実はお得情報の宝庫とも。給与明細から世界を知る

40歳になった時、給与から介護保険料が天引きされているのを目にし、軽くショックを受けた覚えがあります。頭ではわかっていたものの「あなたの給料、来月から減るからね」なんてこと、会社は教えてくれません。

本書の挿入マンガでも「住民税を引かれ、がく然とする2年目社員」が登場します。住民税は前年の所得ベースなので収入のない新入社員は徴収されない。2年目の方が給料は下がるというカラクリです。

「新人研修で教えてもらえると思っていたのに……」という2年目キャラには共感しかありませんが、自ら情報を取りにいかない限り、40歳でも介護保険料で再びがく然とするハメになります。本書はそんな方たちに向け、給与明細から税や制度を読み解いていくというもの。「無味乾燥すぎて見る気が起きない!」と思っているあなたのモチベーションも不思議と上がるような構造となっています。

「社会保険料はどうやって決まるの?」「高額な医療費がかかったときは?」など1項目につき見開きで解説。辞書的な使い方もできる構成ではありますが、内容自体は濃いのです。例えば、雇用保険を使えば英会話教室を2割引で受講できるとか(教育訓練給付金)、健康保険さえあれば、突然の事故で30万円の医療費がかかったとしてもその大半は戻ってくるとか(高額療養費制度)。

基本給をチェックすればブラック企業の予測がつく、という話も興味深いです。営業手当や残業手当など諸手当ばかりが厚く、基本給が低い会社には注意が必要だそう。手当はいつカットされるかわからないし、残業代は基本給がベースになるからです。

税や制度は知らないと損する情報、知っていれば得する情報の宝庫です。本書を読むと「引かれすぎ!」と思っていた自分のお金がぐるぐる世の中を回っていたのだなと実感できますし、1枚の給与明細に「こんなに社会がつまっていたのか!」とちょっとした感動も味わえますよ。

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