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公開日:2022.04.27

更新日:2024.03.08

マーケティングとは?戦略の立て方と施策成功のポイントを解説

マーケティングとは?戦略の立て方と施策成功のポイントを解説

近年、インターネットの普及やIT技術の進歩により、マーケティングという言葉が持つ意味が少しずつ変化してきています。
マーケティングとは何なのか、その意味や戦略を立てる際の手順等を改めて整理して、把握しておきましょう。また、マーケティング戦略やマーケティング施策を成功させるためのポイントについても解説します。

マーケティングは、顧客の欲求を満たすために企業が行う活動のこと

マーケティングには様々な定義があります。やや広義に捉えると、マーケティングとは「顧客の欲求を満たすために企業が行うあらゆる活動の総称」と言えるでしょう。
具体的には、顧客のニーズを探るための市場調査・分析、それらにもとづく商品企画・開発、開発した商品を知ってもらうための広告宣伝活動・プロモーション等がマーケティングに含まれます。さらに簡略化して言えば、「商品を効率的に売るための仕組みを作ること」がマーケティングです。

マーケティングを行う理由とその目的

そもそも商品やサービスを販売するためには、誰に、どんな価値を、いくらで、どのように提供するかを考えなければなりません。商品やサービスを効率良く売っていくには、それが有する価値を、それを求める消費者層に対して的確にアプローチして伝える必要があるためです。そうしたアプローチができれば、顧客を獲得して売上拡大に結びつけることが可能です。

一般化しつつあるウェブマーケティングとデジタルマーケティング

近年では、インターネットの普及やデジタル技術の発展により、ウェブマーケティングやデジタルマーケティングの活用が一般化してきています。この2つについても概要を押さえておきましょう。

ウェブマーケティングは、ウェブサイトやウェブサービス、ウェブ広告、解析ツール等を利用することで、ターゲティング、集客、商品購入、顧客へのアフターフォロー等を行うマーケティングのことです。BtoCだけではなく、BtoBでもウェブを通じてマーケティングが行われる機会が増えています。

これに対してデジタルマーケティングは、広く各種IT技術を活用したマーケティングを意味します。スマートフォンやアプリによる行動履歴の蓄積、IoT製品によるデータ収集、AI技術を用いた分析等により、顧客との関係性をより密にすることが可能になり、マーケティングに活かすことができるのです。

マーケティング戦略の立て方

誰に、どんな価値を、いくらで、どのように提供するかを決めることを「マーケティング戦略」と言います。続いては、一般的なマーケティング戦略の立て方について見ていきましょう。

マーケティング戦略の立て方

1. 内部環境・外部環境について分析する

内部環境とは自社に関する情報、外部環境とは市場、顧客、競合他社等に関する情報のことです。
マーケティング戦略では特に、外部環境に対する市場調査が重視されます。市場にどのような顧客がどれくらいのボリュームで存在しているのか、またその市場にはどのような需要があり、そして自社の商品・サービスに対してどのような印象や考えを持っているのかを調査し、分析することで明らかにします。
内部環境と外部環境を分析する際、役に立つフレームワークは下記の通りです。

・PEST分析

PESTは「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字を取ったもので、自社を取り巻く外部環境を意味します。外部環境が自社にどのような影響を与えるかを予測する際に活用されるフレームワークです。市場の将来性や今後の変化を予測する上でも有効なフレームワークのため、マーケティング戦略の策定時にしばしば用いられます。

・3C分析

3Cは業界環境の構成要素である「Customer(顧客・市場環境)」「Company(自社環境)」「Competitor(競合環境)」を表しています。マーケティング戦略を立てる上で押さえておくべき業界環境を漏れなく把握するために用いられるフレームワークです。具体的には、各要素を下表に挙げるような観点で分析します。

■3C分析の構成要素
Customer(顧客・市場環境) 市場規模、地域構成、市場の成長性、購買決定プロセス等
Company(自社環境) 市場シェア、売上高、収益性、ブランドイメージ、技術力、人的資源等
Competitor(競合環境) 競合の数、参入障壁、競合他社の戦略、各社の強み・弱み等

上記の観点で市場を分析することにより、自社にとってのKSF(Key Success Factor:重要成功要因)を見つけることが3C分析を行う主な目的です。

・5F分析

5Fは5 Force(脅威)を略したもので、自社にとって業界内での競争要因となる5つの脅威を表しています。具体的には「業界内の競合」「新規参入の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」の分析を通じて、業界における収益性を明らかにすることが5F分析を行う主な目的です。

■5F分析の構成要素
業界内の競合 自社および競合各社の数や知名度、ブランド力、資金力等
新規参入の脅威 市場規模、新規参入に必要な技術力・ブランド力・リソース等
売り手の交渉力 サプライヤーと自社との力関係、供給元を乗り換える際のコスト等
買い手の交渉力 顧客と自社との力関係、価格設定の妥当性等
代替品の脅威 代替品の存在、自社商品との品質の違い、代替品に乗り換える際のコストや手間等

マーケティング戦略の立案に際しては、「競合」「売り手」「買い手」の3要素を分析することで利益を上げる難度がより明確になるでしょう。
また、「競合」「新規参入」「代替品」の分析を通して自社が実現可能な業界シェアの目安を推し量ることができます。業界の収益構造や自社の競争優位性を探ることにより、事業の新規参入および撤退の妥当性を判断する上で役立つフレームワークです。

・SWOT分析

SWOTとは、内部環境(自社内)と外部環境(市場・競合他社等)のプラス面・マイナス面を表しています。具体的な要素は下表の通りです。

■SWOT分析の構成要素
プラス面 マイナス面
内部環境 Strength(強み) Weakness(弱み)
外部環境 Opportunity(機会) Threat(脅威)

さらに、内部・外部の強み・弱みをそれぞれ掛け合わせることにより、下記の4つの戦略を導き出します。

■SWOT分析における4つの戦略
SO戦略(強み×機会) 自社の強みを活かしてビジネスチャンスを創出するための戦略
WO戦略(弱み×機会) 自社の弱みを改善・補完してビジネスチャンスを創出するための戦略
ST戦略(強み×脅威) 自社の強みを活かして脅威を回避するための戦略
WT戦略(弱み×脅威) 自社の弱みがもたらす脅威を最小限に食い止めるための戦略

SWOT分析は既存事業の改善点の発見や、新規事業の将来的なリスクの把握に役立ちます。マーケティング戦略の策定時には、自社ならびに市場の現状と将来性を客観的に把握しやすくなるでしょう。

2. ターゲットを特定する

市場調査の結果に基づいて、商品のターゲットを設定します。ターゲティングに際しては、市場を、類似した「属性」「行動特性」「心理的特徴」等を持つ顧客グループに分割する、市場細分化(セグメンテーション)を行うことが多いでしょう。
市場を細分化すれば、そのグループ内に存在する共通ニーズに対応した戦略を立てることができます。さらに、細分化した市場の中からより具体的なターゲットを特定することで、最も効果的なアプローチ方法を考えることが可能です。

3. 商品やサービスによって提供する価値を決める

ターゲットを特定したら、次に商品を通じて「提供する価値」を明確化します。顧客が自社商品によって得られるメリットや満足感、あるいは解決できる課題等を示す必要があります。
また、競合他社や競合商品との差別化ポイントを打ち出すことも大切です。これらにより、市場における自社と自社商品のポジショニングを設定します。

4. 商品やサービスを提供する方法を決める

商品やサービスが提供する価値を設定したら、次に決めることは、商品・サービスを提供する方法です。顧客に対して自社商品の価値をどのように伝達・訴求し、どんなプロセスを経て販売するのかを、価格も含めて設定します。
商品・サービスの提供の方法を決める際、役に立つフレームワークとして知られているのが「4P分析」と「4C分析」です。

・4P分析

4Pは売り手側の視点とも言われ、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」を意味します。4P分析とは、この4つの戦略領域を分析することを意味する言葉です。また、4Pの適切な組み合わせを検討することを、マーケティングミックスと言います。

・4C分析

4Cは買い手側の視点と言われ、「Customer Value(顧客価値)」「Customer Cost(顧客が負担するコスト)」「Convenience(顧客利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を意味します。4C分析とは、この4つの買い手側の視点を考慮しながら自社の商品・サービスを分析することを意味する言葉です。

現在では、4Cを起点としたプランニングによって4Pを導き出し、マーケティングミックスを行うやり方が主流となっています。

マーケティング施策を成功させる4つのポイント

前述の流れでマーケティング戦略を定めたら、次はその商品やサービスを販売するための最適な施策を講じていくステップに入ります。
ここでは、マーケティング施策を成功させる上で押さえておきたいポイントを4つご紹介します。

マーケティング施策を成功させる4つのポイント

一人ひとりの顧客に合わせた施策を立てる

ウェブマーケティングやデジタルマーケティングでは、一人ひとりの顧客に合わせた施策を立てて実行することが可能です。
中でもウェブマーケティングでは、個人に対して最適化した施策を打つ「One to Oneマーケティング」という考え方が注目されています。あるいは、BtoBにおいて特定の企業に絞って個別アプローチする「アカウントベースドマーケティング(ABM)」も、ベースとなる考え方は同じです。顧客に合わせた施策を立てることで顧客満足度を上げられると同時に、マーケティングの効率性も向上します。

顧客データを蓄積して活用する

顧客データを日々蓄積・管理して分析すれば、個別の施策を考える際に活用でき、なおかつ自社の顧客全体の傾向を把握することもできます。顧客データは今後の新たな集客や顧客獲得のためにも役立てられるでしょう。
ウェブマーケティングやデジタルマーケティングでは、購入履歴等の顧客データを効率的に収集することができます。また、定量データだけではなく、アンケートやヒアリング、あるいはSNS投稿の分析等を駆使して定性データを集める方法もあります。

顧客へのフォロー体制を万全にしておく

顧客に対するアフターフォローも欠かせません。ユーザーサポートはもちろんですが、自社の商品・サービスに関する継続的な情報提供を行えば、次の購入に結びつける有効なマーケティング方法となります。
具体的には、サポートセンターの設置、メール、チャット、SNSを介した問い合わせ対応、オウンドメディア内のコンテンツによる情報発信等が挙げられます。顧客へのフォローが万全であれば顧客ロイヤルティが高まり、「顧客のファン化」にも結びつけることが可能です。

マーケティングツールを活用する

販売データや顧客データを管理し、分析するための各種マーケティングツールも高機能化・多様化しています。代表的なツールとしては、SFA(営業支援)やCRM(顧客管理)、MA(マーケティングオートメーション)等があります。顧客データのマーケティング活用等、ツール導入の効果的な場面が紹介されていますので、以下の関連記事も併せてご参照ください。

関連記事:「SaaS導入の効果的な7つの場面|87%の企業がSaaSの効果を実感」

また、ウェブアクセス解析ツール、分析に役立つBIツール等も、多くの企業が導入しているツールです。
これらのツールを活用すれば、必要な情報をいつでも参照し、リアルタイムに近い早さで分析結果を得ることもできます。主なマーケティングツールの例と、各ツールの特徴は下記の通りです。

<主なマーケティングツール例>

・SFA(営業支援):顧客情報、案件情報、行動記録等を一元管理し、営業活動を支援するツール。顧客情報や営業メンバーの活動状況、商談の進捗状況などがリアルタイムで把握でき、営業の生産性向上や業務改善に寄与する。

・CRM(顧客管理):メールアドレスや購買履歴、問い合わせ履歴といった顧客情報を管理・分析し、顧客との良好な関係構築を支援するツール。蓄積されたデータを分析した上で、様々な切り口で表やグラフを作成し、分析結果を表示することも可能となる。

SFA・CRMの導入をご検討の方はこちらのサービスもご参照ください。

・MA(マーケティングオートメーション):メール配信と購買意欲の分析を自動化し、商談化を支援するツール。顧客の状況や興味・関心に合わせたマーケティングを行うことが可能となり、見込み客の購買フェーズの引き上げを支援する。

MAツールの導入をご検討の方はこちらのサービスもご参照ください。

・ウェブアクセス解析ツール:ウェブサイト内におけるユーザーの行動データを解析するツール。企業に蓄積された様々なデータを集約してビジュアル化することで、データに基づいた意思決定や課題解決を支援する。

・BI(ビジネスインテリジェンス):企業が保有する様々なデータを分析し、わかりやすく可視化するツール。企業の経営状況等がわかりやすく可視化されることで、可視化された情報を参考に、意思決定や課題解決を進めやすくなる。

BIツール導入をご検討の方はこちらのサービスもご参照ください。

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また、以下の関連記事も併せてご参照ください。

関連記事:「DX推進に役立つ16種類のツールを紹介!ツール選定時のポイントも」

企業の強みや市場の動き等を分析し、自社に合ったマーケティング手法を導入しよう

マーケティング戦略にはいくつかのセオリーがありますが、その実践を売上拡大に効果的に結びつけるには、自社の商品の強みや市場の動き、顧客層の特性等を総合的に判断しながら、自社に合ったマーケティング手法を導入する必要があります。また、マーケティングツールには多くの種類があり、各ツールはそれぞれ機能や特徴が異なるため、闇雲に導入しても効果が期待できるとは限りません。自社の導入目的に合ったものを選定することが大切です。

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