働き方を変える前に! チェックしておきたい介護の支援制度

親の介護経験者を対象にした調査で、介護のために自分や配偶者の仕事の変化について聞いてみました。「離職をした」経験者が1割以上いたほか、「時短勤務」や「雇用形態の変化」、「転職」なども一定数見られました。介護を機に働き方に変化が起こる可能性を想定しておく必要があります。

親の介護のために、働き方に変化はありましたか?の回答(アンケート結果より)

介護と仕事を両立するための制度は、国や自治体ごとにあります。制度を事前に調べておくと、金銭的・肉体的・精神的な負担を軽減することができるかもしれません。

公的な支援制度
  • (※)要介護状態とは「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」のこと

介護は終わりの時期が見えにくいことから、産前産後休暇や育児休暇と違って長期休暇が取りづらく、結果として離職するケースもあります。しかし、離職にはリスクがつきもの。そのリスクを十分に把握しておくことが必要です。

介護離職はリスク大!? 実態から学ぶそのリスクとは?

実際に介護離職をした人のデータを見てみましょう。介護離職をした人を世帯年収別に見ると、「200〜400万円未満」の人が多いことがわかりました。そして、介護離職をした人の中の過半数は「在宅介護」をベースにした介護方法でした。デイサービスや介護施設を利用する余裕がなく、夫婦で年収の低い方が介護に専念するために離職するケースが多いように思われます。

介護費用を抑えるために選びがちな在宅介護ですが、介護をする家族や親族の時間的・精神的負荷は大きく、現状の生活や仕事を続ける上で少なからず影響が出ることも忘れてはいけません。

世帯年収別・介護離職した人の割合(アンケート結果より)
介護離職した人の介護方法(アンケート結果より)

現在は医療制度などの進歩により長寿化が進み、介護が長期化傾向にあります。そのため、働き盛りの40〜50代が終わりの見えない介護に携わるケースも多く見られるようになりました。40〜50代といえば、住宅ローンや教育費などさまざまな出費がかさむ世代でもあります。そのようなタイミングで離職をすることは、ハイリスクだといえるでしょう。具体的には、次のようなリスクがあります。

〈介護離職のリスク〉

  • 介護が長期化して貯蓄がなくなり、経済的に困窮する
  • 介護を終えて社会に復帰しても、離職前と同条件(役職や給与、手当など)で再就職ができるとは限らない
  • 介護中心の生活で社会的なつながりが減り、社会から孤立して精神的な負担が増す

働きながら介護をしてきた経験者たちは、実際どのような対策を講じたのでしょうか。

働き方を変えなくても「無理のない介護」は実現できる!

介護をはじめることになっても、働き方を変えることなく無理のない介護を行うことができたという声もありました。その秘訣とはどのようなものでしょうか。

周りに相談し、制度や介護サービスをフル活用した人の声(アンケート結果より)

介護経験者の声にもあるように、自身が介護しているという状況を会社の上司や同僚に相談して協力を仰ぐことは、有益な行動といえるでしょう。また、介護施設は大いに利用するべきでしょう。介護のプロに任せる時間が増えれば、自分のために使える時間が確保でき、肉体的・精神的な負荷が軽減できます。

経済的、精神的にもできるだけ介護離職は避け、“続けられる介護”を目指す

介護は長期戦ですから、気負わずに“続けられる介護”を目指すことがポイントです。@介護にかけられる「予算」を家族で話し合っておき、A時間をつくるための介護サービスや支援制度について確認しておくことがカギになります。

@ 介護にかけられる「予算」について話し合い、備える

  • ▶介護と仕事を両立し、無理なく続けられる状況・条件を共有する
  • ▶親の経済状況を把握し、介護にかけられるお金を準備しておく
  • ▶経済的負担を軽くするための支援を調べ、利用することを想定する

A 「時間」をつくるための介護サービスや支援制度について確認する

  • ▶介護休業や介護休暇など、法律で定められている制度や会社で導入している制度を調べておく
  • ▶時間的な負担を軽くするための介護サービスや介護制度、それにかかる費用を調べておく
  • (→介護にかかる費用の目安はこちらをチェック)

介護離職は、介護を終えた後の自分自身の生活に大きなリスクを残す可能性があり、まずは介護離職をしないための方法を探しておくことが大切です。

  • 2021年8月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

【アンケート調査概要】

  • 調査時期期間:2021年5月25日(火)〜5月27日(木)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査地域:全国
  • 有効回答数:1,030
たかいつよし

井豪(たかいつよし)

ファイナンシャルプランナー/終活アドバイザー。終活の専門家集団である「NPO法人 ら・し・さ(終活アドバイザー協会)」の理事。スイス系金融機関に在籍後、1994年にファイナンシャルプランナーとして独立。マネープランから、年金・介護、葬儀など、老後に向けて中立的な立場からのアドバイスを行う。

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