営業

公開日:2022.11.02

BDRとは?SDRとの違いや重要性、活用したいツールなどを解説

BDRとは?SDRとの違いや重要性、活用したいツールなどを解説

コロナ禍における顧客ニーズの変化や、SaaS市場の台頭などから、非対面で営業活動を行うインサイドセールスを導入する企業が増えました。中でも話題になっているのが、アウトバウンド型の新規開拓「BDR」です。
BDRを上手に活用することで、国内で重要な位置を占めているエンタープライズ企業への効率的なアプローチが可能になり、限られた取引先で収益の極大化を図ることが期待できます。
ここでは、BDRの概要と、混同されがちなSDRとの違い、活用できるツールなどについて解説します。BDRが重要な理由や背景のほか、BDRの成功に必要なABMのポイントも併せて見ていきましょう。

BDRとは、新規開拓の役割を担うインサイドセールス手法のこと

BDRとは、Business Development Representativeの略で、新規開拓の役割を担うインサイドセールス手法のことです。
企業側から見込みのある顧客を見つけてアプローチし、商品やサービスを販売する営業は、以前から「アウトバウンド」として広く法人営業に活用されてきました。テレアポや飛び込みはその代表的な活動の例です。
しかし、従来のアウトバウンドは、活動を通じて得られる成果よりも、営業が費やす労力のほうが大きいケースも多く、アウトバウンドだけに依存した営業活動には限界があるといわれてきました。人力ではリーチできる見込み顧客の数が限られる上、急にかかってきた電話や、突然の訪問を好意的に受け入れてくれる企業は少ないからです。

とはいうものの、事業拡大のフェーズにおいて、自社がターゲットとしている層にピンポイントでアプローチできるアウトバウンドは、不可欠なプロセスです。そこで、ツールを活用して効率的に新規開拓を行う「BDR」が注目を集めるようになりました。

BDRが重要な理由と背景

BDRが求められる背景には、SaaS市場の台頭があります。SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、サービスを提供する事業者のクラウドサーバー上にあるソフトウェアを、インターネットを経由して提供するビジネスモデルです。従来のパッケージシステムとは異なり、利用者は必要な機能や分量だけを利用することができます。
社会的なオンライン化、DXの流れを受けて、ウェブ会議システムや電子契約サービス、コミュニケーションツールなど、SaaS市場は急速に拡大しました。

SaaSのビジネスモデルは、サブスクリプション(月額定額制)で安定的かつ継続的な収益が得られる反面、一度に上げられる売上は少なく、資金回収までに時間がかかります。その上、解約数が増加すれば、どれだけ新規開拓をしても資金の回収が追いつきません。
そのため、SaaS企業は、いわゆるSMB(Small and Medium Business)と呼ばれる中小企業、中堅企業ではなく、日本市場において付加価値総額が高いエンタープライズ企業を積極的に開拓する必要があるのです。これが、BDRが重視される最大の理由といえるでしょう。

BDRとSDRの違い

BDRとよく似た言葉に、「SDR」があります。簡単にいうと、BDRもSDRも同じインサイドセールス手法のひとつですが、対象とする顧客規模や取組の仕方に違いがあります。ここでは、それぞれの特徴の違いを見ていきましょう。

SDRが対象とする顧客規模と取組手法

SDRはSales Development Representativeの略で、オフラインでの接点を通じて獲得したリードの情報を活用する「反響型」と呼ばれる営業手法をとります。

SDRは、自社から積極的に営業をかけるのではなく、ウェブコンテンツからの問い合わせやオンラインでの資料請求、ならびに展示会、セミナーといったオフラインでの接点を通じて獲得したリードの情報を活用します。それらの情報を営業部門がマーケティング部門から引き継いで商談化を目指します。対象となる企業は中小企業や中堅企業がメインですが、問い合わせがあるまではターゲットは明確ではありません。
SDRは顧客側の購買意欲や関心が起点となって関係性が構築されていくので、顧客の購買意欲は高い状態にあり、スピーディーに必要な情報を提供できれば商談に結びつく可能性は高いでしょう。

BDRが対象とする顧客規模と取組手法

BDRは、自社が主体となって新規顧客に積極的なアプローチをする営業手法をとります。電話やメール、DM、手紙といった非対面の手法を活用して、これまでまったく接点がない顧客の開拓を担います。

BDRのメインターゲットは、企業規模が大きいためにアプローチ先の絞り込みが難しい大手企業、ならびにエンタープライズ企業が中心です。こうした企業は、中堅・中小企業に比べて絶対数が少なく、購買意思決定までのプロセスが煩雑で長期化しがちですが、客単価が高額になりやすい点はメリットです。

BDRの役割を理解するのに欠かせないABM

BDRでは具体的に取引をしたい企業が想定されているため、受注確度の高い潜在顧客を絞り込む「ABM」と呼ばれるマーケティング戦略がよく使われます。

ABMはAccount Based Marketingの略です。営業活動のターゲットをアカウント(企業・組織)レベルで設定し、受注確度の高いアカウントを絞り込んでリーチする戦略をとります。自社にとって有益なアカウントを攻略するために戦略的にリソースを投入したり、個別最適化した施策を実施したりすることにより、効率的に売上の拡大を目指します。
昨今ではMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客管理システム)といったツールが登場したことで、アカウントの絞り込みがスムーズに行えるようになりました。

BDRの成功に必要なABMのポイント

購買意思決定に関わる人数が多く、稟議の過程も複雑なエンタープライズ企業を攻略する上で、ABMが有効であることは前述したとおりです。ここでは、ABMにおける具体的なポイントを紹介します。

BDRの成功に必要なABMのポイント

LTVの高い顧客セグメントを発掘・分析する

ある顧客との一生涯の取引を通じて、自社にもたらされる価値の総額をLTV(顧客生涯価値)といいます。ABMは、LTVが見込まれる企業に集中してアプローチをすることが重要であるため、自社事業・商品の市場におけるターゲット顧客セグメントを明確にし、当該セグメントの企業特性やアプローチ方針を分析することが重要です。

顧客企業の組織構造を把握する

エンタープライズ企業では、ひとつの稟議を通すために複雑なプロセスが実行されています。ABMにおいては顧客企業の組織構造を把握し、キーマンとなる人物を特定することが重要です。

最適な情報を最適な方法で、最適なタイミングで届ける

獲得したリードには、タイミングを逃さず、リードが求める情報を的確に届けることが重要です。ABMにおいては顧客のニーズの高まりを確認し、各タイミングで求められる情報を絞り込んで、顧客との接点を充実させます。

BDRの具体的なアプローチ手法

BDRでは、どのようなアプローチが実行されるのでしょうか。ここでは、具体的なアプローチ手法を4つ紹介します。

BDRの具体的なアプローチ手法

MAツールを活用して、高品質なコンテンツを配信する

BDRではMAツールの活用をおすすめします。MAツールを使って、クライアントのニーズに応じた質の高いコンテンツを配信することで自社サービスへ集客し、問い合わせや商品購入などにつなげます。

キーマンを絞り込み商談を創出する

意思決定プロセスが煩雑でも、企業内にはキーマンになる人物が必ず存在します。営業電話やDMではアプローチできなくても、直接接点を持ってニーズに合った話ができれば、商談につながる可能性が高まるでしょう。
ターゲット企業の組織体制を理解することは、BDRにおいて大きな意味を持ちます。過去に商談をしたことのある企業の場合、キーマンと近しい関係にある担当者とすでに接触をしているかもしれません。顧客接点をフル活用し、キーマンの情報を取得することで、商談を創出しましょう。

既存顧客の未契約部門との商談や、他商材の商談を創出する

新規顧客だけでなく、既存顧客へのアップセル、クロスセルにもBDRは有効です。新規開拓と併せて行うことで、さらなる売上拡大が見込めます。既存顧客の未契約部門との商談や、他商材の商談も創出していきましょう。

展示会やイベントでの名刺交換で顧客接点を増やす

オフラインの接点がアプローチのきっかけになることもあります。特に展示会やイベントは、顧客が興味を持って立ち寄っているため、絶好のチャンスです。積極的に名刺交換を行うなど、タッチポイントの増加を目指していきましょう。

BDRの成功を後押しするツール

BDRを進める上で、データの蓄積や分析を効率的かつ正確に行うには、ツールの活用が不可欠です。BDRの成功を後押しするツールを5つ紹介します。

■BDRの成功を後押しする5つのツール

ツール 概要 機能
MA 顧客の状態を可視化し、適切なアプローチのタイミングを分析する。 ・リードの一元管理
・見込み顧客の創出
・見込み顧客の育成
・見込み顧客の分類
SFA 営業活動に関する情報をデータ化し、一元的に管理・分析する。 ・顧客管理
・営業の行動・スケジュール管理
CRM 顧客の情報や購買履歴など、顧客との関係性をマネジメントする。 ・顧客管理
・メール配信
・キャンペーン管理
オンライン
商談ツール
非対面で商談を行うためのツール。
有料ツールの中には、商品提案から購入まで、ツール内でカード決済を行って完結できるものもある。
・ウェブ上での商談
・画面共有
・録画機能
・履歴管理
名刺管理ソフト 展示会やイベントなどで交換した名刺を社内で一元管理する。
キーマンの情報を共有することも可能。
・名刺の読み取り
・データ化
・情報検索

最初から上記に紹介したすべてのツールを用意することは難しいかもしれません。しかし、どれかひとつでも導入すれば、BDRにはどのような情報やツールが必要となるか見えてくるはずです。まずは、導入しやすいツールから検討してみてはいかがでしょうか。

名刺管理ソフトにご関心のある方は、こちらも合わせてご参照ください。

BDRの成功には、役立つツールを活用しよう

BDRを成功させるためには、ターゲット企業を絞り込んだ上で適切なマーケティングを行うABMが欠かせません。LTVの高い顧客セグメントを分析し、対象企業の組織構造とキーマンを把握する際に役立つのがツールです。

SMBCグループが提供する「PlariTown」は、DX推進や業務効率化などに資する多様なデジタルサービスや、業界ニュース・レポートなどビジネスに役立つ情報をワンストップで利用できるプラットフォームです。MAやSFA、CRMなど、BDRの成功を後押しするツールや、オンライン面談ツール、名刺管理ソフトなども提供することが可能です。サービス導入の相談受付やお客さまの業務実態に合わせた提案も実施しており、DX推進をサポートします。

BDRを成功させるために、各種ツールをご検討の方は、ぜひ「PlariTown」をご活用ください。

合わせて読みたい記事