子育てと親孝行。二つの「理想」を思い描き、お片づけサービスをスタート!

子育てと親孝行。二つの「理想」を思い描き、お片づけサービスをスタート!

もしも、結婚して子どもが生まれたら、どんな風に子どもと関わっていけるだろう。今後、訪れるライフイベントをイメージしながら、自分にとっての「理想の未来」を思い描いている方は多いのではないでしょうか。
「お片づけ先生®」として活躍する伊東裕美さんも、同じように「理想の未来」がありました。

「昔から子どもが大好きだったので、幼児教育を専攻して保育士になりました。その時から、『子どもが学校から帰ってきたら、お帰りなさいと笑顔で迎え入れる』。そんな家庭を築くことが私の理想だったんです。そこで、第一子出産を機にそれまで勤めていた保育園を退職し、子育てに専念するようになりました」

もう一つ、伊東さんには叶えたいことがありました。

「私の母は家事代行の会社を経営しています。忙しくしている母を見ていたので、いつか仕事を手伝って親孝行をしたいと思っていました」

2011年、二人目のお子さんを産んだ年に整理収納アドバイザー1級の資格を取得。その翌年、お母さまが経営する会社に整理収納部門を新設することに。以来、地元の異業種交流会に参加したり、SNSやブログで情報を発信したりすることで、少しずつ顧客を増やしていきました。

“子どものお片づけ教育”という新分野を開拓し、2018年に独立!

自作のパネルシアターを使ったお片づけ教育の様子

  • 自作のパネルシアターを使ったお片づけ教育の様子

お母さまが経営する家事代行会社で整理収納サービスを始めた伊東さんは、次第に「サービスの方向性」について考えるようになりました。

「当初は大人のお片づけサポートを提供していましたが、それでは同業他社と差別化ができないですし、自分の強みを出せていないと思いました」

伊東さんは、好きなことを紙に書き出して人生の棚卸しを行います。すると、赤ちゃんや小さな子どもが大好きで保育士を目指したことや、短大や専門学校で子どもの発達や心理について学んだことなどを思い出しました。

「保育士になってからは、クラス担任として教室のお片づけや教室運営にも携わりました。こうした経験をすべて活かして、“子どものお片づけ教育”をサポートできたらと思うようになったんです」

こうして、子どもへの教育をメインに据えた新しいサービスを開始。しばらくすると、想像もしていなかった新しい仕事が舞い込むようになりました。コラムの執筆や雑誌の取材、書籍出版など、伊東さん個人への依頼が増えてきたのです。

「ちょうど、姉が母の仕事を手伝うようになったこともあって、今が独立するタイミングなのかもしれないと思いました」

2017年11月、伊東さんはお母さまが経営する家事代行会社を退職。その2カ月後にあたる2018年1月、独立・開業を果たしました。

見切り発車の独立。開業を乗り切れた二つの理由

お片づけ教育の第一人者として独立

  • お片づけ教育の第一人者として独立

退職からわずか2カ月という短期間で独立した伊東さん。

「何も準備せずに独立したこともあって、当初は大変でした。独立後、どれだけの収入を得られるかも試算できていなくて、今思うと、完全に見切り発車でした」

開業届はどうやって出すの? 確定申告はどうやるの? その一つひとつをインターネットで調べていきました。伊東さんは当時を振り返り、「私が無事に開業できたのには、二つの理由があります」と話してくれました。

「一つは夫の理解です。当時、夫は起業して数年しか経っていなかったのですが、『私の仕事が軌道に乗るまで自分の収入でやっていこう』と言ってくれました。もう一つは、ホームページを自分で作るなど、コストを徹底的に抑えられたこと。独立時にかかったものといえば、クラウド型の会計サービスに支払う費用くらいです」

独立後、コラムの執筆や講師の仕事が増えるにつれて、年収は徐々にアップしていきました。現在は、保育士時代や家事代行会社時代と比較して、1.5〜2倍ほどの収入があるそうです。

収入に変動があるからこそ、資産形成をして備えることが大事

自宅が職場に。仕事道具は持ち運びしやすいよう、スッキリとまとめている

  • 自宅が職場に。仕事道具は持ち運びしやすいよう、スッキリとまとめている

保育士として働いていた頃、伊東さんは洋服やバッグなど、自分自身のためにお金を使っていました。ブランド品を買うことも多かったそうです。

しかし、結婚して三人の娘さんを育てながら「お片づけ先生®」として働く今は、お金に対する価値観が大きく変わりました。

「ブランド品への興味は一切なくなりました(笑)。自分のために使うのは、お肌のお手入れくらい。目下の関心は、子どもたちのことばかりです」

自分一人なら安い食材でもいいけれど、娘たちのためなら品質の良い食材を選びたい。娘が中学受験をしたいと言うのなら、それを叶えてあげたい――。伊東さんは旦那さまと、よくお子さんの教育費について話し合いをしているそうです。

「長女の受験を見越して学資保険に入り、下の娘たちは学資保険代わりに積み立て型の生命保険に加入しました。会社経営をしている夫は小規模企業共済に入っていますが、私自身は特に資産形成をしていません。でも、私は個人事業主なので、月々の売上が変動します。決まった金額が毎月入ってこないからこそ、備えが必要だと痛感しています」

最近、銀行勤めのお友達から資産形成のアドバイスをもらったという伊東さん。今後は、旦那さまと話し合いをしながら、つみたてNISAやiDeCoなどを始めたいと思っています。

■収入の割合

伊東さんの収入の割合

子育ても仕事も、自分に合ったスタイルで――

子育ても仕事も、自分に合ったスタイルで――

「うちの子にお片づけ教育をしてほしい」「我が家のリビングがモノだらけなんです」など、伊東さんのもとにはさまざまな依頼や相談が舞い込みます。伊東さんは、外での仕事を早めに済ませ、夕方4時までには帰宅し、お子さんと同じ空間で仕事をしているそうです。

まさに、理想のワークスタイルを実現した伊東さんですが、現在のご自身に点数をつけていただいたところ、「60点」という意外な答えが返ってきました。

「いつか“絵本を出す”という夢があるんです。今はまだ実現していないので、厳しめの点数をつけました。私なりの視点で、読んだ方が楽しみながらお片づけができるような絵本を出せたら嬉しいです」

そんな伊東さんに、Money VIVAの読者に向けてメッセージをいただきました。

「私の場合、特に準備もせず独立してしまいましたが、このようなやり方はオススメできません。まずは、やりたいことを叶えるために何が必要か、具体的にイメージしてほしい。起業セミナーに通うのも良いと思います。プロに客観的なアドバイスをもらうと、何をすれば良いかが見えてくるのではないでしょうか」

理想のワークスタイルを思い描き、その目標に向かって一直線に突き進んできた伊東さん。「一度きりの人生だからこそ、好きなことに挑戦してほしい」と、キャリアについて悩んでいるすべての方々に向けて、力強いエールを送ってくれました。

<伊東さんのモチベーショングラフ>

伊東さんのモチベーショングラフ

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