#03

環境への取り組み

人にも環境にも優しい銀行を目指して。

店舗業務でのサステナブルな取り組み

2020.12.25

Web通帳(※)申込件数の推移

(※)Web通帳=紙の通帳を発行しない代わりにスマートフォンアプリやパソコンからアクセスし、
最大30年分の明細を確認できるサービス。
明細をダウンロードし保存も可能。

Web通帳新規お申込み件数(年度別)

Web通帳(※)申込件数の推移

三井住友銀行では、2015年からの本格的なデジタル化推進以降、年々Web通帳の申込件数が増えている。
一般的に銀行のサービスや銀行内の事務処理については、日々膨大な量の「紙」を消費しており、口座開設や繰越しによる紙通帳の発行は、年間4百万冊にものぼる。
Web通帳へ移行することで紙の削減量が1年あたりA4用紙約1,540万枚にものぼる。
三井住友銀行では、店舗業務やサービスのデジタル化への取り組みによって、お客さまの利便性向上と環境負荷軽減ととともに業務効率化の実現を目指しており、この取り組みと今後のビジョンについて、事務統括部の岡本と鳥飼に聞いた。

今までの「当たり前」を見直し、
ペーパーレスに挑んだ
銀座支店でのデジタル化

<店舗業務デジタル化への取り組み内容と苦労>
・環境問題が深刻化し世界的な社会課題となっている今、企業にも従来のやり方やその「当たり前」を見直すことが求められている。
三井住友銀行でも、これまで必要とされてきた店舗での書類手続をデジタルに切り替え、人にも環境にも優しい店舗業務を推進している。

岡本:私たちがいち早く取り組んできたのが「窓口手続のデジタル化」です。始まりは2017年4月にオープンした銀座支店。他行に先駆け、お客さまとのやり取りを全面的にデジタル化した店舗です。
当時は、振込でも口座開設でも、全ての手続にお客さまの書類記入が必要でしたが、書類を廃止しペーパーレスに移行しました。

お客さまから、口頭で希望の取引内容をお聞きし、銀行員が端末に入力、お客さまは画面上に表示される内容を確認、同意いただくと取引が完了するというものです。

「印鑑レス」や「電子サインの導入」、「口座開設に伴う本人確認電子化」といった一連の業務も、この時合わせてデジタル化に対応しました。

この効率化により、お客さまへのニーズヒアリングやご提案に時間を割くことができるようにもなりました。

鳥飼:従来のマニュアルやシステムを抜本的に見直したこのデジタル化は、当時前例がなく、システム会社との打合せを毎日繰り返すことで、なんとかオープンに間に合わせられました。

その後も、対応する行員が新システムを使いこなせるようになるまで、通常業務の後に研修や勉強会を行うなど、使い方習得の準備も必要でした。

紙の書類を前提とした業務に慣れ親しんだ行員にとっては、デジタル化による大きな変化に戸惑うこともありました。たとえば、紙での対応時には、異例対応も多数存在する事務ルールを、経験やスキルなど「人」でカバーすることが多くありました。しかしデジタルになり画面通りに入力すれば「誰でも」「シンプルに」「間違いなく」事務処理対応ができ、行員自身の負担軽減になることがわかると、納得して使っていただけるようになりました。この効率化により、お客さまへのニーズヒアリングやご提案に時間を割くことができるようにもなりました。

鳥飼:お客さまとのやり取りをデジタルに変えたことで、結果的に煩雑かつ多くの書類を書く手間が省け、お客さまからもご好評をいただいています。以降440店舗全店にてデジタル化を進め、現在に至りますが、今後もさらなるデジタル化に向け、日々取り組みを検討しています。

店舗手続、銀行内業務ともにデジタル化に対応

Web通帳を積極的に推進
使い方に不安なお客さまを
サポートする体制づくり。

<Web通帳化の取り組み内容と苦労>
・銀行で口座を開設すると発行される通帳は、実は多くの紙を年間消費しており、 Web通帳の促進に力を入れることで限りある資源の消費抑制にも寄与。
・また店舗業務デジタル化をより推進するため、デジタルスキルホルダーの行内認定制度やコンシェルジュの配置など、様々な施策で対応。

岡本:2002年から導入しているWeb通帳ですが、銀行といえば紙通帳、というイメージをお持ちの方や、紙通帳にこだわりをお客さまも多くいらっしゃいました。
なぜWeb通帳にしたくないかを把握するために、2,000人以上の方へのアンケートやモニターインタビューを何度も実施し、見えてきた課題に対し一つ一つ対応してきました。
例えばWeb通帳で参照できる明細は25カ月分ということに不安を抱く人が多かったので、思いきって30年分に延長しました。

Web通帳の方が紙通帳より便利に実現できることも多く、Web通帳の利便性を上げることや、「記帳不要で24時間利用可能」「紛失のリスクがない」といった便利さをお客さまに知っていただく活動にも力を入れました。
今後もWeb通帳でも全く問題ないと納得できる機能をしっかりお伝えし、ご理解いただくことが重要だと考えています。

一方、全てのお客さまにご満足いただけるよう、店舗でのお手続においてデジタルに不慣れなお客さまをサポートする体制づくりも強化しています。
中でも、デジタルでのお手続をご案内する行員のデジタルスキル向上を目的として2018年から開始した行内認定制度の「デジタルアンバサダー制度」では、現在約8,000人の行員が認定を受けています。

また各支店で任命されたデジタル推進のリーダーが、デジタルチャネルの使い方などを案内するスキルを支店内の担当者に伝播し、お客さまへのサポートを万全に整えています。

デジタルアンバサダー認定バッジ。初級・上級のレベルに応じて色が異なる。

サステナビリティの視点から、
お客さまにお渡しする粗品も
SDGsを意識して選定

<SDGs粗品について>
・お客さまのご来店時などにお渡しする粗品は、従来、銀行への主婦層のお客さまの来店比率の高さから、実用性や利便性を重視した「文房具」や「生活用品」を中心に選定していたが、環境保全のため、全ての粗品を環境に配慮した商品に変更。

鳥飼:たとえば、通常お客さまにご説明した商品パンフレットや書類をお持ち帰りいただくために使用していた「ビニール袋」ですが、プラスチックごみが社会課題として世間的にも注目が高まってきた中で、店舗の従業員から、「コンビニでもレジ袋が有料化する中、ビニール袋をお渡ししにくい」「環境に配慮したビニール袋に変わるものはありませんか?」
といった声が相次ぎ、FSC認証(※)済の紙袋や、エコバックを新たに制作、切り替えを始めました。
(※)FSC認証(森林認証制度) 適正に管理された森林から産出した木材などに認証マーク付けることにより、持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度で、SDGs対応として当該認可された素材を各種制作物に選定している企業も多い。

鳥飼:SDGsと聞くと自分からは一見遠い「企業の考えること」と思いがちですが、店舗でお渡しする 粗品を通じて、お客さまと一緒に社会課題について考え、行動を促すきっかけにできればと考えています。

SDGsを意識して選定した粗品

現状で満足しない。
環境のため、
お客さまのため
もっとできることを。

<取り組みの効果/今後の取り組みについて>
・入出金や振込など、後続処理までデジタル化できているお取引がある一方、法律や規制等の問題から未だ完全ペーパーレス化できていないものもある。
必要な法改正への働きかけや新たなITの導入にも取り組み、より「紙」を減らした完全デジタル化に向け検討を重ねているという。

鳥飼:約1,600種類ある銀行手続書類の完全デジタル化が、目指すゴールです。
その方法について日々模索していますが、主な課題は書類数の多さから来るシステム開発の難しさや、法令およびセキュリティ基準への対応です。

多種類の書類をデジタル化し効率的な運用を可能とする新たな技術の導入を、法令基準に注意しながら検討しています。お客さまにも従業員にも環境にも「優しい」銀行手続を目指し、対応していきます。

岡本:ペーパーレス化等のデジタル化による店舗運営は、環境負荷の軽減やお客さまの利便性向上に繋がるだけでなく、お客さまの個人情報保護にも繋がります。
またクレジットカードの審査等のデータ連携など、後続処理もスムーズに行えることから多方面でも業務メリットも多く、業務効率化の観点でも必要不可欠です。
環境問題といった社会的意義の視点もしっかりと見据え、今後も継続してデジタル化に取り組んでいきたいと考えています。

※2020年12月現在の情報です。
今後、変更されることもありますのでご留意ください。

人にも環境にも優しい銀行を目指して。
店舗業務での
サステナブルな取り組み。

  • 従来からの「当たり前」を見直し、
    お客さまと従業員双方の負荷軽減を実現
  • 銀行店舗でのお客さまとのやり取りをデジタルに
  • 通帳Web化により、年間約1,540万枚の紙を削減
  • お客さまへの粗品を環境配慮型とすることで、
    社会課題を一緒に考えるきっかけとしたい