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公開日:2022.08.31

LTVとは?注目される理由や計算方法、高める方法を詳しく解説

LTVとは?注目される理由や計算方法、高める方法を詳しく解説

近年、多くの市場では競争激化により、新規顧客の獲得コストが高まり、既存顧客との関係性を強固にしていく取り組みをする企業が増えてきました。
そこで、既存顧客との関係性を計る上で重要視されているのが、LTVという指標です。
本記事では、注目度の高いLTVについて計算方法やLTVを高める方法のほか、MA(Marketing Automation:マーケティング活動の自動化)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)を導入するメリットなどについて紹介します。

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは?

LTVとは「顧客生涯価値(Life Time Value)」の略称であり、ある顧客が自社の利用を開始してから終了するまでの期間に、自社がその顧客からどれだけの利益を得ることができるのかを表す指標です。例えば、ある顧客との取引が1回で終わってしまう場合よりも、2回目以降も取引が継続した場合の方がLTVは高くなります。
LTVは顧客がもたらすであろう利益が数値として表れるため、企業活動やマーケティング活動において特に大切な指標となっています。

LTVが注目される理由

LTVが注目されている理由について詳しく見ていきましょう。

新規顧客獲得のハードルが高まった

日本の総人口は、総務省統計局のデータによると、平成20年の12,808万人をピークに、平成23年以降一貫して減少し、令和3年には12,550万人となっています。多くの市場では小さくなるパイを取り合うため、競争が激しくなり新規顧客獲得のハードルは上がっています。

新規顧客開拓は膨大なコストと時間がかかるため、利益を思うように生み出せない可能性があります。
一方、既存顧客の場合、良好な関係を築くことができると、継続購入あるいは紹介による顧客の拡大が見込めます。

One to Oneマーケティングが主流となった

顧客はインターネットの普及により得られる情報が大幅に増加し、嗜好が多様化しました。顧客の変化を受け、企業は、顧客のデータを収集・分析する手法やツールを利用し、顧客一人一人の好みに応じた商品を提案する必要がでてきました。今までの企業のマーケティングは、不特定多数に向けたものでしたが、近年では顧客一人ひとりのニーズに合わせて行うマーケティング活動である「One to Oneマーケティング」が主流となっています。

One to Oneマーケティングでは、顧客のロイヤリティを高め、継続的に取引をしてもらうことが大切であるため、LTVが注目されています。

サブスクリプションサービスの流行

近年、定額料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができるサブスクリプションサービスが流行しています。継続的に利益を得られるサブスクリプションサービスは企業にとってもメリットが大きく、サブスクリプションサービスを始める企業が増えています。その中で、顧客にサブスクリプションサービスを長期的に継続してもらうために、LTV向上を画策する企業が増え始めました。

LTVの計算方法

LTVの計算方法は多種類あり、ビジネスモデルによって使い分けます。
一般的には以下の式で算出されます。

LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間

例えば、平均顧客単価40万、収益率50%、購買頻度0.5回/月(=6回/年)、継続期間5年の場合、LTV は、40万円×50%×6回×5年=600万円となります。

また、新規顧客獲得コストと既存顧客維持コストを加味した全体を把握するための計算式もあります。

LTV(コスト込)=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間ー(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

例えば平均顧客単価、収益率、購買頻度、継続期間は先ほどと変わらず、新規顧客獲得コストが200万、既存顧客維持コストが50万円の場合、LTVは、600万円ー(200万円+50万円)=350万円と計算されます。

LTVを高めるポイント

LTVは、「平均顧客単価」「収益率」「購買頻度」「継続期間」「新規顧客獲得コスト」「既存顧客維持コスト」の6つの要素から構成されており、各要素を改善させることでLTVが高まります。

LTVを高めるポイント

平均顧客単価を上げる

平均顧客単価は、「平均顧客単価=売上÷顧客数」で算出できますが、平均購入品数(商品数÷顧客数)と平均商品単価(商品の売上÷商品数)を用いて、「平均顧客単価=平均購入品数×平均商品単価」で要素分解することも可能です。
平均顧客単価を上げる方法の例として、平均購入品数や平均商品単価に着目した「クロスセル」「アップセル」「商品の値上げ」をご紹介します。

  • ・クロスセルとは、単品販売ではなく、関連する製品・サービスの購入やセット販売での購入を促すことです。ECサイトのレコメンド機能のように顧客の立場を考え、提案することが重要です。
  • ・アップセルとは、ある商品を購入しようとしている顧客に対し、より上位の商品・サービスの購入を勧めることです。上位モデルの商品の魅力を顧客にアピールし、納得してもらえることができれば、顧客単価向上に繋がります。
  • ・商品の値上げについては、ブランドに対し顧客の愛着がある等、顧客の商品購入理由が価格ではない場合、大幅な値上げをしない限り、顧客が離れる可能性は低いと考えられます。値上げは客離れに繋がるリスクも伴うため、「価格に頼らない商品設計」や「値上げをしたとしても価格以上のメリットを理解してもらえる取組」など顧客にとって納得感のある値上げを心がけましょう。

購買頻度を増やす

購買頻度向上のため、顧客の行動データをもとに、ニーズを捕捉し、メール発信で定期的にメールを送り、商品購入の候補として頭に入れてもらいましょう。メールには、自社商品の強み、メリットをしっかり記載しておくことが大切です。

継続期間を延ばす

顧客のロイヤリティを高め、継続的に購入をしてもらいましょう。
既存顧客だからこその特典の提供や、「ここでしか買いたくない」と思ってもらえる優れた商品の提供やブランドイメージを形成することで顧客ロイヤリティを高めていきましょう。また、ロイヤリティが高い顧客は、他者に自社商品を勧めてくれる可能性があり、新規顧客獲得にも繋がる可能性を秘めています。

収益率を上げる、顧客獲得・維持コストを下げる

購入の単価、頻度、期間を改善しても収益率が悪化したりコストが増加してしまうと、LTVの向上には繋がりません。例えば、製造業のとある企業では、工場の設備やオペレーションコストを円単位ではなく銭単位で管理することで毎年数十万円の費用を削減しているところもあります。また、後述のMAやCRMを導入することで、顧客獲得・維持コストを抑えることが可能です。

LTVを高めるにはMAやCRMの導入が有効

LTVを高めるには、顧客のデータを活用し、顧客に最適な提案をするOne to Oneマーケティングが重要です。One to Oneマーケティングにおいて、有効なMAやCRMについて説明します。

見込顧客の管理や育成に活用できるMA

MAは見込み顧客の管理や育成を、テクノロジーによって効率的に行うために活用されています。例えばMAツールでは、見込み顧客の行動を追跡して一元管理したり、メルマガの開封率、成約率などの効果を測定したりできます。

MAツールの導入メリット

MAツール導入のメリットは、3つあります。

1つ目は、人件費の削減ができることです。顧客のデータ分析を手動でするのは、膨大な時間を要します。MAツールの導入によって、作業をツールに任せることで人件費削減や業務負担の軽減が可能となります。

2つ目は、マーケティング施策の効果が視覚化されることです。顧客の属性、行動履歴などの膨大なデータを一括で管理し、スコアリングすることができます。適切な顧客に対し、適切なタイミングで適切なアプローチ(クロスセルやアップセル、解約阻止等)をすることは、予算の最適配分にもなります。

3つ目は、既存顧客との良好な関係を長年維持し、ブランド価値を向上できることです。既存顧客との商談履歴や購買履歴等のコミュニケーションを踏まえて「今の自分に適切な」情報を提供することで、顧客ロイヤリティを高めます。

既存顧客の管理に活用できるCRM

既存顧客との良好な関係性を構築するためのマネジメント手法としてCRMが有効であり、CRMツールには豊富な機能が備わっています。具体的には、顧客ごとの情報管理、データ分析、メール配信、購入・問い合わせ管理等をすることができます。

CRMツールの導入メリット

CRMツール導入のメリットは、3つあります。

1つ目は、顧客情報を一元管理できることです。営業担当者が名刺やExcelなどで管理していた顧客情報を一元的に管理することが可能となり、顧客の傾向を分析して戦略を立案したり、営業活動のボトルネックとなっている部分を見つけ、改善を図ったりするのにも役立ちます。

2つ目は、顧客の満足度を上げ、優良顧客を育てることができることです。顧客のニーズや状態の可視化により、顧客の購買意欲が高まったタイミングを逃さず、ニーズに合った提案をすることができます。その結果、顧客の満足度は高まり、優良顧客となる可能性が高まります。

3つ目は、業務効率がアップし、コア業務に集中できることです。これまで手作業で行っていた顧客管理を自動化することによって、業務が効率化し、空いた時間をより重要な仕事にあてることができるようになるでしょう。

顧客データの管理によりLTVの最大化を図ろう

LTVは、ビジネス環境や顧客の購買行動の変化、またはそれに伴う企業のマーケティングの変化により、重要度が高まっている指標です。顧客データの管理にMAやCRMツールを活用し、LTVの最大化を図りましょう。

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