
デビットカードは、利用金額がその場で口座から引き落とされるため、現金感覚で使用できる便利なカードです。年々利用者が増加している決済手段ですが、利用時にはそのメリット・デメリットをよく理解しておく必要があります。
この記事では、デビットカードのメリット・デメリットや利用に向いている人、カードの選び方や注意点について詳しく紹介します。
- 目次
デビットカードとは?
デビットカードは利用金額が即座に銀行口座から引き落とされる、キャッシュレス決済のひとつです。後払い式のクレジットカードと違って、その場で引き落としが行われ、口座残高の分までしか使えないため、使いすぎを防ぐメリットがあります。
デビットカードには2種類ある
デビットカードには「J-Debit」と「国際ブランドが付帯したカード」の2つの種類があります。
J-Debitは金融機関が発行するキャッシュカードをそのままデビットカードとして利用できるもので、J-Debitマークのある加盟店で利用することができますが、提携店舗は日本国内に限られます。
一方、国際ブランドが付帯しているデビットカードは、Visa等の国際ブランドが券面にデザインされているカードです。各国際ブランドの加盟店で利用できるので、国内のみならず海外でも利用できることが特徴です。
クレジットカード、プリペイドカードとの違い
金融機関やカード会社が発行するカードには、デビットカードのほかにクレジットカードやプリペイドカード等があります。それぞれのカードの主な違いを下記の表で確認してみましょう。
下の表は横にスクロールできます。
デビットカード | クレジットカード | プリペイドカード | |
---|---|---|---|
年齢制限 | 金融機関によって異なる | 原則18歳以上 (高校生は除く) |
原則なし |
審査の有無 | なし | あり | なし |
利用限度額 | 口座残高もしくは設定した利用限度額 | 審査によって決まった利用限度額 | あらかじめチャージした金額 |
利用できる場所 | J-Debitや国際ブランドの加盟店 | 国際ブランドの加盟店 | サービスの加盟店 |
クレジットカードやプリペイドカードは、デビットカードと同様に買い物や支払に利用できるカードです。しかし、代金を支払うタイミングや利用限度額が異なっており、クレジットカードはあらかじめ決められた利用限度額の範囲内で利用でき、代金は後払いによって支払います。
また、プリペイドカードは事前にチャージした金額の範囲内で利用することができるカードです。
なお、金融機関が発行するカードとしては、ほかにキャッシュカードがありますが、キャッシュカードはATMでの入出金や振込、残高確認等預金の手続きに特化していることが特徴です。
デビットカードのメリット
デビットカードには、下記のようなメリットがあります。

現金を持ち歩く必要がない
デビットカードは、クレジットカードと同様にキャッシュレス決済ができ、持ち歩く現金を必要最低限に抑えられるメリットがあります。
たとえば、「友人に急に食事に誘われた」というときでもデビットカードがあれば支払ができるため、わざわざATMへ立ち寄る必要がありません。
また、口座に残高があればまとまった支払にも使えることから、多額の現金を持ち歩かずに済むのも嬉しいポイントです。
使いすぎを防げる
デビットカードは即時決済型のカードであるため、口座残高以上の支払には利用することができません。
使った分だけその場で引き落とされることから、「つい予算オーバーしてしまった」という事態を防ぐメリットがあります。
「後から請求金額を見て驚く」という心配がないため、初めてキャッシュレス決済を使う人にも向いているカードです。
管理がしやすい
デビットカードは利用した金額が、口座の入出金明細に記録されます。現金と違って、「どこでどれくらい使ったか」という収支履歴が残るため、家計の管理をしやすいメリットがあります。
また、利用代金が即時引き落とされることから、支出と口座残高にギャップが生まれないのも家計管理を行ううえで便利なポイントです。
高校生でも持てる
デビットカードの年齢制限は金融機関によって異なりますが、満15歳以上(中学生を除く)であれば発行できることが多く、高校生でも保有することが可能です。
支払能力が重視されるクレジットカードでは高校生は対象外とされているため、デビットカードは「高校生のうちからキャッシュレス決済の使い方を学ばせたい」という家庭の金融教育にも役立てられます。
審査が基本的にない
デビットカードは、基本的に審査がないことも特徴です。代金を後払いで支払うクレジットカードでは、入会時に信用情報や支払能力が審査によってチェックされます。
一方、デビットカードは口座に入っている金額以上の買い物はできず、使った金額がその場ですぐ引き落とされます。支払能力を確認する必要がないため、原則審査不要で発行することができます。
これにより、定期的な収入がない専業主婦(主夫)や開業から間もない個人事業主等もデビットカードを利用できるメリットがあります。
ポイント還元や付帯保険、補償がある
デビットカードの中には、利用代金に応じてポイントが付与されるものがあります。現金感覚で使いながらポイントの還元を受けられるのは大きなメリットです。
また、カードによってはショッピング保険や不正利用に対する補償が受けられるものもあります。たとえば、購入した商品が破損していた場合の補償や、カードの不正利用による損害補填等、安心してショッピングを楽しめる付帯サービスが充実しているのもデビットカードの魅力です。
海外で利用できる
Visa等の国際ブランドが付帯しているデビットカードは、海外の加盟店でも利用することができます。使い方はクレジットカードと同様で、カードを提示してサインや暗証番号を入力するだけです。
また、デビットカードは海外ATMで現地通貨を引き出すこともできます。「チップを渡すのに現金が必要になった」、「利用したお店が現金にしか対応していなかった」というときでも、すぐに必要な分だけを調達できるので、海外旅行中の急な現金需要にも対応できるメリットがあります。
ただし、キャッシュカードを使って決済ができるJ-Debit機能は海外では使えないため注意しましょう。
デビットカードのデメリット
さまざまなメリットがあるデビットカードですが、一方で下記のようなデメリットも存在します。

口座残高がないと支払ができない
即時決済型のデビットカードは、利用時に口座残高がなければ支払に利用することができません。
デビットカードでスムーズに支払を終えるためには、利用前にきちんと残高があるか確認しておくことが大切です。
分割払いやリボ払いができない
デビットカードの支払方法は、一括払いのみに限定されています。クレジットカードでは、分割払いやリボ払い等の支払方法があり、大きな買い物をするとき等は複数回に分けて利用代金を支払うことができます。
しかし、デビットカードは一括払いでしか支払ができないため、まとまった金額を支払うときは少し不便を感じることもあるかもしれません。「日常の買い物はデビットカード、大きな買い物はクレジットカードを使う」等、目的に応じて支払方法を使い分けるのもひとつの方法です。
ETCカードの発行ができない
デビットカードは、ETCカードを発行できない点にも注意が必要です。クレジットカードは、付帯カードとしてETCカードを発行でき、高速道路料金がカードの利用代金と共に引き落とされます。
ETCカードには割引サービスもあるため、頻繁に高速道路を利用する人にとっては便利なカードです。
しかし、デビットカードではETCカードを発行できず、高速道路料金の支払にも対応していないため、高速道路を利用する際はほかの支払手段を用意しておく必要があります。
特典やポイント還元はクレジットカードの方が手厚い
デビットカードにはポイント還元や付帯保険等のサービスがありますが、その内容はクレジットカードの方が手厚い傾向にあります。クレジットカードにはゴールドカードやプラチナカードのランクがあり、ランクの高いカードはさらに手厚いサービスを受けられる仕組みです。
そのため、ポイント還元や付帯サービスを重視してカードを利用する人にとっては、デビットカードはやや物足りなく感じられるかもしれません。中には、デビットカードとクレジットカードが一体化されたカードもありますので、特典を重視する場合はそうしたカードを利用することもおすすめです。
使えない場所がある
デビットカードはJ-Debitや国際ブランドの加盟店で利用でき、飲食店やコンビニ、スーパー等さまざまなシーンで活用することができます。
ただし、下記のようなシーンでは一部デビットカードでの支払に対応していないことがあります。
- 月額料金の支払
- 高速道路料金
- 飛行機の機内販売サービス
- ガソリンスタンド
- インターネットサービスプロバイダー 等
- 資金移動(送金)が可能なアカウントへのチャージ取引 等
デビットカードが使えない場所ではクレジットカードで支払う等、利用シーンに応じて決済手段を使い分けるようにするとよいでしょう。
デビットカードの使い方
デビットカードは、クレジットカードと同様に店舗やネットショップで利用することができます。それぞれ具体的な流れを確認しておきましょう。
店舗での使い方

コンビニやスーパー等の店舗で使う場合は、まず「クレジット払いで」もしくは「Visaで」等利用する国際ブランドを伝えます。その後、端末にカードを差し込んで暗証番号を入力してください。
カードによっては、Apple Payや Google PayTM 等に登録してスマホのタッチ決済を利用できるものもあります。その場合も、「Visaで」や「iDで」と伝えて、専用端末にスマホをかざせば決済完了です。
ただし、利用する金額等によっては暗証番号の入力やサインを求められる場合もあります。
ネットショップでの使い方
国際ブランドが付帯したデビットカードは、ネットショップでの買い物にも利用できます。

支払画面で「クレジットカード」を選び、デビットカードのカード番号や有効期限、セキュリティコード等を入力しましょう。入力内容に誤りがないことを確認したら、決済を完了してください。
なお、J-Debitについてはカード番号がないため、ネットショップで利用することができません。
デビットカードが向いている人
これまで紹介した特徴を踏まえると、デビットカードは「クレジットカードが作れない人」や「お金の管理が苦手な人」に向いているといえます。
クレジットカードが作れない人
先述したとおり、デビットカードは基本的に審査不要のため、クレジットカードを作れない高校生(満15歳以上)等の未成年者でも申込が可能です。
「キャッシュレス決済を利用したいけど、クレジットカードの申込条件に当てはまらない」という場合は、デビットカードの利用を検討してみるとよいでしょう。
お金の管理が苦手な人
デビットカードは使ったお金がその場で引き落とされるため、使いすぎを防ぐ効果があります。口座残高以上の支払には利用できないことから、支払能力以上に買い物をしてしまう心配もありません。
また、利用ごとに入出金明細に履歴が記録されるデビットカードは、通帳を家計簿代わりに利用できるメリットもあります。「家計管理が苦手」、「いつのまにか現金が減っている」という人は、デビットカードを活用して上手な家計管理に取り組んでみましょう。
デビットカードを選ぶポイント
デビットカードは多くの金融機関が発行しており、特徴や付帯サービスもさまざまです。ここからは、デビットカードを選ぶ際のポイントについて紹介していきましょう。
ポイント還元率や特典
デビットカードの中には、ポイント還元や付帯保険等の特典を受けられるものがあります。金融機関によってポイント還元率等の内容が異なるため、申込時は複数のデビットカードを比較してみましょう。
年会費
デビットカードによっては年会費がかかるものがあります。その分、付帯特典が充実している場合もありますが、保有コストとのバランスはチェックしたいポイントです。
国際ブランドの種類
国際ブランドが付帯しているデビットカードは、その国際ブランドの種類によって使えるお店が異なります。より多くのお店で利用するためには、加盟店が多いVisa等がおすすめです。
デビットカードの作り方

利用するデビットカードを選んだら、金融機関にて申込方法を確認します。最近では店頭窓口での申込に加えて、ウェブやアプリから申し込める金融機関も増えています。
「忙しくてなかなか平日は金融機関に行く時間がない」という場合は、ウェブやアプリから申し込む方法を検討してみましょう。
申込に必要な書類は金融機関によって異なりますが、一般的には下記のようなものが必要となります。
- 店頭での申込・・・銀行口座、届出印、本人確認書類
- ウェブ・アプリでの申込・・・銀行口座、本人確認書類
なお、店頭での申込で口座開設も同時に行う場合は、口座へ預け入れする現金も準備しておきましょう。
デビットカードとクレジットカードを1枚で!三井住友銀行の「Olive」
デビットカードを利用するなら、三井住友銀行の「Olive」の利用がおすすめです。
Oliveとは、お得な特典が豊富な銀行口座と1枚で複数の支払機能を利用できるマルチナンバーレスカードが特徴の金融サービスです。

1つのアプリで「口座」「証券」「ローン」「Vポイント」「決済」といったサービスをまとめて管理できるため、家計の収支を把握しやすいメリットがあります。
1枚で複数の支払機能を利用できる「Oliveフレキシブルペイ」
Oliveにお申し込みいただくと、キャッシュカードの機能に加えてクレジットカード、デビットカード、ポイント払い等複数の支払機能を利用できるマルチナンバーレスカード「Oliveフレキシブルペイ」が発行されます。利用シーンに応じてアプリで支払方法を切り替えられるので、複数枚のカードを持ち歩く必要がなくなります。
また、セキュリティに配慮したナンバーレスカードでカード番号、有効期限等の記載がないため安心して利用できます。
たとえば、少額決済ではデビットカード、分割払いをしたい買い物はクレジットカード等、利用方法を柔軟に使い分けるのにも便利です。
特典が選べる
三井住友銀行のOliveでは、以下の4つから毎月希望する特典を選べます。
毎月選べる特典
- 特典1.給与・年金受取特典:毎月Vポイント200pt(年間2,400pt)
- 特典2.対象のコンビニATM手数料:月1回無料(※)
- 特典3.Vポイントアッププログラム:還元率が+1%
- 特典4.ご利用特典:毎月Vポイント100pt
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対象はイーネットATM・ローソン銀行ATM・セブン銀行ATMです。なお、Oliveアカウントご契約口座の取引にかかる手数料のみ対象になります。
特に、複数の銀行口座を持つ場合、給与・年金受取口座としてOliveを活用するとお得です。
特典1を選択した上で毎月3万円以上を受け取ると、毎月200pt(年間2,400pt)が自動的に貯まります。
Oliveアカウントや特典の詳細については、以下よりご確認ください。
Oliveアカウント
デビットカードの特徴を理解して、自分に合ったカードを選ぼう
デビットカードは使いすぎを防いだり、家計管理に役立ったりする等多くのメリットがあるカードです。基本的には審査がなく、利用分は即時決済されることから、初めてキャッシュレス決済を利用する高校生や、お金の管理に不安がある人に向いています。
ぜひ、デビットカードの特徴を踏まえたうえで、自分のニーズに合ったカードを申し込んでみましょう。
よくある質問
Q1.デビットカードが便利なポイントは?
デビットカードの便利なポイントは、決済と同時に銀行口座から利用額が引き落とされ、支払がすぐに反映される点です。銀行口座残高以上の支払には利用できないため、使いすぎを防ぐ効果があります。また、通帳の入出金明細が家計簿代わりになるので、家計管理にも役立てられます。
Q2.デビットカードをおすすめしない人は?
デビットカードは支払方法が一括払いのみであるため、分割払いやリボ払いを利用したい人には向いていません。また、デビットカードはETCカードの発行や高速道路料金の支払ができないため、頻繁に高速道路を利用する人にも向いていないといえます。このようなシーンではクレジットカードを使う等、上手に支払方法を使い分けるとよいでしょう。
Q3.デビットカードに危険性はある?
デビットカードはクレジットカードと同様に、紛失や盗難、スキミング等によって第三者に不正利用されてしまうリスクがあります。金融機関でも不正利用に対する対策は行っていますが、自分自身でも「定期的に明細をチェックする」「利用限度額を設定する」といった防止策に取り組むようにしましょう。
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Apple、Apple Payは、Apple Inc.の商標です。
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Google Pay は Google LLC の商標です。
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「iD」は株式会社NTTドコモの商標です。
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2025年3月公開時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。