の人脈が属人化しやすく、組織全体の資産にならないという課題もありました。

昨今は、営業手法や働き方の多様化に伴い、同一の顧客に複数名の営業担当者がついたり、マーケティング部門やインサイドセールス部門と連携して営業活動を進めたりするケースが増えてきました。営業担当者の人脈を可視化し、組織内で共有する必要に迫られた結果、名刺管理ツールの活用は広まっていったのです。

名刺管理ツールの主な機能

ツールごとに異なるものの、名刺管理ツールの機能には共通しているものが多くあります。ここでは、名刺管理ツールに備わっている主な機能について見ていきましょう。

名刺情報を取り込む

名刺管理ツールは、名刺に記載された情報を取り込み、データ化できます。紙に印刷された文字をデータ化するには、OCR機能を備えたスキャナーで取り込む必要があります。近年は、人工知能を活用したAI-OCR搭載ツールも登場しているため、高い精度でデータの取込が可能です。
また、スマートフォンで撮影した名刺の画像からテキストデータを抽出できるツールもあります。こうした機能を活用することで、名刺情報を手動で入力する労力は大幅に削減できるのです。

人物情報の一元化と効率化

複数の担当者が名刺をデータ化していく過程においては、同一人物の名刺情報が重複することも想定されます。そこで、名刺管理ツールを活用すると、重複データを自動検出するだけでなく、重複データの削除や統合もツール上で実行可能です。
データの重複や最新情報への更新をツール上で行うと、顧客情報の管理を効率化することができます。

マルチデバイスに対応可能

名刺管理ツールの多くは、PCの他、スマートフォンやタブレットでも活用できます。マルチデバイス対応のため、外出先で顧客情報を確認したい場合も、場所を選ばず顧客情報が参照可能です。
分厚い名刺ファイルを持ち歩いたり、顧客情報を確認するために事務所へ戻ったりする必要がなくなるため、業務の生産性向上が期待できます。

名刺管理ツールを活用するメリット

名刺管理ツールを活用することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な活用メリットとしては、下記の3つが挙げられます。

メールの一斉送信といったマーケティングでの利用が可能

名刺管理ツールの中には、特定の条件を満たす企業を抽出できる機能を備えたものもあります。抽出した企業の担当者へメールを一斉送信するといった利用方法もあるため、マーケティング関連業務での活用も可能です。
手作業で名刺の束を探す場合と比べて条件に合った顧客を早く確実に探し出せる上に、ツール経由でメールを送信できるため、業務効率の向上に繋がるでしょう。

社内での顧客情報の一元化

各担当者が保有している顧客情報を一元化することによって、社内での情報共有はスムーズになります。例えば、営業担当者間でアプローチ先の企業がバッティングするといった事態を避けられる他、他部門で繋がりのある顧客へアプローチすることも可能です。
顧客情報を組織の資産として有効活用できることは、名刺管理ツールを活用する大きなメリットと言えるでしょう。

業務効率とセキュリティの向上

名刺管理アプリの多くはスマートフォンでの利用に対応しているため、外出先でも顧客情報を確認できます。顧客の連絡先を確認するために外出先から勤務先へ連絡するといった手間も必要なくなるため、業務効率向上が期待できます。
また、顧客情報を記録した紙のファイルや名刺の束を常に持ち歩く必要がなくなり、セキュリティ管理の面でもメリットを得られるはずです。

名刺管理ツールの導入をご検討の方はこちらをご参照ください。

名刺管理ツールを選ぶ際のポイント

名刺管理ツールと一口に言っても、ツールごとに活用できる機能は異なります。自社の用途に合ったツールを選ぶ際は、下記のポイントを確認しておく必要があるでしょう。

<自社に合ったツール選定のポイント>

  • ・名刺情報の取込方法:OCR・AI-OCR・画像認識の内、いずれの機能が備わっているか
  • ・マーケティング機能:検索機能やメール一斉送信機能が搭載されているか
  • ・利用可能なデバイス:PCやスマートフォン等複数のデバイス・OSで活用できるか
  • ・セキュリティ対策:自社のセキュリティガイドラインを満たしているか
  • ・料金:初期費用やランニングコストは適正か

CRMツールと名刺管理ツールで、時代に合った経営を推進しよう

CRMツールと名刺管理ツールは、顧客情報の管理をベースに、多様化するニーズと変化するビジネス環境に対応し、時代に合った経営を可能にするものです。まずは、CRMツールと名刺管理ツールの機能やメリットを知り、自社に合ったツールの導入を検討しましょう。

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