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公開日:2022.08.31

KPIとは?設定する意義や設定方法、活用事例を紹介

KPIとは?設定する意義や設定方法、活用事例を紹介

事業で高い成果を収めるには、会社全体として目指すべき目標を設定することが大切です。適切な目標設定を立てれば、やるべきことや必要な人員が明確になり、目標までの最短ルートを正確に把握するのに役立つほか、コスト削減にもつながります。
ここでは、企業が目標を設定する上で重視したい「KPI」について、メリットから具体的な設定方法、活用事例までを解説します。

KPIとKGI、それぞれの目的とは?

KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」「主要業績評価指標」などと訳されます。
KPIを設定する際には「KGI」の設定が前提となるためそれぞれの意味を理解しておくことが重要です。まずは、KGIについて説明していきます。

KGI:事業戦略を踏まえた組織の最終目標

KGIはKey Goal Indicatorの略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。これは、企業戦略や事業戦略を踏まえた組織の最終目標のことで、下記のような指標がKGIとして使われます。

<KGIの指標例>

  • ・売上高
  • ・成約数
  • ・売上総利益
  • ・営業利益
  • ・市場シェア
  • ・顧客数

KGIを設定する際のポイントは、「業界トップになる」といった不確実かつ漠然とした目標ではなく、実現性があって数値で管理できる目標にすることです。KGIが設定されることにより、従業員は企業が目指す方向性を理解できるようになります。

KPI:KGIへの進捗度を可視化するための中間指標

KPIは、KGIを達成するためのプロセスが正しく進んでいるかどうか、その進捗度を可視化するための中間指標です。KPIをコツコツと達成していくことが、最終的にKGIの達成につながるような数値の設定が望まれます。KPIを設定することで、全体目標であるKGIが個人やチームの日々の行動に落とし込まれ、各人が「自分のやるべきこと」に向かって主体的に動けるようになるでしょう。
また、KGIの達成状況の途中経過を把握できるため、万一目標数値に届かなそうなときにも修正すべきポイントが見えやすくなるでしょう。

さまざまなシーンで活用されるKPIですが、ビジネスにおいてはセールスやマーケティング部門、人事部門などでよく使われます。下記にそれぞれのシーンごとのKPIの具体例をご紹介します。

・セールスにおけるKPI

セールスでは、受注件数や売上高などがKGIとして設定されます。一例として、「月2,000万円の売上を達成する」ことをKGIとして設定した場合のKPIについて考えてみましょう。
月2,000万円売り上げるために必要なプロセスを想定すると、自ずと必要なアポイント数、成約数、望ましい受注単価などが見えてきます。これを、「1ヵ月の訪問件数を◯%増やす」「上半期中に、平均顧客単価を◯円から◯円に上げる」といった、具体的な数値で表したのがKPIです。

・マーケティングにおけるKPI

マーケティングでは、ECサイトの売上高や、サイトやサービスの認知度などがKGIになることが多いです。「ECサイトの売上を◯%アップさせる」というKGIを設定した場合、「◯ヵ月以内にPV数を◯%増やす」「毎月の訪問者数を◯人まで引き上げる」といったKPIを設定すると、日々の行動に反映しやすいでしょう。
一例を挙げると、KGIが「サービスの認知度を◯%アップさせる」なら、「今月の資料ダウンロード数を◯件増やす」といったKPIが考えられます。

・人事におけるKPI

人事の場合は、採用活動における最終的な採用者数や、従業員満足度の向上などがKGIになることが多いです。
採用者数のKGIには、母数となる応募者数や、面接を通過して内定を出す人数などがKPIとなるでしょう。「今年は新卒学生を◯人採用する」とKGIを決めたら、書類選考や面接でふるいにかけられる人数を考慮して、「確保すべき応募者数」「内定者数を獲得するための面接通過率」などを割り出し、KPIとして設定します。

KPIの設定・運用方法

続いては、KPIを設定・運用する際の具体的な方法をご紹介します。KPIは、6つのステップに分けて設定・運用していくとスムーズです。

KPIの設定・運用方法

1. KGIを設定する

KPIは、組織の最終目標であるKGIを達成するための指標です。まずは、前項に挙げた例を参考に、自社に合ったKGIを決めましょう。
KGIを設定するには、下記で紹介している「SMARTの法則」のフレームワークが役立ちます。

<SMARTの法則>

Specific:「具体性」
Measurable:「計測可能な計量性」
Achievable:「達成可能性」
Relevant:「関連性」
Time-bound:「期限」

ご覧の通り、「SMARTの法則」は、上記の各項目の頭文字から名付けられています。「具体性」をはじめとした5つの要素を意識した上で目標設定をすれば、KGI達成に必要な要素が明確化するはずです。

2. KGIと現状の差を確認する

「前年比2倍の売上高」がKGIであった場合は、現在の数値で推移した場合の予測数値を割り出し、現状とKGIの差がどれだけあるかを算出します。このとき、新たな施策を立てるまでもなくKGIが達成できそうであれば、KGIの見直しが必要でしょう。

3. KGI達成までのプロセスを細分化する

KGI達成につながるプロセスを細分化し、すべて洗い出します。例えば、営業で売上40%増をKGIとした場合では、顧客リストの作成、リード獲得・アプローチ、アポイントの獲得、顧客へのヒアリング・解決策の提示、商談、クロージングなどのようにプロセスに細分化することが可能です。できる限り具体的に洗い出すことが大切です。

4. KFSを決定する

KGI達成のプロセスが明確になったら、「KFS」を洗い出します。KFSはKey Factor for Successの略で、日本語では「重要成功要因」と訳されます。事業戦略の立案においても重視されるキーワードで、事業を成功に導く要因のことです。
KFSを決定するには、市場環境や競合他社の状況、自社の強み、優位性など、さまざまな観点から自社のビジネスを分析する必要があります。代表的なマーケティングのフレームワークである「SWOT分析」「3C分析」「バリューチェーン分析」などを使って、できるだけ多く洗い出していきましょう。

・SWOT分析

SWOT分析とは、自社の内部環境を「強み(Strengths)」と「弱み(Weaknesses)」、外部環境を「機会(Opportunities)」と「脅威(Threats)」に分けて分析する手法です。

・3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの「C」から成功要因を分析する手法です。

・バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、企業の活動を個別のプロセスに分け、それぞれが提供する価値を分析する手法です。

5. KPIを設定し、KPIツリーを作成する

KFSが明確になったら、具体的な数値に落とし込むことで、KPIが設定できます。

KPIが設定できたら、KGIとの関係を可視化するため、「KPIツリー」を作成します。KPIツリーとは、KGIとKPIの関係性を樹形図(ロジックツリー)で表したものです。KPIツリーがあると、KGI達成に向けた要素や課題をひと目で把握できるほか、業務の滞りが生じているボトルネックも発見しやすくなります。

6. 設定したKPIを活用し、PDCAサイクルを回す

KPIを設定したら、短期的かつ定期的に達成度を見極め、その妥当性を確認します。最初に設定したKPIに現実との乖離がある場合は、適宜修正することが重要です。
組織全体でPDCAサイクル(Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)→Plan‥)を回し、KPIの精度を高めていきましょう。

KPIを設定するメリット

KPIを設定すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、KPIを設定する主なメリットを3つご紹介します。

KPIを設定するメリット

達成すべき指標が明確になる

KPIを設定すると、「何を」「いつまでに」「どのくらいやるべきか」が明確になり、従業員の主体性が向上します。定量的に従業員の進捗を把握できるようになるため、KGI達成に向けた最短ルートを見つける手がかりとなるでしょう。

評価指標を明確化できる

KPIという共通の指標にもとづいて各個人の目標を設定することにより、それぞれの達成度をもとに従業員を公平に評価できるようになります。評価の指標が明確化されることで不公平感がなくなり、従業員のエンゲージメント向上も期待できるでしょう。

組織全体のモチベーションが上がる

KPIを設定すれば達成すべき目標はもちろん、ボトルネックや課題もチームとして共有することができます。結束力が高まり、組織としてのモチベーション向上も見込めるでしょう。

KPIの活用事例

自社のKPIを決める際、他社の成功例は非常に参考になります。ここでは、KPIの4つの活用事例を見ていきましょう。

航空会社A社の事例:定時到着率をKPIとして顧客満足度を高め、業績安定に成功

A社では、「顧客満足度の向上」をKGIとし、KPIを「定時到着率」に設定。客室乗務員や整備士も機内清掃に協力したり、手荷物搭載時間を短縮する計画を立案したりして、定時到着に対する体外的な評価を得ることに成功しました。その結果、業績は回復し、順調な伸びを示しています。

大手小売店B社の事例:女性活躍に対する意識の浸透度を主要なKPIとし、真に女性が活躍できる環境を実現

従業員の過半数を占める女性社員がより長く、いきいきと働くには、全社員が女性の価値を認識し、その活躍を求める風土の醸成が不可欠であると考えたB社。「女性活躍浸透度」「女性の上位職志向」といった意識の部分をKPIとして制度の充実を図り、女性活躍推進に優れた企業として社会から称されています。

自転車小売業C社の事例:アフターサービスへの登録者数をKPIとし、新規・リピーター顧客が増加

量販店でも自転車が売り出されている中、自転車小売業C社は、低価格なオプションとして定期的なメンテナンスを行うアフターサービスを打ち出し、新規・リピーター顧客の取り込みを強化。アフターサービスへの登録数をKPIに設定し、積極的にアピールすることで顧客数の増加、売上の増加を実現しました。

飲食店D社の事例:1人が1時間で生み出す粗利益をKPIとし、生産性を向上

低価格がウリの飲食店D社。ローコストを徹底して売上をアップさせるには、1人あたりの生産性向上が必須であるとして、1人が1時間で生み出す粗利益「人時生産性」をKPIとしました。これにより、開店前の作業時間が大幅に短縮するなど生産性が飛躍的に向上。その後も改善を続け、業界平均を大きく上回る一人あたりの生産性を維持しています。

KGIやKPI達成に向け、進捗管理や協業先の探索に有用なツールを活用しよう

KGIやKPIを設定することで、組織全体で達成すべき指標や評価指標が明確になり、組織全体のモチベーション向上にも繋がります。設定したKGIやKPIの達成には、進捗管理や協業先の探索に有効なツールを活用することが効果的です。

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